• このエントリーをはてなブックマークに追加
第206回 胸に引っかかる人を思う春のウラガワ(2)
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

第206回 胸に引っかかる人を思う春のウラガワ(2)

2019-03-31 18:15

    オンナのウラガワ ~名器大作戦~
    第206回 
    胸に引っかかる人を思う春のウラガワ(2)

    ◆もくじ◆

    胸に引っかかる人を思う春のウラガワ(2)

    ・最近の志麻子さん 
     4/23(火)「平山夢明と岩井志麻子の大阪艶話」開催
     5/12(日)「オメ★コボシ45」開催

     TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
     「岩井志麻子のおんな欲」連載中
     カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
     MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

    ・著者プロフィール

    ===

    春になると、過ぎ去った冬の向こうの人やもの、どうしようもない昔を思い出してしまう岩井さん。
    そんな人たちについてのエピソードをお届け。

    女優の雪菜(仮名)とは以前からときどき共演する仲。
    彼女には同世代の男性マネージャーが付いていたのだが、あるとき雪菜がブチ切れてしまい、交替したのだそうだ。
    彼は実はもともとは芸人で……。

    バックナンバーはこちらから↓
    http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga

    2014年11月~17年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
    2018年1月「命や生きることについて考えたウラガワ
    2月「人はなかなか変わらないのウラガワ
    3月「きれいに卒業できない女たちのウラガワ
    4月「新たな出会いの不気味なウラガワ
    5月「良い季節でも人は病むウラガワ
    6月「『有名な男の女』だった二人のウラガワ
    7月「怪談の季節! ゾッとする実話なウラガワ
    8月「嘘と本当のあわいの怖い話のウラガワ
    9月「大人になりきれない人達のウラガワ
    10月「ベトナム旅行チン道中のウラガワ
    11月「しみじみしんみりな出来事のウラガワ
    12月「来年まで引きずりそうなアノ人のウラガワ
    2019年1月「去年に縁があったあれこれのウラガワ
    2月「台湾で初めて会った人たちのウラガワ


    ※2014年10月以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

    2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
    2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

    ===

     物心ついた頃から、春になると新学期や新しい環境にときめくのではなく、不安になるのでもなく、過ぎ去った冬の向こうの人やもの、どうにもならない昔を思い出して悲しみに浸っていた。他の季節には、あまりそういうふうにはならないのに。

     ある種の木の芽時、なのか。わかりやすい心身の不調はないが、私にとっては春の病か。そんなわけで今月は、過ぎ去ったのに引っかかったままの人達を書いている。

                        ※

     女優の雪菜とは以前から、ときどき思い出したようにどこかの番組で共演していた。一回りほど年下の美熟女で、さっぱりしたいい女だ。芸人を多く擁する中堅事務所に所属しているが、彼女が稼ぎ頭といっていい。

     雪菜と初めて仕事の場で会ったのは数年前になるが、彼女と同世代の男性マネージャーがついていた。大阪の食い倒れ人形を巨大にしたような見た目だが、どっしり落ち着いた雰囲気で、仕事はできそうだった。雪菜と普通に仲も良さげだった。

     私は彼とは挨拶するくらいで、それ以上の会話をしたことはない。あくまでも雪菜のマネージャー、ただの仕事関係者でしかなく、現場以外で彼について思い出すこともなく、考えたこともなかった。

     雪菜とも私は仕事の場でしか会わず、私的な会話もしたことがなく、当然ながら連絡先も知らなかった。それが去年の暮れ、やはりたまたま同じ番組に出たとき、
    「ねえねえ、この後ちょっと二人で飲みに行かない?」
     などと誘われた。そうして初めて雪菜と二人きりになり、私的な話をした。

    「志麻子さん、私のマネージャーが替わっているのに気がつきましたか」
     乾杯の後、まずは雪菜はそういった。あ、そうだっけ。しばし、きょとんとしてしまった。いわれてみれば、今日はあの巨大な食い倒れ人形は見てないかもしれない。
     でも、もともと何の興味もない人だったので、いたかいなかったか本当に覚えてないのだった。わかんなかった、と正直に答えたら。
    「あれ、ついに私がブチ切れてしまいました」
     と眉をひそめた。彼は仮に長江としておくが、元芸人、いや、今も芸人なのだそうだ。

    「芸人としてうちの事務所に所属したんですが、全っ然、芽が出なくて」
     
    この記事は有料です。記事を購読すると、続きをお読みいただけます。
    ニコニコポイントで購入

    続きを読みたい方は、ニコニコポイントで記事を購入できます。

    入会して購読

    この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。

    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。