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地球上最強男スティペ・ミオシッチは、それでも時給14ドルで消防署で働く■MMA Unleashed
Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム「MMA Unleashed」――今回のテーマは「地球上最強男スティペ・ミオシッチは、それでも時給14ドルで消防署で働く」です!
UFC220のメインイベントでスティペ・ミオシッチは、UFC版ネクスト・ビッグ・シング、次世代のペイパービュー・スターになるはずだったフランシス・ガヌーから、まずスタミナを、次いでパワーを、そして冷静さを奪い取り、そして最後には完全に心を折ってしまった。まるで職人のように黙々と、しかし極めて効率よくシステマティックに、カメルーンの大巨人を解体してしまったのだ。
ブルース・バッファーが「And Still!」とコールし、デイナ・ホワイトがベルトを手にしてミオシッチに歩み寄り、腰にベルトを巻いてやろうとした時、異変が起きた。ミオシッチはホワイトの手からベルトを奪い取ると、自分のコーチであるマーカス・マリネリに渡し、マリネリにベルトを巻かせたのだ。
その直後のジョー・ローガンによる勝利者インタビューで、UFCヘビー級の連続防衛回数新記録を樹立したことについて問われたミオシッチは、次のようにコメントしている。
「そんなことには何の意味もない。それより、オレはもうすぐ父親になる。子どもが生まれるんだ。ヘル・イエー!」
***
ミオシッチはオハイオ州クリーブランドの生まれ。おじいさんがクロアチアからの移民一世だ。ミオシッチは子どもの頃から運動が得意で、身体の大きさや力、スピードに恵まれていた。レスリングも得意だったが、一番好きだったのは野球だった。メジャーリーグ球団から声がかかったこともある。
しかしミオシッチは、プロスポーツ選手のような不安定な職業は一生をかけて取り組む仕事ではないと考え、身体を使って人の役に立つ仕事に就こうと、消防署に入署した。
「デスクワークは無理だと思ったんだ」とミオシッチは振り返る。「スーツを着るのも苦手だ。でも人助けは大好きだった。社会にお返しをしたかった。それ以外には働く目的を見いだせなかった」
現在の勤務先であるバレービュー消防署でのミオシッチの仕事は、消防士兼パラメディックスだ。パラメディックスとは、火災や事故の現場でケガ人がいる場合、心臓マッサージや骨折箇所への添え木、モルヒネ点滴などの応急処置を行い、患者を安定させて救急病院まで搬送する仕事である。
ミオシッチの現在の立場はパートタイム、つまり非正規社員である。消防署での給料は、ここ10年近く上がっておらず、時給換算で14ドル(1,520円)。非正規だから、雑用を命じられることも多い。それでも、チャンピオンになったいまでも、ミオシッチは週に2度のシフトをこなし、繁忙期には60時間連続で働くこともある。
ちなみに、ミオシッチのファイトマネーは公表されているものだけでも、2016年には年間3試合で93万ドル(約1億円)、2017年には1試合で69万ドル(約7,500万円)だ。
消防署の署長、ケネス・パペシュ氏はあきれたように語っている。「時々、お前、こんなところで何やってるんだよ、と思うことがある。試合に向かうフライトの直前まで、署にいることもあるからね。意味がわからないよ。恐ろしい大男にノックアウトされるかもしれないんだから、試合前くらい好きな場所でのんびり過ごせばいいのにと思うんだけど、彼はここにいて、同僚とがむしゃらに働いているんだ」
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コメント
コメントを書くミオシッチかっこよすぎやろ・・・
村上春樹の小説に出てくる登場人物のような台詞だ。