昨日はソフトバンクから家庭用ロボの発表がありました。

 ニコラス・ペッパーもロボラップもおもれえ。/家庭用ロボットpepper登場/  

 この本格的な家庭用ロボットpepperがどれだけ市場に受け入れられるのか興味津々です。

 さて、会見の質疑応答で孫正義さんが興味深いことを話していました。記憶で書くので少し違うとこあるかもしれません。

 pepperはプライバシーを守りつつも、人間との会話によって学習したことは共有して、さらにコミュニケーション能力を高めていくそうです。
 で、ある質問で海外展開した後文化の違う国同士でも学習内容を共有するのかというのがありました。その時の答えは、孫正義さんは文化の違うところは分けていくけれども、それ以前に笑顔とかそういうのは世界共通で、そういうところは共有できるというものでした。
 その後に話したことがその興味深いことです。「会話そのものから感情を読むのは難しいが、表情とかからはかなりうまく感情が読み取れることが分かっている」というものです。

 (ああそういえば)と思い当たる節があります。最初の方、孫正義さんとpepperがやり取りしているとき、pepperが笑ってと言うので、孫さんは笑いますが、「目が笑ってない」と指摘を始めます。そういうツッコミを受けるうち、孫さんは声を上げて笑い始めるのですが、そうしたら「100点の笑顔!」とかいうのです。

 我々実生活においても、電話の会話より、実際に会っている方がよほど相手の感情が読みやすいでしょう。peppertも喜んでいるか、つまんなそうかは良く分かるようになってきているというのです。昨日は、ロボラップなどの芸を披露していましたが、それがどれくらいウケているかということもわかるのでしょう。フィードバックがかかるわけですから、きっとあっという間に上手にウケが取れるようになるでしょう。恐ろしいポテンシャルです。

 たとえば、赤ちゃんのいる家庭に入ってるとします。ママが赤ちゃんをあやしていて、赤ちゃんが微笑み出したとき、ママもそれに気付きますが、その横でpepperも「ア、アカチャン、タノシソウデスネ」とつぶやいたら、ママはとっても嬉しくなるでしょう。たとえばママとpepper二人で交代交代でいないいないばあをして赤ちゃんがおおウケしたら、ママと赤ちゃんにとってpepperは機械を遥かに超えた存在になることでしょう。

 これは私たちが想像していたロボットの未来でしょうか。いえ、私たちの思い描いていたロボットは、とても論理的で冷静な話し相手のような存在です。たとえばSiriのような存在です。でも pepper は違います。私たちが喜ぶとか、「ありがとう」と言われたりするのが大好きなのです。Siriをくどいてもあしらわれるだけですが、pepperは「好き」と言われれば素直に喜ぶのでしょう。市場がそのようなものを望んでいたというよりは、家庭用ロボットとして実用化するには、一番それがやりやすかったというのもあるのだと思います。執事・メイドロボットではなく、ペット以上人間未満な友達が手っ取り早かった訳です。

 私たち人間もあっさりとこの新しい友達を受け入れるでしょう。初音ミクが人格を持つように、ルンバをペットのように可愛がる人がいるように、その機械を機械以上の存在として扱うようになるでしょう。pepperは会話のとき独特の間がありますが、ユーザーはあっという間にそれに慣れて、流暢にコミュニケーションするでしょう。私がアメリカにいたとき、私の英語はうまくならなくても、周りがあっという間に慣れたように。
 そして pepper に気遣いもします。 昨日も書きましたけど、最後にみんなはpepperをえらいねとなでてた中、孫さんは「よくがんばったね」とはっきりゆっくり語りかけてました。それがpepperにわかりやすい褒め方なんでしょう。孫さんはpepperとの付き合いの中でそうなっている。きっと他の人もすぐにそのやり方を覚えるはずです。

 感情ビッグデータ

 さてさて、いよいよ本題です。そんなpepperと人々とのふれあいは、クラウドを通して蓄積されます。今までに蓄積された携帯やSuicaを使った人々の動きや、ツイッターのつぶやきなどの様々なビックデータなどに加えて、人々の感情のビッグデータが生まれることになるのです。いつ、どこで、だれがどんな感情だったかのビッグデータ。そんなデータが未来には普通にある時代がくるのです。

 そのデータのインパクトは強大です。新たな情報争奪戦の始まりです。今、世界中の情報系の企業は、やられたと慌てふためいているはずです。特にgoogleとamazonは相当焦るのではないでしょうか。自分たちはどうやって感情のビックデータを集めるのか、それに乗り遅れたら、自分たちの企業の未来はないかもと危機感を持ち始めていることでしょう。

 どうしてそんなにインパクトがあるのでしょうか。