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PRIDE生誕20周年を記念して、あらためて高田延彦vsヒクソン・グレイシーの真実に迫るノンフィクション『プライド』(金子達仁/幻冬舎)。20年の時を経て明かされる衝撃の事実とは――? Dropkickニコ生配信で語られた『プライド』の感想を再編集・加筆した記事になります!(語り・ジャン斉藤)


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今回は金子達仁さんが高田延彦vsヒクソン・グレイシーの舞台裏を綴った『プライド』の感想をしゃべります。この本にはじつは最後にオチが用意されていまして、そこにも触れますので、まだ読んでいない方は聞かないください!(笑)。

 本題に入る前にですね、ボクのUWFへの思いを決定づけた大きな出来事があるんですね。これは中学生の頃の話になっちゃうんですけど、ボクは福島県いわき市四倉町という海辺の町の出身で。いわき市といえば、ここしばらくは原発の問題で揺れ動いてますけども。その町の盆踊り大会に「UWF世界チャンピオン高田延彦が来たる!」という告知があってもう大興奮ですよ。「UWF世界チャンピオンという肩書きは何?」という疑問はあったんですけど。ところが当日になって「試合のケガのために……」という案の定なアナウンスがひっそりとされまして。まあ最初から来るわけがなかった話ですよね。それからUWFと高田延彦のことはあまり信用できないんです!(笑)。

そこが出発点ということもありますし、UWFに関していえば、キレイすぎる物語に辟易してるところもあってですね。この『プライド』も高田延彦と榊原信行2人の物語としては美しいんですけど、四倉町盆踊り大会の件もあって、高田本部長に不信感があるボクはどうも穿った見方をしてしまうんですね(笑)。
 
この『プライド』で高田本部長はそこまで深くしゃべってないんです。いや、しゃべってても、そこは金子さんが高田本部長の発言を取捨選択しちゃったのかもしれませんけど……。

逆に前田日明さんはあることないこと、しゃべりすぎるんですけどね。よくわからないことまで得意気にしゃべっちゃうところがあって、最近は「アメリカのね、ビジネスは凄いことになってるんですよぉ」ってね、今頃ですか!っていう(笑)。そこは前田さんと高田本部長は非常に対照的なんですけど。

金子さんは2003年にも『泣き虫』という高田本部長の自伝を出してるんですね。『プライド』と読み比べてもらえればわかりますが、『泣き虫』のほうがデティールが圧倒的なんです。

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『プライド』は高田本部長を基点に、ヒクソンと榊原さんをクローズアップされていて、そこに高田本部長の現在の人間関係が反映されてるというか……。たとえば『プライド』では「以前観た何かの試合でロープにしがみつく相手にえらく苦戦していたのは知っていたからね」と発言してるんですけど。『泣き虫』のほうでは「ヒクソンは以前、うちの山本宜久と戦ったことがあって、そのときはロープにしがみつく山本を引き剥がせなくてえらく苦戦したんです」とある。

高田本部長の口から元・高田道場のヤマヨシの名前が出てこない『プライド』。金子さんもフォローしていない。高田本部長とヤマヨシは現在絶縁状態ですから、そこは意図的に存在を外してると見えるんですね。何が言いたいかというと、ヤマヨシ以外にも、高田本部長と距離がある人間との描写は凄く薄くなってる、もしくは完全に消しているんじゃないのか……と。元広島カープの西山秀二や、元小結の寺尾との関係の濃さは伝わってくるんですけど(笑)。

これはあらゆるパートで感じてしまいました。『泣き虫』には好意的に描かれていた前田日明とヒクソン戦前にリングス道場でミーティングをした光景も、『プライド』にはありません。ヒクソン戦をやるざるを得なかった白紙委任状の扱いも『泣き虫』のほうが真に迫っている。

その『泣き虫』は高田本部長は初めて“プロレスの仕組み”を明かして、いまの言葉で言えば大炎上したんです。格闘技とプロレスの違いを説明するためだったので、それはもう仕方ないことだと思うんですけども、プロレス界から大批判を浴びたことで、高田本部長と金子さんはトラウマになったみたい話を聞きますね。


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