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「【『紅の豚』冒頭シーン徹底解説 3 】 宮崎駿は当初 “志村けんのコント” を作ろうとしていた」
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ポルコが出撃すると “偶然” 、遊覧用の飛行線が通りかかって、その中は、これまた “偶然” 若い女の子だらけなんです。
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しかし、ポルコは、そんな黄色い声を上げる女の子達に、クールに「こんなところを飛んでると、団体で拐われちゃうよ?」なんて答えて、投げキッスまでするんです。
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いや本当に。
僕が最初に言った「当初、宮崎駿が作りたかったのは “脳細胞が豆腐になったオジサン達を慰めるためのアニメ” だ」というのは、本来はこういうものだったんですよ。
ところが、Aパートと言われる、冒頭の10分15分には、まだ、そういったニオイがプンプン残ってるんですよ(笑)。
だから、そこが見どころだと僕は思っているんですけど。
……すみませんね、こんなので大喜びしちゃって。
またネットで叩かれてしまうな(笑)。
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しかし、助けた美少女は海に飛び込んでビショ濡れだ!
「これはいかん! 私にはエッチな気持ちは1ミリもないが、濡れた服のまま飛ぶわけにはいかん。……仕方がない。服を脱ぎなさい」と言って、服を脱がすわけですね。
「愛機サボイア号の羽の上で濡れた服を干せば、アドリア海の陽光で、すぐに乾きます。毛布の下はスッポンポンでも、私はエンジンの修理をしてるので、大丈夫。見てませんよ」って感じで、続くんです。
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で、その下のコマが「服は乾きましたか? さあ、ご両親の元へお送りしましょう」ということなんですけど。
「困ったな、この飛行艇は1人乗り。……そうだ! このポルコめの膝の上に乗りなさい。1人乗りだから仕方ないでしょう。さあさあ」と。
で、「さっきまでスッポンポンだった美少女を “仕方なく” 膝の上に乗せたポルコ・ロッソは、夕焼けのアドリア海を飛ぶのであった!」というのが、マジでこれ、この漫画のラストシーンなんですよ。
これが、映画版『紅の豚』の冒頭10分の構成なんです。
だから、『こち亀』なんですね。
「金に汚い両さんが失敗する」という話みたいに、「スケベな妄想ばっかりしている中年ポルコが、当てが外れてガッカリする」というギャグアニメとして、最初の10分はわりと作ってあるんですよ。
両さんがいつも失敗する感じと同じなんです。
だから、フィオが隠れ家に付いて来た時も、いきなり服を脱いで「私、泳ぐね」と言った瞬間に、「やめろ」とも言えず、「おいおい……」と言うだけで固まってしまう(笑)。
この「フィオがいきなり服を脱いで泳ぐ」というシーンは、実は、前半10分に出てくる隠れ家のシーンと呼応関係にあるというか、伏線と回収に当たるんですよね。
でも、実際にフィオが来て、目の前で服を脱いでしまったら、「ああ、どうしよう……!」と狼狽えて、固まってしまう。そういった、純情な男の子というか、童貞中学生みたいな話なんですよ。
「とにかくエロいことばっかり考えてる童貞少年が、本当にエロいことに巻き込まれるんだけど、実際にそういうのが目の前にあると何も出来なくて固まって困る」という、例の童貞妄想作品。
実は、『紅の豚』って、あれと全く同じなんですよ。
その意味では、今のオタク少年たちと宮崎駿は “童貞妄想” みたいな意味で、すごく趣味が似てるんです。
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