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『ウォーハンマーRPGセッション風景配信』第2回プレイレポート
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『ウォーハンマーRPGセッション風景配信』第2回プレイレポート

2015-05-13 18:07
    ウォーハンマーRPGセッション風景配信も早くも第2回

    配信冒頭でちょっとお知らせもいたしましたが、次回配信からは水曜日から火曜日に放送日をお引越しいたします!
    次回の5月19日配信の番組URLはこちらになっておりますので、お日付をお間違いの無いようお気をつけください。


    さあ、岡田GMからの戦闘重視の回ですというコメント。
    中々不穏なことを仰っておりますが、シンプルながらデッドリーと言うのはまさにその通り。
    一体どれほど危険なのかと言うのは、今回のセッションの中で明らかになるでしょう……

    そして!なんとありがたいことに今回の配信から筋肉映画ライターの傭兵ペンギンさんもプレイヤーとして参加していただけることになりました!
    「戦いは数だよ!」というセリフも有るように、仲間が多いというのはそれだけで頼もしいことですね。


    ・・・

    時を遡ること1年……
    エンパイアは“混沌の嵐”と呼ばれる戦に覆い尽くされようとしていた。

    北方からキスレヴを越えて侵攻をつづけていた混沌の軍勢――ウォーリアー・オヴ・ケイオス――の戦士達は、オストランドやノードランドといった北に位置する領邦を蹂躙し、帝都アルトドルフへ向けて南下を続ける。

    混沌の神に選ばれた混沌の戦士“ケイオス・ウォーリアー”は、その身に神の恩寵である混沌の鎧“ケイオス・アーマー”を同化させ、疲れなぞ知らぬとばかりにただただ戦いを続ける恐るべき存在である。
    闘争のために生まれた彼らは、その体躯も恐るべき巨大さであり、並みの人間では頭2つから3つぶんは背丈が低い。

    また、その存在すらが綿密に隠匿されながらも、帝国の各地に深く入り込んだ鼠人間“スケイヴン”達も混沌の軍勢の侵攻に呼応し、大都市の下水道や地下道、大地の下に走る知られざる洞窟を行き来し、人々に病や狂気、そして死をもたらして行った。

    ……もっとも、スケイヴン達は混沌と手を組んだわけではなく混沌を利用しようとしていただけ、とも言われている。スケイヴンの信ずる神“角在りし鼠”は混沌の神々とハ相容れぬ物なのダから……

    いずれにせよ、帝国はかつて無いほどの危機に見舞われたのである。
    村々は略奪され、焼き払われた。数多の人々が故郷を守る為に戦い、命を落とした。
    各地の都市では噂なのか事実なのか分からぬ無数の風聞が人々に絶望を与え、混沌の神への信仰と言う愚行へ走らせた。

    誰もが、明るい未来など望むこともできない状況だった。

    だが、エンパイアの人々はその絶望を前に、必死に耐えていた。
    かつてシグマーが成した偉業を誰が忘れようか。
    英雄は神となり、今も我らを見守っている。情けない姿など、晒せる物か。

    今まさに、とある城塞都市が混沌の軍勢に取り囲まれていた。
    敵方には汚濁を投げつけるウォーマシンや、スケイヴンによる奇妙な生きる電撃を打ち出す機械、そして多くのケイオス・ウォーリアーが揃っている。
    もはや命運は尽きたかと、人々は家の中でただ神への祈りを捧げるのみである。

    だが、シグマー教団の反骨の戦闘司祭ルーサー・フスによってエンパイア各地の敗走した部隊から再集結した兵士達や、蹂躙された領土の奪還の為に私兵騎士団を引き連れこの地に訪れたノードランドの将軍の目は燃えていた。

    “混沌の嵐”の最中、ルーサー・フスは、アルトドルフのカール・フランツ大帝の御前に一人の若者を引き連れ現れた。
    その若者の名はヴァルテン。彼こそは天主シグマーの生まれ変わりに他ならないと、語られる英雄である。

    カール・フランツ大帝は、この若き英雄に戦槌ガール・マラッツを貸与し、シグマーの代理戦士の任を託した。
    そのほか同盟を結んだハイ・エルフの不死鳥王フェニックス・キングやドワーフ帝国の至高帝ハイ・キングから贈られた駿馬や全身鎧を身に纏ったヴァルテンが今、戦場に立っているのだ。

     『シグマーはわれらと共に』

    この思いが、どれだけ人々を滾らせるか。
    この思いが、どれだけ人々を漲らせるか。
    この思いが、どれだけ混沌を打ち破ってきたか。

    戦場に、混沌の軍勢の打ち鳴らす地から響くような太鼓の音と、騎士が吹き鳴らす高らかな突撃の喇叭音が上がった。
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    奮闘するルーサー・フスやヴァルテンに追い立てられ、主戦場から逃亡する混沌の手勢。
    その連中に止めを刺す任務が、まだ戦場に立てるほどの実力を持たぬ入信者達に命ぜられていた。

