理想の教室
「これで寝られたらかなりのダメージだな」
とか思いながら僕は授業を進めていた。
漫画アカデミー(山田玲司の漫画学校)の第2期が始まった。
今回はオンラインではなく、教室に集まっての対面方式だ。
地方のみんなには申し訳ないけど、今期はそうする事にした。
オンラインの授業も顔は見えるし1対1での指導時間が長かったのでそれなりに充実した授業はできたのだけど、いざ卒業式でみんなと直接会うことになって、改めて「会って話す」という事の凄さを感じたのだ。
そして「多くの人達」が集まって生まれる奇跡もある。
ディスカバリーレイジチャンネルでも話したけど、小林秀雄は「考える」とは「対象と交わること」みたいに言っていて「対話そのもの」が考えることになるわけだ。
つまり「対象から離れて推論する」のは「考えている」には及んでいないというわけだ。
こうなるともう直接対話しかない。
そんなわけで、僕は人生で初めて30人を前にしてオンラインではない「教室での授業」を始めた。
講演やら臨時講師なんかはやったけど、こういう「学校の先生」みたいなのはやった事がなかったのだ。
【聞いている人達も見えている】
改めて感じたのは、自分の話を聞いている人達が全員見えることの凄さだった。
みんなが自分の話に興味を持っている時は雰囲気が変わる。
同時に退屈そうな人がいるとすぐにわかる。
なので
「ここで寝られたらきついな」
と、思ったわけだ。本当に学校の先生ってのは大変な仕事をしている。
僕のいた高校では生徒は容赦なく寝るし、雑談も止まらないひどい状態だった。
あの頃の先生に謝りたくなる。
教室で見られているのは教師だけではなく「生徒」も見られてるわけだ。
配信も実は「1対1」の関係ではあるけど、対面授業はさらに「1対1」の度合いが高まる。
30人の生徒がいる場合「1対1」が30並んでいるわけだ。
それはしんどい。
しんどいけど面白い。今回それを強烈に感じた。
【今週気づいたこと】
授業の後半では生徒に自己紹介をしてもらった。
その際「自分の武器」と「今週気づいたこと」を話してもらった。
自分の武器は「得意なこと」「好きなこと」「詳しいこと」など、今後漫画を描く際に「武器」になりそうな事だ。
これがまた抜群に面白かった。
武器が「哲学」の人もいれば「大阪」の人もいる。
「私は人に優しい」という武器の人もいるし「優しい人のフリができます」という正直な告白もある。
「心を開かないことで、めんどくさいことを避けてます」
なんても人もいて実にいい。
「今週気づいたこと」は、おなじみラジオの帝王の「つかみトーク」だけど、これもいい。
実はこれエピソードトークなので、その人がよくわかる。
これを毎回話してもらう予定なので(全員ではないけど)そういう可能性があると、何かに「気づこう」とする。
ここでインプットの「センサー」が立ち上がる。
それを人に伝える事でアウトプットの能力も高まる。
この課題は漫画家の基礎的筋肉を高める「筋トレ」なのだ。
【勇者現る】
そんなこんなで生徒の人達に自己紹介をしてもらっていたら、1人若い男の番になった。
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