核保有は認められない
北朝鮮の核実験は今回が3度目です。北朝鮮の朝鮮中央通信は、今回の核実験が「以前と異なり、爆発力が大きく、小型化・軽量化された原子爆弾を使用した」と伝えました。北朝鮮は昨年12月、「ロケット」発射を強行しました。その技術は核兵器の運搬手段として使えるものであり、これらをみれば、北朝鮮は他国への核攻撃能力の獲得をめざしていると考えざるをえません。危険が現実のものになろうとしています。
北朝鮮自身もその意図を隠しません。その一つ、北朝鮮国防委員会が1月に出した声明は、「引き続き打ち上げる衛星と長距離ロケットも、行う高い水準の核実験も、朝鮮人民の不倶戴天(ふぐたいてん)の敵である米国を狙うことになる」と述べていました。声明は「ロケット」発射を非難した安保理決議2087に反発するかたちで出されました。国際社会に真っ向から挑戦し続ける姿勢は、北朝鮮をますます孤立に追いやるものです。
北朝鮮は今回、世界が注視し、自制を求めるなかで核実験を強行しただけでなく、それに先だって核実験を正当化する対外宣伝を大規模に行いました。世界の非核化が実現されるまで朝鮮半島の非核化はあり得ないことが明白になった、などと主張しました。これは核実験の強行を国際社会に迫られたものと描いて正当化するとともに、自らを核兵器保有国として国際社会に認知させるための仕掛けとみられます。それは、核戦争の脅威を高め、核兵器の廃絶をますます遠ざけるだけであって、国際社会が北朝鮮の核兵器保有を容認することはありえません。
核実験は、オバマ米大統領が政権2期目の基本方針を示す一般教書演説を目前にして、強行されました。それをはじめとして、北朝鮮の姿勢には自国への国際社会、とりわけ米国の関心をくぎ付けにする狙いがみえます。
しかし、核兵器開発に固執する北朝鮮の国際的な孤立は鮮明です。北朝鮮が2006年と09年に核実験を強行した後、安保理は核実験を非難し核開発の放棄を要求した決議1718、1874をそれぞれ採択しています。先月採択した決議2087では、核実験を強行すれば「重大な行動を取る」と異例の警告をしています。
一致した対応をこそ
問題の解決は、国際社会が北朝鮮に核計画の放棄を説得する以外にありません。国際社会が一致して核計画の放棄を要求することこそ最も有効な手だてであり、北朝鮮が回避したいものです。
米日韓中ロと北朝鮮が参加する6カ国協議は、朝鮮半島の非核化をめざすとともに、北東アジアの平和と安定を保障する枠組みに発展することが想定されています。その道にこそ世界にとっても、北朝鮮にとっても展望があることを思い起こす必要があります。