    「おい、ヨハン!やはりヴァルテン様はシグマー様の生まれ変わりだったんだな!」
    「うむ、まさにその通りだゲオルグ。私も彼に習い、両の手にハンマーを持ち戦うぞ!」

    ヴァルテンがかつて働いていた鍛冶場が混沌に襲撃された際、両の手にハンマーを持ち双槌でそれを撃退したという逸話は余りにも有名である。
    そのため、戦場ではしばしば彼のようにシグマー神を象徴するハンマーを二振り掲げ戦う者たちが見受けられるのだ。

    「どうやら俺達が神官戦士になる前に、この戦争は終わっちまいそうだな。ヴァルテン様さえいれば混沌を撃退できる……いや、それだけじゃない。混沌に支配されたキスレヴを開放し、そして遥か北方に在る“混沌の領域”にまで攻め込むこともできるかもしれない……!この戦い、勝ったな!」
    「いや、しかしシグマー様は言っている、『いかなるときにも油断をするな』と。」
    「確かにな……だが聞こえるだろう、あの戦場に響き渡る歓声が。見ろ!エンパイアの騎士団だ!」

    各領地の軍服を身に纏った騎士団がケイオス・ウォーリアーの隊列に正面から突撃する!
    いかな屈強な混沌の戦士とは言え、速度の載った馬上槍の一撃はそうそう耐えられる物ではない。
    黄と青の衣を身に着けたノードランドの騎士たちは、自らの領地を蹂躙された怒りをその槍に込め、混沌の戦士達の反撃による被害など意にも介さず、戦場を人馬一体となり駆け続けていた。

    その鬼気迫る勢いと、味方部隊の壊滅に恐れをなしたのか。
    ヨハンとゲオルグは奇妙な一団が蜘蛛の子を散らしたように戦場から逃げ出すのを目にした。
    人間と鼠を掛け合わせたような姿のおぞましい生き物……そう、卑小なるネズミ人間、スケイヴンたちだ。

    混沌の戦士達に呼応して戦場に現れた連中だったが、頼みのウォーリアー達が倒されていくのを見て早々に士気がくじけたのか、我先にと逃げ出していく。
    その後ろから、ライクランド帝都アルトドルフの軍服を身に纏ったハルバーディアーを主として形成されたルーサー・フスによる敗残兵の再起隊が追いすがり、次々に縊り殺していった。

    「ネズミ捕り時代に噂は聞いていたが、こんなネズミ人間どもが本当に居たとは……だが、力も無ければ統率も取れていない、こんな連中が戦に顔を出すとはお笑い種だ!」
    「感じるぞ!シグマー様の息吹を」

    二人は戦場を脱して逃げ延びるために向かってくる数体のスケイヴンをいなし、止めを刺して行く。
    戦の形勢は決した、帝国は混沌の軍勢に勝利したのだ。辺りには凄惨な戦いの痕跡が残るばかりではあった。
    しかし、確かに人間はその結束によって強大な混沌の戦士達を追い返したのだ。

    警戒を解き、肩で息をしていた入信者達。

    「おや?」

    そんな中、不意にゲオルグは屈み込んで、何かを拾い上げた。
    それは爪の先ほどの小さな石だったが、微かに緑光を放っていた。

    「なんだこれ?綺麗な石だな。」

    ――その石は危険な物だ――
    “ヨハンの頭の中の”シグマーがそう警告を発する。

    「ゲオルグ!このような戦場に落ちている物だ、その石は危険かも知れん。下手に触るのではない!」
    「そうか?これも戦利品のひとつさ。持ち帰れば、シグマー様への寄付の足しになるかもしれないぞ。」

    (寄付金……確かにそうだ。)

    敬虔なシグマーの信徒であるヨハンは、そう言われてはそれ以上石について言及することはできない。

    「シグマー様が、我々の活躍にささやかな報酬を下さったのさ。」

    ゲオルグが懐の財布にその石を放り込むのを不安気に見つめることしかできなかった。

    それからだった、ゲオルグが人と合うこと避けはじめたのは。
    そしてついに、彼は修道会から姿を消してしまったのだった……

    ・・・

    「あれから一年か……」

    ゲオルグ追跡の任を修道会から命ぜられたヨハンは、その足取りを追ってブロルグという名の村へたどり着いた。
    村民達からモールスリーブの休憩亭にそれらしき男が泊まっているという話を聞きだした彼は、急ぎその宿へと向かっていた。

    「奴の行動は余りにも不自然、もしや先の戦の中で混沌の力に影響を受けてしまったのやも知れぬ。万一入信者が混沌に組しているとあればシグマー教団の醜聞となろう。奴が既に混沌に汚染されているのであれば、シグマーの名と我が修道会の名誉にかけて、速やかに成すべきことを成すのだ。……魔狩人どもに嗅ぎ付けられる前に!」

