3月4日に行われた岡山県立倉敷天城中学校の課題研究発表会に,本事業に参加する受講生7名が参加し,理科教育先進校の生徒と交流しました。

岡山県倉敷天城中学校は,1906年に私立関西中学校天城分校として開校された創立100年を超える伝統校,倉敷天城高等学校に併設される中学校として2007年に開校されました。科学的思考力と想像力を身につけ,21世紀の社会を各分野で主体的に担っていくことができる生徒の育成をミッションとする理科教育先進校です。
この倉敷天城中学校の21世紀型学力の取り組みの特徴として,課題研究があります。
中学校1年生から,特色ある科学教育Thinking Scienceや博物館連携授業を取り入れて,生徒たちはさまざまな取り組みをし,3年生になると英語での科学実験にも取り組み,修学旅行では企業や大学を訪問して,生徒の課題研究の発表会も行っています。
この3年間の集大成として,実施されるのが,今回参加させていただいた課題研究発表会です。1学年120人全員が3年生の1年間をかけて進めてきた課題研究をA0ポスターにまとめて発表しています。

研究内容は科学にかぎらず,人文社会から科学まで幅広い内容で発表されていました。どの発表でも,生徒は原稿を読み上げるのではなく,自分の言葉で研究について説明していましたし,質問に対しても自分自身で理解している言葉で回答することができました。私は,多くの中高生の研究発表を聴いてきましたが,すべての発表者が研究について自分自身の言葉で語ることができる発表は初めてで,大変大きな感銘を受けました。多彩な研究テーマがあり,興味深い発表も多々ありました。

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図1 ポスター発表

ポスター発表のあとには有志による口頭発表も行われました。ここでも原稿を読み上げる生徒はおらず,英語での科学研究発表もありました。最後の顕彰まで参加させていただきましたが,生徒の充実感・一体感を強く感じました。

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図2 口頭発表

受講生が参加してきた,どの学会よりも生徒の発表件数も生徒の数も多かったので,受講生はやや圧倒されていたようですが,理科教育先進校の熱心な生徒たちと交流したことは,生徒にとって大きな資産になったことでしょう。惜しむらくは,愛媛県から岡山県は移動に時間がかかるため,生徒同士の交流の時間を取ることができなかったことです。地域を背負って立つ高い意欲・才能を有する生徒同士の交流を今後は深めていきたいですね。

偶々ご縁があって参加させていただきましたが,非常に有意義な時間を過ごすことができました。どの生徒も活き活きと楽しそうに,そして熱心に自分の研究について説明していたことが印象的です。一重に先生方のご指導の賜物であろうと思います。理系人材育成事業の実施者として見習うべき点が多々ありましたので,今後も多くの理科教育先進校と交流を深め,私も学んでいきたいところです。

本講座の実施を持って,本年度の事業はすべて終了しました。
国立研究開発法人科学技術振興機構の次世代科学者育成プログラム事業は今年度で終了します。次年度からはJrドクター育成塾事業に衣替えがあり,対象は小学校5年生〜中学校に拡大します。採択に向けて準備を進めているところですので,次年度からも新たな試みを続けていきたいです。