主張

衆参代表質問

安倍政権は国民の声に応えよ

 安倍晋三首相の施政方針演説など政府4演説に対する衆参両院での各党の代表質問を聞きました。日本共産党の志位和夫委員長が衆院で、山下芳生書記局長代行が参院で取り上げたのは、震災復興や原発問題、「デフレ不況」の打開や環太平洋連携協定(TPP)への参加問題など、国民の関心が高い緊急課題です。安倍政権は国民の声に向き合うべきです。すり替えと自己矛盾の答弁を繰り返すだけの安倍首相には、国民の切実な声に応える姿勢がありません。

血の通った答弁がない

 たとえば間もなく発生から2年を迎える東日本大震災からの復興です。被災地では震災から2年たっても住宅建設や街づくりがすすまず、いまだに30万人以上が不自由な避難生活を続けています。志位委員長は、「被災者と心を共有する」ことが大事だと安倍政権の姿勢をただしました。

 支援の期限を設けず、支援が必要な人・地域がある限り打ち切らないこと、杓子(しゃくし)定規な「復旧」のルールを押し付けるのではなく被災の現場にルールを合わせること―。志位氏の追及に、安倍首相も一応、被災者に寄り添い生活の再建を図ると答えましたが、医療・介護の減免措置の打ち切りについては「保険者の判断で延長できる」と正当化するなど、従来の答弁そのままです。被災者の声に応える、血の通った答弁は聞かれませんでした。

 安倍首相はTPPについても、日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃」が交渉参加の前提ではないと確認したと繰り返すだけです。志位氏が共同声明にはすべての関税と非関税障壁の撤廃がTPPの目標だと書いてあるではないかと質しても、まともに答えません。原発については志位氏が福島原発事故の収拾のめどさえ立っていないこと、原子力規制委が「新安全基準」の骨子案で福島原発のような過酷事故が起きると想定しているのに、「安全」だというのは根本的な矛盾だと批判しても答えません。TPP参加でも原発の危険性でも国民の不安に応える姿勢が首相にはありません。

 安倍政権は「デフレ不況」を打開し、経済を再生させることを最優先課題だといいます。ところが「デフレ不況」打開にもっとも大切な国民の所得を引き上げるため、内部留保の活用による賃上げを経済界に要請し、政府として賃上げ促進策を実行すべきだと志位氏が質問しても首相は真剣に答えません。労働条件は労使で話し合うことだからと後ろ向きです。山下氏が低賃金にあえぐ非正規雇用をなくすため「ブラック企業」の実態調査を求めても明言しません。安倍政権に国民の所得拡大に本腰を入れさせる必要があります。

国民の声を生かすために

 施政方針演説で消費税増税にふれなかった首相は、志位氏が、増税の根拠は崩れており、「デフレ不況」さなかの増税は日本経済を奈落の底に突き落とすと中止を求めたのにも、消費税増税は必要だと開き直り、「今年秋に経済状況を見て判断する」と答えただけです。

 口先では「希望」とか「世界一」とかいうだけで国民の切実な願いに応えない安倍政権に、国民の暮らしを任せることができないのは明らかです。その暴走に反対するとともに、国民の声を政治に生かすたたかいがいっそう重要です。