    渋面でヨハンに命を告げるブラザーの言葉を脳裏に思い起こした。

    「……奴の飼い犬が、シグマー信徒だけではなく魔狩人どもの匂いにも敏感であればいいのだがな。」

    軽く頭を振り、宿の戸に手をかけようとしたその時。
    階上から、甲高い悲鳴が聞こえてきたのだった。

    ・・・


    「ひ、額から裂け目が!そこから目が!うわぁぁああああっ!」

    かつては同室の男だったミュータント。
    彼――いや、それは最早人間だったことが信じられぬような見た目になっていた。
    皮膚は爬虫類を思わせる毒々しい色彩の鱗が生え伸び、額に開いた第三の眼は周囲をギョロギョロと見渡している。

    だが、“それ”の異様さはそれだけに終わらなかった。
    ローブによって包まれていた体が露わになれば、そこには左手がまるで巨大な口と見まごうような鋏と、更に肩口にも第四の目が開いているではないか!
    そのミュータントの持ち物だった鞄を抜け目無く掴んでいたウドーは、後ずさりをしながら思わず鞄とともに身を抱きすくめると、そこからは“食べ掛けの”ネズミの死骸がボロボロと零れ落ちる!

    「……見られてしまったからには、生かしてはおけない…」
    「そ、そこなハーフリング!離れるんじゃ!」

    あまりにもおぞましいその光景に、バルデマー、グレッチェン、グルンディ、ウドー、ウルディサンは怯え、立ちすくんでしまうのだろうか……?


    ウォーハンマーRPGのキャラクター達は、冒険に慣れた者ではなく、あくまでも普通の人々!
    このような恐怖を目の当たりにした場合、恐れの余りパニックに陥ってしまう場合があります。
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    キャラクターは恐怖を引き起こすような場面や生き物に出くわしてしまうと、【意志力】テストを行なわなければなりません。
    テストに成功すれば、何も問題はありませんが、失敗してしまうと「恐怖の虜状態」になってしまい、そのラウンド、どんな行動も取ることができなくなってしまいます!

    次のラウンドになれば、再び【意志力】テストを試みることができますが、成功するか、その恐怖の原因がなくなるまで「恐怖の虜状態」は続いてしまうのです!

    【意志力】テストの結果、成功したのはグレッチェンのみ!なんと4人も行動できない状況です!
    こんな状況で戦闘に入ってしまって大丈夫なのでしょうか……?

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    恐怖で声すら上げられないウドー、尻餅と同時に尻から何か破裂するような音と異臭が漂うがそのようなことを気にかける暇すらない。その左手の巨大な鋏で頭を潰そうとミュータントが迫ってきているのだから!
    だが尻餅をついたことが功を奏した。巨大な鋏による一掴みは、かろうじて頭上を掠めて数本の毛を短くしただけにすんだのだ。

    「そこのハーフリング!お退き!」

    グレッチェンは、ミュータントがなにやら奇怪な姿をしていることには気付きながらも、気丈にも鶴嘴で殴りかかる!
    だが、流石に命有る物に向かって鶴嘴を振り下ろすことに抵抗があったのか、鶴嘴は空を切り宿屋の床に鋭く突き刺さった。


    1ラウンド目、行動ができたのはミュータントとグレッチェンのみ。
    2ラウンド目からは「恐怖の虜状態」のキャラクターは手番ごとに【意志力】テストを行なって、成功すれば行動できるということに。
    しかも岡田GMからはラウンドごとにテストへボーナスをくれるとのこと、これはありがたい!

    しかし残念ながらウドー、ウルディサンともに【意志力】テストは+20%のボーナス付きでも失敗……
    再びミュータントの手番になってしまいます!


    腰を抜かしたハーフリングは、たいした脅威ではない。物騒なものを振りかぶってきた女に向き直り、再び鋏を振りかぶる。
    どうせ攻撃を避ける術など持たぬのだ、思い切り殴りかかってやる!

    「どけ!女!」

    そう繰り出した鋏はしかし、再び空を切る。まだ変異した体に慣れていないのか?それとも……
    ミュータントはその一瞬の逡巡のせいで、みすぼらしい男が自分に向って突き進んでくることに気付くのが遅れた。

    (この程度の恐怖、旅の中でいくらでも味わっただろう!)

    自分に活を入れ、バルデマーは恐怖を頭から振り払う。
    右手に持った愛用の棍棒を振りかぶり、ハーフリングの脇を駆け抜けミュータントへ肉薄する!

    「混沌に犯されてしまったのであれば、命を絶ってやるのが唯一の慈悲だ!」


    見事バルデマーは恐怖を振り払い、ミュータントに向かって突進攻撃!
    突進攻撃による+10%のボーナスと、グレッチェンと二人がかりの攻撃による+10%のボーナスで当たりやすくなった攻撃は見事命中です!

