土下座を強要 セクハラ発言…

就任11人中6人

 橋下徹大阪市長の肝いりで導入され、4月に就任した11人の市立小中学校の公募校長のうち、新たに3人がセクハラやパワハラなどの疑いがあることが20日までに分かりました。公募校長をめぐっては、これまでの3人と合わせ、過半数の6人が半年足らずで不祥事を起こす異常な事態となっています。

 市教委によると、3人は中学校長2人と小学校長1人。中学校長の1人は、校長の指示をめぐって教頭と口論になり、校長が「間違っていたなら謝るべきだ」と要求し、教頭が土下座しました。

 もう1人の中学校長は、4月から5月にかけて行った面談で若い女性教職員6人に「なぜ結婚しないの」「なぜ子どもをつくらないのか」などと質問。教職員からの抗議を受けて、職員会議で謝罪しました。

 小学校長は、適正な手続きをとらずに3回、職場を離れました。

処分を検討へ

 市教委は、これらについて詳細を調査し、処分するかどうか検討するとしています。

 これまでの3人はいずれも小学校長で、1人は保護者の女性の体を触ったり、個人的なメールを送るなどのセクハラ行為で減給6カ月の懲戒処分と更迭。別の校長は保護者への虚偽のアンケートで厳重注意。もう1人は「私が力を発揮できる場所とは違う」とわずか3カ月で退職しています。

各会派が批判

 同日開かれた市議会教育こども委員会では、保護者へのセクハラ事件を起こした校長の処分の軽さや、原則、研修後再び校長に復職することに、各会派から批判が相次ぎました。

 日本共産党の寺戸月美市議は「教育者として適格性を欠き、地方公務員法では分限免職を行える」と指摘。「懲戒免職ができないなら自ら出処進退を判断すべきだ」とのべ、公募方式を改めるよう迫りました。

 橋下市長は、たばこ1本の喫煙で職員に停職1カ月無給の処分を行ったことがあるのに、セクハラ校長には「人間はいろいろ失敗する。ワンチャンスを与えられる失敗だ」とかばい立て、「あくまで採用の問題」とし、来年度35人を外部から登用する方針は変えないとしています。

 校長の任期付き公募は2012年7月制定の大阪市立学校活性化条例で盛り込まれていますが、もともと「大阪維新の会」府議団が11年9月に条例提案した「教育基本条例」案で入っていたものです。当時、府教委のなかには「校長には教育に関する識見が必要。優秀な人材が確保できるか疑問」との意見がありました。

 29日投票の堺市長選でも、「維新」の西林克敏候補は「教育改革」の一つに、校長公募を掲げています。(大阪府・小浜明代)