• このエントリーをはてなブックマークに追加

今なら、継続入会で月額会員費が1ヶ月分無料!

  • 山田玲司のヤングサンデー 【第154号】男でいくか、女でいくか

    2017-09-25 07:0018時間前
    216pt
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    山田玲司のヤングサンデー 第154号 2017/9/25

    男でいくか、女でいくか

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    東村アキコの漫画「海月姫」が完結した。

    93248d68d4ea15cb25d86802292542241dc1012f

    この漫画は僕にとっても特別な漫画の1つだ。



    海月姫は、めったに人の漫画を読まない自分が、たまたま本屋で見つけて、帯に書かれた「オタク再生」というコンセプトに惹かれて買った「珍しい漫画」だったからだ。


    この漫画は想像を超えて面白く、思わず作者の過去作「ひまわりっ」まで探して読んだ。

    こんな事はめったにないのだ。


    01c309816375b0314004731d702f289c7d4cf08b

    「ひまわりっ」という漫画は、海月姫のコミックスにあった広告ページにイラストが載っていたので知った。


    そのイラストに庶民的な3人のキャラクターが肩を組んで騒いでいる様子が描かれていて、着ている服になぜか「しんらいかんけい」と書いてあるのだ。


    なんというセンス・・


    僕はいてもたってもいられなくなり、フラッシュの取材を理由に東村アキコに会いに行った。


    そして彼女は僕に会うなり「すみません、パクりました」と言ってきた。


    全く気が付かなかったけど、彼女は僕の「オタク再生漫画」であるBバージンを読んでいてくれていたのだ。


    そこからは、あまりの共通点の多さに驚き、なんだかんだと長い付き合いになっていったわけだ。




    アッコはその時僕のスケブに「人生は祭りだ!ふぅ~!!」と書いてくれた。


    もう何もかもが今に至る「予告編」みたいだ。



    今回改めて「海月姫」を読んでみて思ったのは、女装の美男子キャラ「蔵之介」の魅力についてだった。



    蔵之介は「大臣の息子」という行き過ぎたセレブであり、親に反抗して女装姿で生きている、という中々のトリックスターだ。


    そんな彼が「男を拒絶する女たちの館」に入り込み、彼女たちの人生を変えていく話が海月姫のメインストーリーだ。



    蔵之介を見ていると、このキャラクターが明らかに「アッコの化身」であることがわかる。


    アッコの中にいる「イケメン」が、グジグジして外に出られない「腐女子」たちに「そんなんじゃ人生もったいないぜ!」と叫んでいるわけだ。


    主人公の気弱な女の子(海月)もまた、アッコの中に住んでいる「弱い女」の化身だろう。


    この漫画は、弱い「女の子」の自分を、強い「男の子」の自分が開放していく話になっているのだ。


    「タラレバ娘」同様、この作品もまた「繋がれた犬の開放」を描いているわけだ。




    ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^





    そんな事を考える少し前に、この話に繋がる経験をした。

     
  • 山田玲司のヤングサンデー 【第153号】ホームランの打ち方

    2017-09-18 07:00
    216pt
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    山田玲司のヤングサンデー 第153号 2017/9/18

    ホームランの打ち方

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    メジャーリーグを見ていたら、本当に「凄いやつ」がいた。


    いや、そもそも「メジャーリーグ」って場所自体が「世界中の凄いやつ」を集めた「バケモノ集団の闘技場」だから、そんな「凄いやつ」なんかいくらでもいるんだけどね。


    むしろ「バケモノ」でないと入れない世界なんだけどね。


    そんな「ポケットに入らないモンスター達」のバトルを呑気に観る幸せが、メジャーリーグ観戦なんですがね。


    男の名は「アーロン・ジャッジ」

    メジャーを観戦している人ならすぐにわかると思うけど、ニューヨークヤンキースのルーキーにして圧倒的な主力打者。

    1f2c604d24f6e6ddefc594b2509ae270efde71a0

    2メートルの大男で、とにかくバカみたいに打ちまくる。

    しかもまだ25歳。


    今年も前半戦には打率.329、30本塁打、66打点という大活躍をしていた。

    とにかく「出れば打つ」イチロー以来の外野手新人王とMVPのダブル受賞をしたという。


    確かに今年はボールの規格が変わって「ホームランが出やすくなった」という条件もあるだろう。

    とはいえ、他の選手も同じ条件で戦っているわけだ。

    ホームランの多い今シーズンの中でもジャッジは圧倒的だった。


    しかし、そんな「世紀の天才」が夏を過ぎてから嘘みたいに打てなくなった。


    7月8日から8月22日まで37試合連続三振して、野手のメジャー「ワースト記録」を更新する。


    37試合連続!