    では、ここからウォーハンマーRPGの攻撃でのダメージの与え方の解説を。
    まず、攻撃がどこに命中したかを決定します。これは命中した攻撃の判定の10の位と1の位を引っくり返して命中部意表を参照します。
    今回は[02]の目で命中したため[20]の部位、右腕に命中しました!

    そして、命中部位が決まったら次はどれくらいダメージを与えたか決定します。
    攻撃に使用した武器によって、基本となるダメージ値というものが決まっております。
    今回攻撃に使用した棍棒……実はこれ[片手武器]という武器なので、棍棒でも剣でも斧でもデータは変わりません。
    そのダメージ値は、使用しているキャラクターの【筋+】と同じ値、すなわちバルデマーの場合は「3」です。
    この基本となるダメージ値に、1d10の目を加えたものが、この攻撃によるダメージになります。

    ダイスの目は「7」!バルデマーのこの攻撃は「10点」のダメージとなります!

    しかし、攻撃を受けた側はこのダメージを【頑+】と、命中した部位の『防御点』分減少させることができます。
    ミュータントの【頑+】は「3」、そして鱗によって1点の防御点が有るため、4点減少させた6点をダメージとして受けます。

    ダメージを受けた場合には、その点数分の耐久力を減らします。
    耐久力は部位に関わらず一律で持っておりますので、どこに何点受けたか~といった煩雑な管理は必要ありません。


    勢い良く振り下ろされた棍棒は、ミュータントの右腕を強かに打つ!
    流石に一撃で倒れるといったことは無いが、それでもかなりの痛手を受けた様子である。

    「くそ、俺はアルトドルフに行かなきゃいけないんだ!こんなところで死ぬわけには……」

    痛みに貌を顰めながらも、ミュータントが呻く。


    続くグレッチェンの攻撃は残念ながら再びハズレ……
    しかし、グルンディが見事【意志力】テストに成功し、更にミュータントに攻撃を重ねていきます!


    (あの嬢ちゃんがアレだけ頑張っとるのに、ワシがこんなんでどうする!)

    バシッと頬を叩き気合を入れ、斧を構えなおすドワーフの傭兵。
    この面子の中では唯一とも言える戦闘のプロである。
    「ワシの斧を喰らえぃ!」

    正気を取り戻したグルンディも変異した男に向かって突き進む。
    長年の傭兵としての戦闘勘からか、狙い澄ました一撃は見事にミュータントの左腕にめり込んだ。


    ダメージ値は「3」ですが、グルンディは《強打》の異能を持っているため近接武器によるダメージが「+1」されます。更に1d10の結果はなんと「9」!
    結果、ミュータントへ与えるダメージは「13点」に!並の人間なら下手すれば一撃で耐久力が0になってしまうような大ダメージです!流石は闘い慣れた傭兵!

    流石に手負いのミュータントはこの一撃で【耐久力】が0になって、勝利……かと思いきや、ウォーハンマーRPGでは、耐久力が0以下になってもすぐに死んでしまう訳ではありません!
    耐久力が0を下回った場合、d100を振ってクリティカル表と言う物を参照します。

    今回は“右腕”に命中した攻撃で【耐久力】が“-4”になりd100で“88”が出ました。
    そのため、クリティカル表の「-4」と「88」が交わる数値を見て、その数値の“腕”のクリティカル効果が適用されます。

    クリティカル表の数値は「6」、腕のクリティカル効果6番は

    攻撃で腕が砕かれる。その手に握っていた物を落とす。出血がおびただしいため、キャラクターは治療行為を受けるまで毎ラウンド20%の確率で死亡する。毎ラウンド被害者の手番が始まるたびにテストを行うこと。

    と言うものでした。

    このクリティカルの効果が適用されると、マイナスになった【耐久力】は0まで回復します。
    そして、次にダメージを受けた場合にはまたクリティカル表を参照する、と言うのがウォーハンマーRPGにおいての【耐久力】の処理なのです。

    グルンディの一撃は強烈なダメージを与えたものの、とどめを刺すには至っていません!どうなる!?


    左腕に叩きつけられた斧はしかし、鱗によって硬化した皮膚により致命傷には至らなかったミュータント。
    だが、その腕からは盛大に血しぶきが上がり、もはや変異した哀れな男の命運尽きたかに思えたが次の瞬間!
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    「GARRRRRR!!!」

    窓の破砕音と身も凍るような咆哮と共に、室内に巨大な四足歩行の怪物が二頭飛び込んできた!
    その姿は良く見れば犬のようでもあるが、こちらも混沌によって変異してしまっているのか、自然の生き物とは思えぬような異形となってしまっている。

    飛び込んできた怪物、混沌の猟犬――ケイオス・ウォー・ハウンド――は、窓近くで恐怖に慄くウルディサンの傍らに着地すると室内を見渡し、ミュータントを見つけるとその風貌に似あわぬ従順な鳴き声を上げた。

