きょう東日本大震災2年
この苦難いつまで
被災者300人 本紙実態調査
「家を再建したいが、資金のあてがない」「仮設暮らしのストレスで心も体も限界を超えている」。未曽有の被害をもたらした東日本大震災から2年。本紙は、岩手、宮城、福島3県で「被災者300人実態調査」を行い、置かれている状況や要望を聞きました。被災3カ月から5回目となる実態調査ですが、住まいや雇用・生業(なりわい)の再建は、ほとんど進んでいません。さらに長期化した避難生活で5割以上が体調不良を訴えるという極限状態に追い込まれています。被災者に心を寄せていない国の復興対策の遅れや、生活再建に大打撃となる消費税増税に怒りの声が相次ぎました。(東日本大震災取材団)
住宅再建困難8割□健康悪化53%□「消費税増税ひどすぎる」
実態調査は、仮設住宅や借り上げ住宅、被災した自宅、仮設商店街などを訪ねて、面談で被災者300人に聞きました。内訳は岩手県93人、宮城県119人、福島県88人。
焦眉の課題である住宅再建は遅れています。「まったく展望がない」41%、「あまり展望がない」41%と8割以上が困難な状況です。
再建が進まない理由としては「資金不足」「集団移転、復興計画の遅れ」がそれぞれ35%、「復興公営住宅建設の遅れ」が21%となっています。
そうしたなか、被災者生活再建支援法の支援金額(現行最高300万円)の大幅拡充を求める声が80%に達しています。宮城県東松島市の仮設住宅で暮らす男性(70)は「年金暮らしの夫婦だけでは、新しくローンを組めない。支援金をもし500万円ぐらいに上げてくれれば、再建を考えてみようとなる」と訴えました。
復興の要となる雇用や生業の再建も進んでいません。就労状況では依然31%が失業。福島では40%に達しています。
生業の再建も8割が困難と回答。グループ補助金の拡充や小規模事業者への直接補助を求める声が多く出されました。
劣悪な仮設住宅での生活が長引き、将来展望が見えない状況は、被災者の心と体をむしばんでいます。健康状態は「悪い」24%、「やや悪い」29%が計53%に達し、半年前の前回調査(38%)を大幅に上回る危機的事態に。とくにストレスによる症状の多さが目立ちました。被災者の9割以上が、医療・介護減免措置の継続を切実に望んでいます。
消費税増税の被災者への影響について93%が打撃になると回答。宮城県南三陸町の漁師の男性(64)は、「これから家の再建や事業資材購入が必要な被災者にとって、消費税増税は、ひどすぎる仕打ちだ」と怒りを込めました。