核兵器非人道声明を日本が拒否

広島・長崎市長が抗議

“被爆地の努力踏みにじる”

 ジュネーブで開かれている核不拡散条約(NPT)再検討会議第2回準備委員会でだされた核兵器の非人道性に関する共同声明に日本政府が賛同を拒否したことに対し、被爆地の松井一実広島市長、田上富久長崎市長が25日までにコメントを発表しました。

 松井市長は「核兵器は『絶対悪』であると訴え続けてきたヒロシマとすれば、(賛同見送りは)到底納得できるものではない」と批判。

 賛同見送りが明らかになった段階で、田上市長とともにジュネーブで天野万利軍縮大使に面会し、遺憾の意を伝え、経緯と理由について説明を求めたとし、「(今後の)同様の共同声明への参加については前向きに検討いただきたい」とのべています。

 田上市長は「このような日本政府の行為は、これまで被爆地が取り組んできた核兵器廃絶への努力を踏みにじるものであり、理解しがたく、失望しています。被爆国として核兵器の非人道性を訴える機会を放棄するものと強く抗議します」としています。

 松井、田上両市長は24日、準備委員会で演説し、「核兵器の非人道性」に焦点をあて、廃絶に取り組むよう訴えていました。

被爆国として許されない

核全廃声明不賛同 笠井氏が批判

 日本共産党の笠井亮議員は26日の衆院外務委員会で、核兵器の非人道性を指摘し核兵器の全廃を求め463f8b03ec05d647c39b70a393b843786935fd7cる共同声明にたいし、日本政府が賛同しないと表明したことについて、被爆国として許されないと批判しました。

 笠井氏は同声明が、「いかなる状況下でも核兵器が二度と使われないことは人類生存の利益」と指摘していることに言及。政府が賛同しなかったのは、状況によっては核兵器の使用が“人類生存の利益になる場合がある”という考えなのかと追及しました。

 岸田文雄外相は、声明に賛同しなかった理由として、「わが国の安全保障環境にかんがみ、ふさわしい表現であるかどうか慎重な検討をおこなった結果だ」と言い訳しました。

 笠井氏は、「唯一の被爆国である日本が賛同しないことは、世界に誤ったメッセージを発することになる。日本政府の根本姿勢が問われるものだ」と指摘。国連では核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議が繰り返し採択されるなど、世界の流れとなっている核兵器廃絶に向けて「日本がイニシアチブをとるべきだ」と求めました。