    「ロッティ、アーディ、来てくれたのか!」

    数で押し切れるかと思いきや、まさかの新手の参入。
    現時点でも数は勝っているが、数人はいまだ恐れに捉われている状態である。
    まだまだ彼らの危機は去っていないようだ……

    ……だが、部屋の中に居る者は気付いていなかった。
    酒場となっている1階から続く階段を、駆け上る力強い足音もまた響いていたことを。

    「見つけたぞ!ゲオルグ!」

    ミュータントの立ちふさがる扉が荒々しく開け放たれ、シグマーの聖印を腰に下げ、二振りのハンマーを手にした逞しい男性が、そこには立っていた。

    「シグマー教団の神官……?」

    新手か?一瞬そう逡巡するグルンディやバルデマー。
    だが男の更なる台詞が、彼もまたこのミュータントを討たんとする者であることを表わしていた。

    「ゲオルグ、やはりこうなってしまったのか……。せめてこのハンマーで滅ぼしてやろう!」
    「貴様が来たのか……ヨハン!」

    一瞬、ミュータントの瞳に怯えと後悔の念が浮かんだように見えた。
    しかしそれは次の瞬間には激しい憎悪の炎に焼かれ、獰猛な敵意はより一層高まったようだ。

    「事情は知らぬが神官よ、お主も何か目的有ってのこととは思うがこの変異した男に……」
    「簡単に言う、手伝ってくれ!」

    ドワーフ特有の持って回った言い回しをしようとするグルンディの台詞を、バルデマーのすがるような声が遮る。
    そう、ここはもはや宿屋の一室では無く、小さいながらも帝国と混沌の退治する戦場なのだ。

    「生き延びたければ、戦うのだ!」

    ヨハンは高々と鎚を掲げる。腰に巻き付けたシグマーの聖句を記した紙片がはためく。
    強き意志を持って戦うシグマーの姿を思わせるその逞しき姿は、わずかながらウルディサンやウドーの心にも希望の明かりを灯したのだった。

    だが、ミュータントはそんなヨハンの姿を忌々しげに睨みつけて絶叫する。

    「シグマーの教えなどすべてまやかしだ!世界は滅ぶのだ、混沌に覆い尽くされてな!」

    変異した手を振り、口角泡を飛ばしながらかつてゲオルグだった物は必死に神を否定する。
    それは、真実を知ってしまったという絶望からなのか、それとも己自身を救わなかった神への憎しみから来るものなのか。
    いずれにせよ、彼は既に、かつて恭順した神へと唾棄する言動を続けるのだった。

    「ヨハン、お前は知っているのか!? シグマーの生まれ変わりと言われたヴァルテンは英雄ではなかったのだ!教団は戦いを終えたヴァルテンはこの地を去ったと言っているが、俺は見たんだ!ヴァルテンがラットマン共に殺されるのを!教団はそれを隠しているんだ!」

    「そんなことはなぁい!」

    絶望の言葉を投げかけるゲオルグ。
    しかしヨハンは両手のハンマーを、思い切り眼前で打ち合せた。
    それは闘志の表れでもあり、そしてゲオルグの忌々しき言葉をかき消す音でも有った。

    「いいや、事実だ!ヨハン、お前は堕落した司祭共の奴隷だ!俺はアルトドルフに向かいその真実を皆に告げるのだ、エンパイアに終焉が訪れるとな!」

    「終焉は、貴様に訪れるのだぁ!!!!」

    互いに譲れぬ主張をぶつけ合う、シグマーの教えを守る者とかつてそうであった者。
    今、この狭い部屋の中で帝国と混沌の戦いが再び幕を開けようとしていた。

    腰を抜かしたウルディサンとウドーの
    「なんでもいいからタスケテ……」
    「喧嘩は外でやってくれぇ……」
    と言う切実な声は、もはや誰の耳にも届いてはいなかった。


    と、ウォーハンマーらしきダーク&マッシブな会話を終えておやつタイムに。

    今回はイラストレーターの見田先生からバームクーヘンの差し入れを頂きました!
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    ありがとうございます!

    そして、ホビージャパンで用意したケーキには……
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    『祝!隔週配信』

    そう、5月下旬からは毎週第1、第3火曜日に時間帯を移して、RPGセッション風景を配信いたします!
    次回5月19日の配信からは、火曜日の20:00がセッション開始時間になりますのでお間違えの無いようお気を付け下さい。

    ちなみに、毎週第2、第4火曜日はおススメボードゲームのプレイ風景配信を続けておりますので、ほぼ毎週の火曜には電源を使わないゲームの配信が有ることになります。
    これを機にRPGに限らず色々なアナログゲームに興味を持って頂けると嬉しいです。

    では、おいしいバームクーヘンも頂いたところで、第3ラウンドに突入です!


    次から次へとあらわれる闖入者に、ウドーは怯えながらもなんとか落ち着きを取り戻した。
    口は上手くとも腕っぷしはからっきしの料理人とは言え、このままでは自分が怪物どもの腹に収まってしまうのだ、何とかしなければ。

    逃げるか?
    隠れるか?
    それとも攻撃するのか?

