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【第297号】「天気の子」が許せない理由
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【第297号】「天気の子」が許せない理由

2020-07-06 07:00
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    山田玲司のヤングサンデー 第297号 2020/7/6

    「天気の子」が許せない理由

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    今回のヤングサンデー本放送では、久しぶりに「歌詞」の話でした。


    きっかけにした「エモは終わったのか?」という所から、放送では「エモとは何か?」という話に終始してしまい、僕としては不本意な放送になってしまった。


    「エモ」という言葉は音楽のジャンルで定番化している「メロコア」なんかの意味と、アニメや漫画、ミュージシックビデオの演出なんかの「味付け」の意味。

    「感動そのもの」まで「エモ」ではあるので、言葉の定義づけの話はあまり意味がない。



    僕がこの回で主題にしようと思っていたのは「綺麗ごと」の商品化についてだった。


    番組の冒頭で「感動の商品化」と言っていたけど、実はこれ「綺麗ごとの商品化」の事だ。


    そもそも「綺麗ごと」と「綺麗なこと」は違う。

    安易に感動させられるからと言って、「綺麗事」を泣きながら叫べばいいってもんじゃない。


    バカバカしかったり、かっこ悪かったり、整合性のないものの中にも「綺麗」は存在する。

    暮らしの中で心が麻痺した人達に「それ」を見せるのが僕らの仕事だと思っていたのだ。



    【綺麗事の0年代】


    「正しいこと」を叫ぶには、それなりの覚悟と実体験が必要なのだが、0年代からはそんな意識のない「きれい」が飛び交っていた。


    番組後半におっくんが言っていた「薄っぺらな大学生の言いそうな事」が歌詞になった曲がヒットしていた。


    どこかで聞いたような「いい話」を、ロックの真似事で叫んでいる。

    そんなのロックでも何でもないし不愉快だ、と言うのがおっくんの主張で、当時の僕も同じ気持ちだった。


    問題は「それ」が売れた事だ。


    弱者切り捨ての「冷たい社会」が今後も多くの人達を苦しめるのは明らかだったし、自殺、引きこもり、いじめ、精神疾患の増加は止まらないのが「現実」だったのに。


    そのすべてを「ないこと」にするかのように、当時のコンテンツは「そのままでいいんだよ」といい「明日があるさ」なんていう昔の歌謡曲までリバイバルしていた。


    そういうものが売れた背景には、ギリギリの精神状態で「甘い嘘」でもいいから言って欲しいと思っている人達が沢山いたのだと思う。


    そんな人達の苦しみが増加するほど「甘くてわかりやすい言葉」「都合のいい嘘」が求められ、その流れから生まれた感情過多なコンテンツを1部の人達が「エモ」と言いだした。


    そしてその流れはいわゆる「セカイ系」とリンクして、その作品の多くが「僕と君の世界」を謳った。


    それが「世界の中心で、愛を叫ぶ」や「新海誠作品」や「携帯小説」の隆盛なんかにもつながる。


    彼女と僕、私と彼、以外の人達は「ただの背景」か「自分たちのために存在する都合のいい人達」とされ、物語は「都合のいい決め台詞」で終わる。


    僕が話したかったのは「エモ」の定義なんかではなく、この「流れ」の先にある現在の話だったのです。




    【傘がない】


    今回の歌詞の紹介で、井上陽水の「傘がない」の話をした。

    「都会では自殺する若者が増えている」けど、僕の問題は「今日の雨」で「傘がない」という歌詞だ。


    悲惨な世界の中で「君」に会いにいく。

    「君」のこと以外は考えられなくなる。


    この辺り実に今っぽい。


    問題はその後の歌詞で、陽水は「それは、いいことだろ?」と言っているのだ。


    若者が自殺する場所に降る「雨」は、稚拙な言い方をしてしまえば「社会問題」の事だろう。

    「時代の何か」かもしれない。「抗えない運命」かもしれない。


    それを避ける「傘」がないのだ。


    だから僕はもう「君」のことしか考えられないのだ。


    すごくわかる。


    でも陽水はちゃんと「それは、いいことか?」という疑問を投げて「都合のいい答え」を与えない。


    安易な着地で聞き手を楽にしない。


    社会の問題、つまり「自分以外の人達のこと」「都会で自殺する人のこと」を「考えないでいいの?」という「問い」がこの曲のテーマの1つなのだ。



    【天気の子】


    「それはいいこと?」への回答は2つに別れる。

     
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