    相手球団が彼の弱点を研究しまくって、それまでのやり方が通用しなくなったのかもしれない。

    8月にはとうとうジャッジは先発を外される。

    「伝説的選手の登場」だったはずが、一転「悲劇のルーキー」になってしまうのか?

    そんな夏だった。



    ところが、その「悩めるスーパールーキー」ジャッジが最近になって復活してきた。

    いつもの威圧的な構えから、とんでもない飛距離のホームランを量産し始めたのだ。

    そんな彼がインタビューで、これまた「すごいこと」を言っていた。


    彼は「ホームランの打ち方」を解説していたのだ。


    「ボールの7時のところを、その軌道に合わせて振り抜くんだ」なんて言ってる。


    ちょっとまて、ジャッジ。


    てことは君はいつも「ホームランだけ」を狙って打席に立っているのか・・・。


    これはちょっと興味深い。

    野球を少しでも知っている人であれば「ホームラン」がそんなに簡単に出るものではないと思っているのが普通だ。


    ホームランは「特別」なものだ。

    だからホームランバッターはスーパースターなのだ。

    そんなにめったに出ないモノを目指すより、手堅く当てに行って塁に出る方が大事だと考える方が普通だ。

    そんな中「たまたま」スタンドに入ることがある。それが「ホームラン」なのだ。


    それはどこか「偶然」の出来事で、「努力」と「運」が結びついた時の「特別賞」みたいなものだと、選手も観客も思っているのが(主なる)日本の野球だった。


    そういえば昔、サッカーについても似たような事を聞いた。

    (当時の)日本のサッカーは闇雲にボールを蹴って、上手く行けばゴールの中に入る、と思ってプレイをしすぎるって話だ。

    ヨーロッパのトータルフットボールでは「闇雲なシュート」は許されない。


    偶然のゴールを期待してサッカーをしている人同様に、

    「たまに打てればいい」と思っている人は、めったにホームランは打てないだろう。


    「ホームランを打つ」のが目的の人は、常に「どうしたらホームランが打てるか?」という具体的な行動をするはずだ。


    その試行錯誤の中には「休養」や「分析」の時間も入るだろう。

    やたらとバットを振ったり走り込んだりするだけではホームランは常に「偶然の産物」のままだからだ。



    なんだかこれ「人生」の話にも通じる点がある。


    人は時々自分が「何を目的にしているのか?」ってのを曖昧にしたまま、闇雲に「努力」をしてたりする事がある。


    「いつか打てるさ、だって僕はアーロン・ジャッジだもん」


    なんてのもいいけど、それで何の試行錯誤もしなかったら、ジャッジは復活できなかっただろう。



    一方で「振ればホームランになる時もある」という「お気楽哲学」も捨てがたい。

    それに人生には「コントロール不能」の部分がほとんどでもある。


    でも「それ」ばかりだと「私の目的はホームランです」と言う選手にはかなわない。

    少なくとも「ホームランの数」ではね。


    僕はよく、迷っている人に「君はどうしたいの?」と聞く。


    なのに自分自身が時々「僕はどうしたいんだ?」みたいになっている事がある。




    そういえば、巷では戦争だの何だの騒がしい。

    勇ましい事を言う戦前の人みたいな意見が溢れてる。


    そんな時代だけど、ジーン・シャープという人がこんな事を研究している。

    非暴力で問題を回避する方法だ。


    その人によると非暴力で問題を解決するための方法は198種類もあるというのだ。


    これもまた「平和解決」という「明確な目的」から始まっている。

    198の中には「服を脱ぐ」みたいなものまであるので、全てに効果があるかはわからないけど、戦術は多い方がいいし、その中には「抜群に効果のある方法」も見つかるだろう。


    何より「明確な目的」はいい。

    「ホームランを打つ」「非暴力で平和にする」それが「目的」って。

    友達になりたいよ。


    ff662a00dd531e5decd23fe75f3363416d2ce98d

    それはともかく。

    最近「自分がなぜ野球を観たがるのか?」がわかった。

     
  • 山田玲司のヤングサンデー 【第152号】「今も教室に住んでいる人」とは?

    2017-09-11 07:0011
    216pt
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    山田玲司のヤングサンデー 第152号 2017/9/11

    「今も教室に住んでいる人」とは?

