東電 漏水事例知っていた
貯水槽建設当初から 国に報告せず
本紙取材で判明
高濃度の放射能汚染水が東京電力福島第1原発の地下貯水槽三つから相次いで漏れた問題で、東電は貯水槽の建設当初から、水漏れ防止に使ったシートの漏水事例を把握していたことが本紙の取材で分かりました。建設中に行った国への説明では、シートを使った工法の実績を強調しながら、漏水事例は報告していませんでした。
東電は2012年4月から13年1月にかけて、地下貯水槽7基を建設。この際、産業廃棄物処分場の構造を参考に、合成樹脂のシートで水漏れを防止する工法を採用しました。
この工法について東電は12年8月15日に原子力安全・保安院(当時)に行った説明で、シートを使った処分場などが「全国で400カ所以上ある」とし、すでに安全性が確認された技術であるかのように強調していました。実績のなかでシート破損などによる複数の漏水事故が起きていることは示していませんでした。
東電は本紙の取材に、「ほかの事例で漏水していたことは建設前から知っていた。把握した漏水事例はシートが1枚だったので、2枚にすれば漏れないと考えた。結果としては漏れた」(広報部)と説明しています。