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ダークサイド、怖すぎ。
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ダークサイド、怖すぎ。

2016-10-20 23:45

     将棋界では、三浦九段のスマホ不正疑惑が大騒ぎになっています。

     辛いです。幼い頃から将棋は下手だったけど好きだったし、プロ棋士に憧れたし、大学生の頃は『羽生の頭脳』全部買って読んでました。それだけに今回の騒動はきついです。でも私はクロだと思っています。

     一方でなにもかも三浦九段のせいにする気もありません。あの立場に追い込まれれば、多くの棋士が同じことをしたのではないかと思います。

     ですから、もっと早く規制されていればと悔やまれますが、それ以上に技術の進歩が早く、一歩遅い結果となりました。

     罪を憎んで人を憎まずで、この状況に向き合ってみようと思います。



     今回の疑惑について白黒はっきりさせることはおそらく困難でしょう。「疑わしきは罰せず」ということで、将棋棋戦の最高峰である「竜王戦」を直前に、三浦挑戦者から休場届を出すことで処罰をかわそう道筋がつけられました。

     しかし、それを三浦九段はしなかったために、協会側からの処分という形になってしまいました。

     この処分については、「疑わしきは罰せず」の原則があるとはいえ、致し方ありません。『週刊文春』での渡辺竜王の発言が全てを語っています。
     「竜王戦が始まってから疑惑が公になれば、シリーズは中断される可能性が高いと考えました。それだけでなく、タイトル戦を開催する各新聞社が“不正”を理由にスポンサー料の引き下げや、タイトル戦の中止を決めたら連盟自体の存続さえも危うくなると思ったのです。そんななかで最悪のシナリオは『疑惑を知りながら隠していたという事が発覚する事だ』と判断しました」

     今日発売された文春の特集によれば9月26日には、三浦九段もいる会議の場でスマホ持ち込み禁止が議案にかけられ、12月14日から運用されることが決まりました。

     それだけ棋士達の不正への意識が向いている中、その後の10月3日のよりによって渡辺竜王との対戦、誰もが注目するような対戦で、他の棋士達がクロと確信するような行動に出てしまいました。そのようなタイミングで「李下に冠を正す」時点で、このような騒動になっても仕方ありません。


     一度不正に手を染めてしまうと、かくも逃れられないものなのでしょうか。

     その根底には、将棋ソフトがあまりにも異常な早さで発展したことがあります。

     今年の7月にはアンドロイドでも手軽に最強の将棋ソフトの一つ「技巧」が扱えるようになったそうです。アンドロイドですからマシンパワー的に最大の強さは出せないかもしれませんが、もう誰でも魔が刺せば簡単に「カンニング」できてしまう状況が整ってしまっていたのです。


     本当はもっと早く厳しい規制を設けるべきだったと悔やまれますが、技術の進歩のが早すぎました。9月26日の禁止議案についても、12月でなく即時運用にできていれば、三浦九段のさらなる不正行為を防げたかもしれません。

     世間では本当にやったか決まっていないと考える人もいるようですが、残念ながら棋士の間では、もうクロ確定です。何十年も同じ仲間で指しあっている仲ですから、裁判所が提出を求めるような証拠はなくたって、彼らが確信するのに十分な証拠は揃っています。それでも、それを強弁することなく、公式にはクロ認定せず、直接の処分も下しませんでした。

     一方でいわゆる「文春砲」を認める形で事実上のクロ認定を実行したあたりは、棋士達の並々ならぬ怒りにも似た決意を感じます。「文春砲」が打たれたことで、今後批判を受けるのは、三浦九段だけではなく、当然将棋界全体や、渡辺竜王たちにも、その矛先は向けられることでしょう。それも受け入れる覚悟を皆したのだと思います。


     それにしても、今回の事件、スターウォーズのダークサイドがそのまま具象化したような、恐ろしい展開になってしまいました。

     なぜ今回の不正を起こしたのが三浦九段なのかは、ファンなら誰でも推測がつきます。2013年の電王戦で人間側5人の棋士のラスボスとして当時最強と考えられた「GPS将棋」と対戦し、一手も悪手を打っていないとされながら完敗してしまったのです。この時価値観が根底から崩れたんだろうなと誰もが推測することでしょう。

     実際、じゃあ、もうコンピュータ使って対局すればいいじゃんという考えもあるし、実際ニコ動ではそういう企画も行われています。弱い人間同士でやったって仕方ないじゃんと考えるのは自然なことです。

     そのような状況ですから、規制がなければ、いずれ誰かは不正をしたことでしょう。実際三浦九段以外にもカンニング経験者はいるかもしれません。精神論ではなく、厳正な不正対策を講じていくべきです。一度でも手を染めてしまえば、三浦九段のように疑われても手を出してしまうのです。

     絶対不正が無理という環境を作れば、プロ棋士達もカンニングの誘惑に惑わされることなく、対局に集中できます。

     三浦九段が新年からすんなり復帰できるかはわかりませんが、新しい不正のできない体制のもと、ダークサイドから戻ってきて、地道に指し続けてほしいです。


     それにしても、やはりダークサイドは恐ろしいものです。これだけ目をつけられてもやってしまうとは。12月からの規制は、逆に12月までは持ち込み可ですから、それまでは今のまま続けて問題ないと、脳内で自分に都合よいストーリーが生まれたのでしょうか。

     ダークサイドから生還し、いつか平穏が取り戻されたとき、この事件がきちんと振り返られることを願います。人類の失敗百選の一つとして。どんな天才でもダークサイドの誘惑に負けることがあると。


     最後ですけど、囲碁もいますぐ同等の規制を作ってほしいです。段階的であっても。おそらく数年で同じ状況になるでしょうから。


    《ワンポイントミライ》(

    ミライ: 『未来の普通』的にはこの事件はどう受け止めればいいんでしょうか。

    フツクロウ: ホウじゃな。人工知能があまりにも急速に発展することで、これから似たような問題があらゆる分野で起こるんじゃないかの。

     人工知能が普及する過程で、今までの常識があらゆる分野でひっくり返っていくからの。
     
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