    今目の前にいる男……だった物は、流れ者とドワーフの猛攻ですでにフラフラだ、やれる。
    やらなきゃ、自分がやられる!

    震える手で肉切り包丁を取り出し、ミュータントに切りかかる!
    が、やはりその手は造り出すための手なのか。
    及び腰で繰り出した一撃は狙い澄ました甲斐もなく空を切ってしまった。

    続けてウルディサンも必死に恐怖を振り払う!
    すぐ近くに怪物が現れたのだ!怖い怖くないなど言っている場合ではない、死んでしまう!
    小さく悲鳴を上げながら、転がるように部屋の角へ向かい、護身用の短剣を引き抜き何とか攻撃への構えを取る。

    (頼む、こちらに来ないでくれ!)

    だが悲しいかな、怪物は元々犬であった習性に突き動かされたのか、一頭がウルディサンに追いすがる!
    牙を剥き飛び掛かる混沌の猟犬、ウルディサンは必死に短剣でその攻撃を受け流そうと試みるが、その手ごと左腕に喰いつかれてしまう。
    獰猛な噛み付きにより、ズタズタに噛み千切られるエルフの左腕。
    何とか命に別状は無い様だが、早急に手当てをしなければ危険な状況である。

    「安心しろエルフ!私は手当の心得が有る!」

    逞しき神官、ヨハンは自信有り気に語りかける。
    ……ただ、酒場でのバルデマーの台詞「稀に」が頭をよぎりイマイチ安心できない一行であった。

    もう一頭のウォーハウンドは手近なグレッチェンに飛び掛かるも、目測を誤り空を噛むこととなった。

    だがその二頭に続き行動するのはゲオルグ、激しい出血にも耐え、愛犬と共にグレッチェンに殴るかかるが、これもグレッチェンを掠めることなく空を切った。

    まだまだ戦況は分からない。
    誰か一人でも倒れてしまえば、犬どもが空腹を満たしてしまうかも知れないのだ。

    (……どうする?)
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    と、ここで視聴者アンケート
    目の前には今にも倒れそうなミュータントが一体。
    この場でどう動くのかを、配信をご覧の方々の意見に委ねてみましょう。

    受け流し準備をしつつ通常攻撃をすれば、ミュータントを倒しつつ続くウォーハウンドの一撃を回避できるかもしれません。

    全力攻撃をした場合、大変命中しやすくミュータントを倒すことができるかも知れませんが、ウォーハウンドに狙われては避けることすらままならず食い千切られてしまうかも知れません。

    防御に専念すれば、自分以外のだれかがミュータントを始末してくれて、安全にこの戦闘が終わるまで構えていられるかもしれません。

    結果は…
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    1と2で割れましたが僅差で1!


    (まずは頭数を減らす!だが危険を冒す必要はない。)

    棍棒を慎重に振り、ミュータントへとどめを刺そうとするが……残念ながらわずかに及ばず!
    しかし体制を即座に立て直し、追撃へ備えて周囲に警戒を戻すバルデマーであった。

    そして、そのバルデマーの一撃に気を取られるゲオルグに対して、ついに追跡者ヨハンが動き出した。
    二本のハンマーを構え、一気にゲオルグへの距離を詰めるヨハン。

    「フォォオオオオオ・ザ・シグマァアアアアアアアッ!」

    鬨の声を上げ、勢いを乗せた鎚が胴体にめり込む!

    「心の!臓を!潰してくれる!」

    骨や肉が断たれる嫌な音が響き、脊椎が大きく拉げる。
    ミュータントの上半身と下半身は見事に泣き別れとなり、さながら二本の尾を引く彗星のように壁へと吹き飛ばされた。

    「……彼もこれで、シグマー様の御許へ往けただろう。」

    肉片の付着した鎚を振い、短くシグマーへの祝詞を読むヨハン。
    嘗ての友であっただろう物へ、何のためらいも無く鎚を叩きつけ、絶命させる。
    その壮絶な信仰を目の当たりにし、幾人かが息を呑む中、

    「変異してしまった者は、その命を絶つことが唯一の救いなんだ……」

    バルデマーは一人、自分に言い聞かせるかのようにそう呟いた。

    だがミュータントが死亡しても、まだ犬であった怪物達は健在である。
    主を殺められた怒りか、逃げるそぶりは無い。

    襲い掛かられているグレッチェンは、その怪物に犬であった時の姿を見出してしまったのか逡巡しているようだ。
    残念ながら攻撃は精細を欠き、三度床へと大穴を開けてしまった。

    グルンディは素早く状況を見たわすと、ウルディサンがエルフだからなのか、はたまた恩を受けたグレッチェンの危機だからなのかは分からないが、躊躇いなくグレッチェンに襲い掛かるウォーハウンドに向かった。

