日本共産党の志位和夫委員長は7日、(1)最低賃金の大幅引き上げの実現(2)そのためにも中小企業への賃金助成や社会保険料事業主負担の軽減など抜本的な支援策をとるよう安倍晋三首相あてに申し入れました。菅義偉(すがよしひで)官房長官が国会内で応対し、「中小(企業)が元気にならないと経済は活性化しない。総理にも間違いなく伝えます」と答えました。申し入れには、小池晃副委員長、穀田恵二国対委員長が同席しました。
志位氏は申し入れのなかで、中央最低賃金審議会の小委員会が引き上げ目安を平均14円(6日)にとどめたことについて、「率直に言って非常に低い水準です。引き上げが2%ぐらいでは、円安などによる生活必需品の値上がり分をまかなえない」と指摘しました。
年2千時間働いても年収150万円を下回る現在の時給749円(全国加重平均)は、「働く貧困層(ワーキングプア)」増加の最大の原因になっており、賃金全体を底上げし「デフレ不況」を打開するためにも、最低賃金を大幅に引き上げる政治決断を行うよう強く促しました。
そのうえで志位氏は、政府として▽経団連など経済団体に対し引き上げの妨害をやめるよう要請する▽中小企業への抜本的支援を強める―ことの2点で政治のイニシアチブを発揮するよう提起しました。
菅氏は、経営者に賃上げを要請してきたと強調しつつも、中小企業団体などからは引き上げに強い反対の声が上がっていると述べました。これに対して志位氏は、最低賃金の大幅引き上げとセットで中小企業支援を行うことが重要だと重ねて指摘しました。
菅氏は「全力で中小企業への支援策をすすめていきたい」と語りました。
最低賃金の大幅引き上げに関する申し入れ
日本共産党国会議員団
日本共産党国会議員団が7日に行った最低賃金大幅引き上げに関する申し入れ全文は次のとおりです。
2013年度の最低賃金について、中央最低賃金審議会の小委員会が引き上げ額をわずか平均14円とする目安を発表したことは、きわめて重大である。これでは引き上げは2%にも満たず、円安などによる生活必需品の値上がりのなかで実質低下の恐れさえある。地域間格差もさらに広がるものになっている。
現在の時給749円(全国加重平均)という最低賃金は、たとえ年間2000時間働いても、年収150万円にもならない。働いても働いても貧困から抜け出せない、働く貧困層(ワーキングプア)が増え続けてきた最大の原因がここにある。
最低賃金の引き上げは、賃金全体の底上げにつながるとともに、労働者の4割近くになっている非正規労働者の賃上げに直結するなど、「デフレ不況」打開のためにも決定的に重要である。
まともに働けば、全国どこでも生活できる最低賃金を確保することは政府の責任である。安倍総理も賃上げの必要性を認め、経済界にも要請し、「最低賃金を引き上げる」ことも表明してきたはずである。ところが、中央最低賃金審議会では、財界代表が引き上げに強く抵抗し、「低額目安」にしてしまった。このような「低額目安」にしばられることなく、政府が大幅引き上げを決断し、以下の点を実行することを強く求める。
一 最低賃金の大幅な引き上げを実現すること。そのために、日本経団連をはじめとする経済団体に、最低賃金引き上げへの妨害をやめるよう強く働きかけること。
一 最低賃金引き上げを実現するために、中小企業への賃金助成や社会保険料事業主負担分の軽減など、抜本的な支援策をとること。
最低賃金引き上げのために、アメリカでは5年間で8800億円、フランスでは3年間で2兆2800億円の中小企業支援を行った。ところが日本は、2011~2013年度の3年間で111・7億円にすぎず、まともな最低賃金引き上げのための中小企業支援策がないことが大幅な引き上げの障害になっている。政府は、抜本的な中小企業支援を行う立場を明らかにするとともに、その策定に直ちに着手すべきである。