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山田玲司のヤングサンデー 第255号 2019/9/16

「無料のポルノ」が若い世代を「賢者」にしたのか?

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えーー。今週はですね。


今回のヤンサンは珍しく「最近のジャンプ漫画」の話で盛り上がりまして。


それはいいんですが、後半でおっくんが「最近の若い人達が落ち着いているのは、ネットでアダルトコンテンツをかんたんに観られるからじゃないか」なんて言ってましてね・・・


彼は「自分たちの若い頃は『エロいもの』を手に入れるのは大変だった」と言うわけです。


エロ本を買うのも、AVを借りるのも、そして、そんな「お宝」を味わう場所すら確保するのは大変だった、と。


そんな風に育った世代は、性に対して余裕はないし、その他「多くの欲望」も満たされてなかったから、いつまでも落ち着かない、というわけです。



なるほど、ちょっとおもしろい。


「無料のポルノは若者を賢者にする」というのは、ある程度はあり得る。

「若い男」ってのは「女の裸に飢えた猿」である。


それはもう「女の裸しか考えていない季節」を生きている。


それが簡単に手に入らない環境は、男たちに試行錯誤と勇気を強いるので、自然と「成長」もする。


「そういう事が大切なのだ」なんて多くの「昔の人達」は言ってたし、僕もそう思って生きてきた。


そもそも生物が、男女のない「無性生殖」から、男女に別れた「有性生殖」に別れた理由は「そこにある」と思うからだ。


なので「簡単に手に入る女の裸」が溢れているのは、男の成長を押し留めてしまうし、繁殖のモチベーションも消えていくだろう。


ああ・・人類は滅びるのだ・・・・


なんて・・


そんな感じの流れが「定番」だったと思うわけです。




【昭和のグルメおじさん】


ちょっと思い出したのが「昭和のグルメおじさん」でした。


バブルの頃にものすごい「グルメブーム」というのがあって、日本中が「美食」に走った時代があった。


当時そのブームに熱狂していたのは、主に「戦後の貧しい時代」を生きていた人達だった。

「火垂るの墓」世代から、戦後すぐに生まれた「団塊世代」までの人達は、とにかく「食べるもの」に不自由していた。

「バナナが憧れの食べ物だった」なんて話が定番だった。

戦争の死者のほとんどが「餓死」だったのだから、その壮絶さは理解できるし、その反動で「食べ物」に執着する人達が増えたのも納得できる。


とはいえ。

その後、豊かさの恩恵の中で育ててもらった僕は、感謝もするし、同情もするけれど、戦後世代の「グルメブーム」は、とにかく「醜く」見えた。



宮崎駿の「千と千尋の神隠し」の冒頭で「両親が豚になる」というシーンがある。


豚になった両親が、みっともなく中華料理をがっつくのを千尋はドン引きしながら見ているシーンじゃなかったかと思うけど、僕が「昭和のグルメおじさん達」に感じていたのはそんな気分だった。




「戦後の飢餓」と「エロ本獲得の困難」を並べるのも、いささか乱暴かとは思うけど、「食」と「性」はどちらも人間の本能的欲求に属するわけです。


子供の頃に「飢餓感」を感じなかったおかげで僕は「カニを食うなら、北海道のずわい蟹!」みたいには思わないし、基本的には「カニカマ」でもいいと思っている。


ところが駅前の旅行業者のパンフには「ずわい蟹食べ放題」「ウニ祭」「大間のマグロ祭」みたいなのがセットになった「飽食ツアー」が溢れている。


こういうのを冷ややかに見る感じで、若い世代は「キャバクラだ風俗だ」とすぐに言い出す中年の先輩達を見ているのかもしれない。


そういえば、昔のアシスタント達には風俗好きの連中が多かった。


おまけに現実の世界で女を知ると「100人達斬り」みたいなバカな武勇伝を作りたがって「変な病気」もらってたような連中もいましたねーー。(彼らは今40代)



若い頃の「女に対する飢餓感」が、過剰なナンパや風俗通いに繋がるなら、子供の頃から当たり前に「無料ポルノ」がある世界の方がマシなのかもしれない。


いや、この「子供の頃から」という部分に関してはまた別の話になるので、それはまたいつか。


(ちなみに僕も北海道の蟹もウニもマグロも大好きです)




【何に飢えているのか?】


この乱暴な論理からすると「現実のSEXはずわい蟹」で「AVはカニカマ」か?

なんて話になりそうだけど、そこはもう「それぞれの人生」。