    勢いを乗せた斧の一撃は見事に右前脚に直撃する。
    しかし当たり所が振わず、僅かにダメージを与えるにとどまった。

    その勢いに押されたのか、ウドーの振う肉切り包丁もウォーハウンドに直撃する。
    コチラも致命傷とは行かなかったが、着実に怪物の命はその身から零れ始めていた。

    続けて部屋の隅で追い詰められているウルディサン。
    自らを獲物と見定めた猟犬から逃れるために、剣で牽制しつつバルデマーやヨハンの立つ扉の傍らへと逃れた。

    それに追いすがるウォーハウンドは、進路上のバルデマーに邪魔だとばかりに爪を立てようとするが、棍棒を構えたバルデマーには届かない。

    グレッチェンを襲う怪物は再び彼女の頭を狙い強烈な噛み付きを繰り出す!
    流石に懐に入られては思うように身をかわせず、鋭い牙が頭部に直撃してしまった。
    幸いにして革製のフードをかぶっており、若干威力を弱めることができたため重傷には至らないが、それでも残り耐久力はあとわずかである。
    天秤の傾きが、わずかに混沌の側へと振れているのかも知れなかった。

    だがここでヨハンが再び動いた。躊躇いの無い突進から猟犬の胴体への重い一撃。
    流れるようなその動作に、ケイオス・ウォー・ハウンドの息が詰まり、踏鞴を踏む。

    そしてその隙を逃すグレッチェンではなかった。動かない物ならば、当てる!
    思い切り振りかぶったツルハシは、アバラを粉砕し戦犬は痛みに身悶える!

    もはや、ウォーハウンドの命運は尽きた。
    グルンディは無慈悲にそのアックスを頭蓋に叩き込み、粉砕した。
    哀れな犬であった存在に対して、死は瞬時に訪れ、床を真っ赤に染め上げた。

    主と兄弟の死から、勝ち目は無いと悟ったか、残る一頭のウォー・ハウンドは再び窓を突き破り、今度は外へと身を躍らせたのだった……

    ・・・

    「どうやら我々に恐れをなして逃げ出したようですね。」

    流血で青ざめた顔で、真面目にそう語るウルディサン。
    ウドーは危機が去った事に安堵したのか、肉切り包丁を構え、死骸に見栄を切る。

    「エルフはともかくグレッチェンよ、大丈夫か?まったく女子の顔に傷をつけるとは……」

    グルンディは低い背を精一杯のばし、流血夥しいグレッチェンを気遣っていた。

    ウルディサン、グレッチェン共に決して軽くない負傷をし、宿の部屋は血飛沫や肉片にまみれている。
    流石にこの惨状を気にせずに体を休めることができるようになってしまったら、それはもはや血に飢えた混沌の戦士と同じ存在となってしまうだろう。
    片づけるにせよ、場所を変えるにせよ、宿の店主へ状況を説明をしなければと、バルデマーは階下へ向かおうとする。
    丁度その時、ようやっと物音を聞きつけ騒ぎの原因を確認するために階段を上ってきた亭主と目が合った。

    「何が有ったんだ、急に天上に穴が開いて二階から血が……」
    「ええと、実は……」
    「ここの亭主か、こういうことが起こったのだ。」

    事情を説明しようとするバルデマーの前に立ちふさがるようにヨハンが立つ。
    その手には、泣き別れになったゲオルグの上半身が掴まれていた。

    「うわぁああああああ!?」
    「このような者を泊めるというのは大変危険なことだ。以後気を付けるように。」

    人であった原型をとどめていないミュータントの死体におびえる亭主。
    だが、それ以上に恐ろしい事実に気づく。

    「あ、あんたは魔狩人……じゃ無いんだよな?」
    「銀鎚修道会の信者だ。」
    「そ、そうか!なら、良かった……」

    真っ青になった亭主の顔色が、パッと明るくなる。
    これでもしもこの男が悪名高き魔狩人出会ったのであれば、混沌に汚染されたとしてこの宿が焼かれていたかもしれない。
    ともすれば混沌に組したと見做され、自分自身も火にかけられていたか、はたまたブロルグごと焼却されていたか……!
    いずれにせよ、シグマーへの信仰厚き修道僧により、自分の身は救われたようだ。
    まったくもってシグマー様は、エンパイアの守護神である。

    何やら話を終え、安堵した様子の亭主、しかし

    「人間にはそういった文化は無いのかもしれませんが、大変危険な状況を作り出したのであれば、それに対しての補償と言う物があって然るべきなのですよ!」
    「いやご主人、我々がいなければ大変でしたな。他の方々も危険にさらされていたかも知れませんし、この宿の評判にも関わりましょう。部屋の片づけは私どもにお任せくださいな、しかしまあこういった状況ですので、ここは持ちつ持たれつと言う事でご主人からも何がしか我々に有っても良いのではないでしょうか?」