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    それは「サウナ」で起こった。


    その日の僕は、放送の後の余韻と混乱で、どうにも漫画のアイデアが浮かばないので、近所の健康ランドに行く事にした。


    そこは昭和風の温泉テーマパークで、「温泉」と呼べるほどのお湯には感じないけど、何しろ露天風呂で月が見える。

    8c4a018b56cf4738ec17efb7e58be36670fdc7b7

    サウナもあるので、血流は良くなるし、疲れてヨガをやる体力が残っていない時にはありがたい。

    そういえば昔描いた「ココナッツピリオド」のエンディングのアイデアはそこで浮かんだ。


    今回も何か浮かぶだろう、と、1人でサウナ室に入る。

    お客も少ないし、いい感じだ。


    ところがだ。


    サウナ室に設置してあるテレビがしょうもない民放のニュース番組を流し始めた。



    山尾さんとかいう女性議員が神妙な顔で現れた。

    どうやら「不倫」なるものを週刊誌にすっぱ抜かれ、責任を取って辞任する、とか言っている。



    辞任するという女性議員がどんな人かはわからないけど、ニュースは、さも「大罪を犯した女」みたいに彼女を叩き、嘆いて、呆れている、みたいな感じになってる。


    どうもその女性議員は、過去に不倫報道をされた議員を批判していたらしく、「お前だってそうじゃねえか」とばかりにコメンテーターは公開リンチに盛り上がっている。

    議員辞職会見は、悪代官が追い詰められ、正義の鉄槌を降される瞬間みたいだ。


    なんだかここ数ヶ月民法もネットもこんなのばっかりになってる。

    中学生を叩いたとかいうジャズミュージシャンにもみんな怒ってる。・・・らしい。



    こういう話を書くと「山田さんはどっち側ですか?容認側ですか?否認側ですか?」なんて聞かれるけど、そんなもん「知らないものはわからない」に決まってる。


    そもそも「愛の問題」は当事者にしかわからないものだし。人生の全てが「完全なる潔白」なんて人はいないからだ。


    そして人生は想像以上に複雑にできている。


    フレンズでは、お父さんに不倫相手がいる事を知って「母さんが可愛そうだ!」と、大騒ぎする息子ジョーイに、お母さんが言う。


    「お父さんはあの犬の葬儀屋(お父さんの恋人)と付き合い出してから優しくなったし、おかげで上手くいってるんだから、余計なことはしないでちょうだい」と。


    さすがフレンズ脚本チーム。「人生の複雑さ」がよくわかってる。


    これは今まで叩かれてきた「芸人」や「ミュージシャン」や「研究者」なんかにも言えるだろう。

    簡単に非難できる事なんかそうそうあるもんじゃない。



    ところがこの国のマスコミは「悪いヤツ」と決めたら絶対に許さない、みたいな雰囲気になる。

    気がつくと僕のいるサウナ室までそんな雰囲気になっている。


    僕の隣にいたおっさんは、その会見を見て「ひでえ女」と、ため息をついた。


    何だか嫌な気分になって僕はサウナを出た。

    何か「変なウイルス」を吸ってしまったみたいな感じだ。



    それにしても、日本のマスコミはずっとこうだ。


    「叩きやすそうな人間」を見つけては、「世間知らずの学級委員長」みたいな底の浅い正義感で容疑者を袋叩きにしていく。

    特に昔人気があったり、清純なイメージで売っていたりした人ほど「袋叩き」は盛り上がる。



    なんだかこれ、学校の教室で行われている「いじめ」と変わらない。




    おまけに叩かれる人は「名前のある個人」だけど、叩いてるのは「みんな」という名前のない存在だ。


    「みんな言ってるよ」とか言うものの、そもそも「みんな」とは誰なのかもわからない。


    不倫疑惑の議員も「世間をお騒がせした責任」とか言うけど、迷惑をかけられた「世間」ってのが何者なのかも曖昧だし、そもそも「はるかに迷惑なこと」をやりながら平然と公務についてる人もいる気もする。


    誰かを叩く事で日々のストレスを解消するのが「ニュース番組」や「ワイドショー」の仕事になってる感じだ。



    そう言えば、今から13年前に僕が描いた「ゼブラーマン」の冒頭にも同じ様なシーンがある。

    朝のワイドショーで見る「人の不幸」が「心の朝ごはん」とか描いている。

    0e9713b7e44ee790f8c2257c42886caa06b777e4

    この状況は今も変わらないどころか、まるで国全体が「いじめのある教室」になってるみたいだ。





    いじめの起こる「学校の教室」とはどんな所だろう?


    僕はそこは「世界が見えない場所」だと思う。