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【第285号】星野源は怒っている
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【第285号】星野源は怒っている

2020-04-13 07:00
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    山田玲司のヤングサンデー 第285号 2020/4/13

    星野源は怒っている

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    【初めてのリモートセッションで】


    今週のヤンサンは完全なリモート放送でした。


    せっかくだからヤンサン音楽部のみんなと「音楽で食っていくこと」について語り合おうという企画だ。


    今回のコロナの件で真っ先に打撃をくらったのが、我らが音楽業界だったので、言いたいことも沢山あるだろうし、せっかくだから「好きなことで食っていく」という定番のテーマについて久しぶりに語り合いたいと思ったのだ。


    SNSもテレビもラジオも「双方向の機能」はあるけど基本的に自分の意見を一方的に流して、見た人達がそれに突っ込むという感じなのがどうにも歯がゆいのだ。


    なので、今流行りの「ZOOM」なるソフトを使って9人同時に語る放送になった。


    それぞれが自分の部屋にいる。秋田県の人も京都の人もいる。それがまるでみんな同じ部屋にいるみたいに話し、笑い、うなずく。

    違和感はすぐに消えてとても楽しい放送になった。


    特に京都の人が3人と和歌山県民が1人いるので、会話はなめらかでいい感じなのだ。

    しかも、音楽好きの人は総じて会話にリズム感がある。

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    【星野源は「現代の病」か?】


    そんな感じで盛り上がっていった流れで「星野源の話」になった。

    おっくんの「星野源のいいヤツな感じは、何か計算が入っている感じがして・・」みたいな話から「星野源論」になっていった。


    僕は星野源について深く語った事はないけど、彼の事は興味深く見ていた。

    文系(オタク系)女子に大人気、という文脈から、あの松尾スズキ、宮藤官九郎の「大人計画」の役者。

    圧倒的な「細野晴臣信者」という顔。

    ラジオでシモネタを連発する顔。

    音楽作りに関して恐ろしいほどこだわっている上にかなりの努力家。


    「おしゃれ」で威嚇したり大げさに自虐に走る事もない。

    「親しみやすいキャラクター」を完璧に貫いている。

    そのスキのなさが「好きになれない」というのもわかる。


    努力家でハイスペ、敵を作らない立ち回り、みたいな「仮面」が完璧すぎて逆に「その人自身」が見えないというタイプだと、僕からは見える。


    恋人ができて何年もつきあっても、最後まで相手に「本当の自分」を見せないタイプに見える。


    ここ数年にわたって「こういうタイプの男」が本当に増えた気がする。

    「空気を読んでうまく立ち回らないと潰される」という過酷な時代が生んだ「病」にも感じてしまうのだ。


    小説家の朝井リョウ氏や昨日絶賛されていた井口理氏なんかもそんな「匂い」がする。





    【世の中をなめて生きられない】


    昨日の放送では、僕と同世代の人達が「世の中をなめていた」という話もした。

    経済的に絶好調だったバブル期は、誰もが「世の中楽勝」と思っている雰囲気だった。


    当時はネットもなく、情報の多くはテレビか雑誌で、そのわずかな情報で「世界」をわかったような気になっていた。

    チェルノブイリの原発事故に関しても調べるのは簡単ではなく、テレビが情報を流すのを止めたとたんに「そのこと」の情報は更新されず「あの頃の流行」にされて語られなくなった。


    大きな「脱原発」のムーブメントがあったのに、数年もしないうちに株価の高騰で人々は「財テク」などと言い出した。


    そんな「社会問題」を放置させて来た「ツケ」を今の若者たちがくらっている。

    おまけにスマホ1つで世界中の情報が手に入る(感覚がある)。


    世の中が「見えて」しまう。

    「自分の順位」や「世界のレベル」「未来予測」「事故後の原発のライブ映像」まで見える。

    自分の才能を勘違いしようにも難しいし、ここで生き残るためには「高度な戦略」が必要だと考えて当然だろう。


    そんなわけで「いいやつ」を演じ、敵を作らず、影で物凄い努力をする若者が増えてきたのだと思う。


    当然そんな戦略で生きていたら「内圧」はかかってくるだろうし、人間は「バカ」になりたい部分もある。


    なので僕はずっと星野源に対して「壊れないといいけどな」と思っていた。


    それは無理をして生きてる「今の若い世代」に対して思う気持ちと同じものだ。



    【星野源の怒り】


    ところが、昨日の放送で、星野源は自分の怒りを「英語の歌詞」にしてアウトプットしている、というのを聞いた。


    彼は「自分のファン」にさえ怒りを感じているというのだ。

    確かに、彼のファンの中心の人達はいわゆる「文系(オタク系)女子」なので、彼に対してアニメや少女漫画に出てくるような「清潔で優しくて才能豊かな男子像」を望んでいると思う。


    彼をその要求に全力で応えようとしたのだと思うけど、その人生は「本当の自分」を殺し続けるのとイコールだ。

    こんなの辛いに決まってる。


    なので、彼は彼のやり方でそれに反抗したのかもしれない。


    (THE 1975のマシュー・ヒーリーがちょっと重なりますね)



    【大人になりたくない?】


    放送ではデビュー直後の古川由彩さん(ちゃんゆい)さんの「大人になりたくない」宣言も興味深かった。


    彼女は「歌のお姉さん」で、童謡や唱歌を弾き語りで歌った動画を100曲以上アップしている。

    子供時代に生きていたい気持ちがあるから、童謡に惹かれるというのだ。


    彼女は心の闇を描いた(いわゆる)メンヘラ的な曲より、子供が安心できる世界の方が好きだというのだ。

    なので彼女は「6歳」くらいで生きたいと言っていた。


    この話もさっきの「世の中をなめていた世代問題」に繋がる感じがする。

    「空気を読んでうまく立ち回らないと潰される」世界なんかで生きたくないのはすごくわかる。


    昭和後期から平成にかけて、我々日本人は、子供が「子供時代」を満喫して「大人」に憧れる、というような社会を壊してしまったのだ。


    いや「社会」が壊れていくのを見て見ぬフリをしてきたのだ。



    【糸井さんのツイート】


    そんなタイミングで糸井重里さんのツイッターが炎上している。

     
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