近藤「ありがとうございます。決定戦は気持ちよかったですよ」
近藤「それが1回戦だったというのが大きかったですよね。あと、19回残ってるじゃないですか。仮にそこで凄く離されても、まだ戻す時間があるというか。もちろん宇野ちゃんが10万点近くなって自分がハコというのは嫌ですよ。だから何とか粘って、とは思いましたけど焦る感じではなかったです」
近藤「なかったですね。強いて挙げるとするなら、たしかにその1戦目の宇野ちゃんの大連荘のときでしょうか。しかもその半荘で1局、厳密にはアガリ逃しはなかったかもしれないけど、自分の中ではこれはマズかったんじゃないかな、という局もあって。それが、宇野ちゃんの連荘の1本場か、始まりの頃の局だったので。その局を違う手順で進めていると、自分の3000・6000になってるんですよ。それなら全然展開が違いますよね。なので、強いて言うならその局、自分が失敗した部分も含めてちょっとヒヤっとしました」
★3年ぶりのファイナルですが、2012年の予選B卓での敗因はどこだったと思われますか?
じゃいさん、小島武夫プロ、佐々木寿人プロが立て続けにリーチ。
すでにタンヤオで2フーロの近藤プロはこのをポン。
結果、2着目のじゃいさんがハネ満をツモ。そのまま逃げ切って決勝に進出した。
近藤「結構遠い仕掛けで2フーロでイーシャンテン。で、寿人プロのリーチ宣言牌をポンしてテンパイを取ったのですが、さすがにあれはやりすぎでした。元々トップ目なのだし、落ち着いてポンを見送り、トイツ落としで静観するのがやはり正着でしょう」
近藤「基本は近しい人とセットを打っています。それが『打つ』ことのトレーニングです。研究会みたいなやつだと、どうしても理論的な部分の論議が中心になるじゃないですか。正直、いま自分に必要な部分は、打つことで体感すること。それを大事にしていますね。打荘数自体はそんなに多くないですが。それは正直言って、年齢的なもので、麻雀を打つ時間も大切ですが、体の準備をすることが同じぐらい大切になってきているので。それに時間を割くことも必要だと思っています」
近藤「わりと歩くことが多いです。というと凄く短絡的な話になりそうですが、よくテレビなどで『歩き方『こういう歩き方がいいですよ』みたいなこと、たとえば早く歩くとか大股で歩くといい、あと姿勢とか呼吸とかを見て学びます。そういうのを意識して、日常的にも歩くようにしていますね。後は、家でストレッチとか、体幹トレーニング的なことをやっています。別にプロの人に教わったというのではないですが、テレビに映っていることを見よう見まねで、自分なりにやっています」
近藤「麻雀って理論的に考えることも大事ですが、経験値も大事じゃないですが。一番大きなことは、元々はその2つを両立したいと思い、それを目指してやってきたんですけど、それを止めたんですよ。理論の方はちょっと黙っててもらって、封印する感じですね。で、とにかく自分の感性を信じて、打つようにしています。3年前に最高位になった年からそうしています。正確に言うと飯田(正人)さんが亡くなったときからです」
★飯田さんからはそういう部分も教わったりしていたのですか?
近藤「教わったというよりは、僕はずっと飯田さんを慕っていたので、いつも近い距離で打っていたので。ちなみに余談ですが、僕は10数年前に飯田組若頭を拝命いたしました(笑)。とまあ、そういう間柄なので。別に何もしない組なんですけど、精神的な繋がりというだけで。で、そもそも飯田さんって感性の塊みたいな人じゃないですか。自分は理論と感性の両立を目指して、それでもなかなか上手くいかず。で、飯田さんが亡くなられたとき、ようやく(理論をいったん封印する)決心ができたんですよ。理論の部分を、極端に言ったら捨てるというか、そういう感覚で打つのは凄く怖いじゃないですか。その決心がようやくついたんです。何と恐ろしいことに、その前と後で全く成績が違うようになりまして」
★最強戦の前日はどのように過ごされるのですか?
近藤「自宅でなるべく何もしないようにします。ちょっと体の良い言葉でいうと『瞑想』します。まぁ、頭の中をなるべく空っぽにしようということで。無にするというイメージです」
★今回の対戦相手(魚谷侑末プロ 江崎文郎プロ 片山まさゆきさん)にはどういうイメージを持っていますか?
近藤「もちろん皆さん強い人ばかりだと思いますが、基本的には気にしないようにしています。特に何かイメージを持って入るというよりは、まっさらなイメージで卓に着きたいです。対局では感じたままに打ちます」
★優勝したら賞金は何に使いたいですか?
近藤「そういう質問あると思ったんですよね。で、考え始めて途中で考えるの止めちゃったんですが。テーブルの上に積んで眺めながら美味しいビールを飲みたいと思います」