    ウルディサンとウドーは亭主に詰め寄る。
    宿の一室にて休めると思い部屋の戸を開けて、このような危険な目に合っては当然の反応であろう。

    「エルフの方、あの……負傷も激しいので治療を……」

    その剣幕に狼狽えながらも、何とか横からエルフの腕の具合を診ようとするバルデマーに気づいたグルンディはまったくエルフは軟弱だ、と呟きながら、ウルディサンの腰紐を掴みバルデマーの前に座らせた。


    さて、ここでウルディサンの状況を見てみましょう。
    猟犬に噛み付かれたことによって、ウルディサンの【耐久力】は2点まで減少しています。

    ウォーハンマーRPGでは、【耐久力】が3点以下になってしまうと“重傷”となり、傷の治りが非常に悪くなります。
    通常であれば、〈負傷治療〉に成功すれば1d10点の【耐久力】を回復できますが、“重傷”のキャラクターは1点しか回復できません。

    また、通常であれば一晩しっかり休息することで1点【耐久力】が回復しますが、“重傷”の場合には1点回復するために一週間休息しなければなりません!

    ですがご安心ください。こういった事態を想定して、バルデマーはとあるアイテムを用意していました。
    その名は“癒しの湿布”!
    このアイテムを使用して〈負傷治療〉を行なって成功すれば、“重傷”のキャラクターでも1d10点の耐久力を回復できるのです!

    ……ちなみにこのアイテム。説明文を読みますとこういったことが書いてあります。

    癒しの薬草と、ありとあらゆる不潔な物を混ぜた、泥状で温かく悪臭を放つものである。
    この湿布を用いる者は、ひどい悪臭に耐えねばならない。牛の小便やその他の不快なものが、基礎成分として使われるからだ。

    エルフのウルディサンにとってはちょっと、いや、かなり関わり合いになりたくない代物かも知れません……
    挙句にバルデマーは〈負傷治療〉判定に失敗してしまい、ただただ臭い思いをしただけに。

    また頭に負傷をしているグレッチェンに対しては、その勇敢な戦いを称えてヨハンが手当てを試みます。
    筋力でフンッ!と傷口を抑え合わせて止血しますが…残念ながら失敗。
    幸運点を使用して振り直しますが、こちらも失敗。

    この戦闘で負った傷は、何も治らないという事態でしたが、ある意味ウォーハンマーRPGでは良く有ること、とも言えます……皆さんも気をつけて下さい。


    怪我も治らなかったウルディサンは、亭主に清潔な個室を用意することを要求するが、残念なことにモールスリーブの休息亭の個室は完全に埋まってしまっていて、どんな事情でも泊めることはできない。気に入らないなら外ででも寝ればいいだろう、と突っぱねられてしまう。
    確かに亭主としてみれば、泊めた男は敬虔なシグマーの入信者にしかみえず、ミュータントであったという事は分からなかったのだから仕方がないのだ。

    「煩いエルフじゃのう、そんなに気になるならばその腕を斬り落としてやろうか!」

    それでもなお食い下がろうとしたウルディサンを、グルンディが一喝する。
    ウドーの仲裁もあり、何とかこの部屋を片付け、一晩休もうという話に落ち着いたのだった。


    暖かいお湯と、多少清潔な布でウルディサンの傷や汚れをぬぐっている間に、バルデマーはヨハンに尋ねていた。

    「ヨハンさん、このミュータント……ゲオルグさんがこうなってしまったのはどうしてなんですか?」

    事情を聴いて行くうちに、何やら緑色の小石が原因なのではないかと言うことを知る一行。
    それをゲオルグが持っていたとなれば、それは今もまだこの部屋の中に……
    そう、ウドーがくすねた荷物に入っていたりするのではないだろうか……

    「あれはゲオルグと言う敬虔な男をあのような化け物に変異させてしまう恐ろしい石、持っているだけで大変危険であろう。」

    慌てて慎重にカバンをひっくり返すウドー。
    しかしそこから出てくるのは鼠の死骸や毛、ゴミばかり。

    本当に持っていないのか、手放したのか、それとも誰かに奪われたのか……奪われたとすれば……

    「いやいやいや!石なんて盗っておりませんよ!」

    両手を上げて否定するウドーに疑いの目が向けられる。

    「本当だろうね!?隠してたらタダじゃおかないよ!」

    というグレッチェンの一喝にも知らないと繰り返すウドー。
    確かにこの話を聞いて取り出さないのであれば、本当に石など無かったのだろう。
    ゲオルグの荷物から零れ出た、貴重品を入れるような丈夫な小巾着は何かが入っていたような形跡は有るが、何も入ってはいなかった。
    しかし……一体その石は何処に?

    「どこかで売り払ったのか、それとも落としたのか……」

    そんな危険な石が、市井の人の手に渡ったとすれば、更なる惨劇が巻き起こされてしまうかも知れない……!




    と、そんな不安を残したまま今回の冒険はここまで!

    次回からは曜日が変わって5/19火曜日の20:00がセッション開始となります!
    是非次回も見てください、それでは!

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