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介護保険制度崩壊―安倍政権見直し案
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介護保険制度崩壊―安倍政権見直し案

2013-10-08 11:12

    “社会で支える”はどこへ

    734a56e380f3673c2bb0b8e1e0d542c17bd81ba4 創設から13年を迎えた介護保険。安倍政権が進める制度見直しの具体的な内容が出そろいました。社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の介護保険部会で厚労省が示した案をみてみると―。

    要支援は対象外

    150万人を締め出す

     現在、「要支援1、2」と認定された要支援者と、「要介護1~5」と認定された要介護者は、訪問介護や通所介護などの保険給付を受けることができます。このうち、要支援者150万人を保険給付(予防給付)の対象から外して、市町村任せの事業に移す、というのが改悪案の最大の柱です。

     「受け皿」とされる地域支援事業には、サービスの質や内容について全国一律の基準がなく、市町村の裁量に委ねられる見込みです。これまで通りに支援を受けられる保証は全くありません。

     自治体からは、「地域支援事業を予防給付の受け皿として扱うことに関しては疑問を感じる」「地域格差が生じる」(東京都稲城市の石田光広福祉部長、『月刊介護保険』13年8月号)との声が上がっています。

     地域支援事業の財源は介護保険財政から出るものの、「介護保険給付見込み額の3~4%以内」という上限があります。要支援者向けの事業にも上限が定められれば、サービスはばっさり切り捨てられます。

    特養 中重度のみ

    行き場失う高齢者ら

     特別養護老人ホームに入所できる人は、「要介護3」以上に限定し、要介護1と2の人は入れなくなります。「入所を申し込んで何年も待っているのに入所できなくなるなんてひどい」との声が上がっています。

     厚労省は「中重度を支える施設に重点化」といいますが、入居者47万人のうち要介護1、2の人は5・5万人と1割以上。新規入所者では、奈良県や北海道では2割以上を占めます。介護や医療を受けられない高齢者を大量に生み出します。

     特養ホームの代わりに厚労省が力を入れる「サービス付き高齢者向け住宅」は、介護施設ではない上に家賃、食費など20万円程度を負担できる人に限られます。

     在宅サービスも、デイサービス(通所介護)を絞り込む考えで、特養ホームから締め出された高齢者の受け皿はありません。

     審議会でも「軽度者の入所はセーフティーネットの役割を果たしている。重度者に制限することは強く反対する」(全国老人福祉施設協議会の桝田和平氏)との意見が出されています。

    利用料が2倍に

    居住・食費補助の廃止も

     介護保険の利用料は制度開始以来1割ですが、一定以上の所得があれば2割に引き上げます。基準は、年金収入280万円か290万円のいずれか(夫婦なら359万円か369万円)。65歳以上の約3000万人の2割程度が対象です。

     在宅サービスの利用者は、軒並み2倍に跳ね上がります。特別養護老人ホーム利用者で月7千~1万5千円もの負担増になります。「使えたサービスも利用できなくなる」「そのうち全員が2割負担にされる」との声が上がっています。

     特別養護老人ホームなどの入所者には、住民税非課税の場合、居住費や食費を軽減する「補足給付」があります。ところが、預貯金(単身で1千万円、夫婦で2千万円)があれば支給されなくなります。自宅など2千万円以上の不動産がある場合も支給されません。不動産を担保に貸し付けを行い、死後に売却して回収する仕組みまで導入します。

     介護保険サービスを受けたければ、預貯金も自宅も洗いざらい吐き出せ―これが厚労省の考え方です。

    拡大する「矛盾」

    自治体からも懸念の声

     介護保険を大改悪するねらいは、国民との矛盾を広げています。

     全国に約1万1千人の会員がいる「認知症の人と家族の会」は「(消費税)増税でもなくサービスの抑制でもない道」を求めて声をあげようと呼びかけています。

     中央社会保障推進協議会、全日本民主医療機関連合会、全国労働組合総連合は、国の責任と公的保険で介護を保障するよう求める署名運動を展開しています。

     国に対して「要支援外し」の中止を求める自治体の動きも起こっています。埼玉県新座市議会は9月26日、要支援者を介護保険制度の適用から外さないよう求める意見書を全会一致で可決。全国町村会の藤原忠彦会長(長野県川上村長)は社会保障審議会の介護保険部会(9月4日)で「地域支援事業に事業者が手をあげなければ自治体の負担になる」と懸念を表明しています。

    共産党の提案

    受給者と介護労働者双方が安心の制度に

     日本共産党は、国民の負担増を抑えながら介護制度の抜本的改善をはかるために、介護保険にたいする国庫負担割合をただちに10%引き上げます。

     国の制度として保険料、利用料の減免制度をつくり、「生活援助」などの給付制限、サービス取り上げをやめさせます。在宅サービスを制限している要介護認定や利用限度額は廃止し、現場の専門家の判断で介護を提供できる制度に改善します。

     介護の人材不足を打開するために、事業所に対する介護報酬を大幅に引き上げ、国の責任で介護労働者の処遇改善をすすめます。

     特別養護老人ホームの待機者を解消するために国の財政支援を大幅に増やし、小規模・多機能施設、グループホームなどが地域にきめ細かく整備されるよう国と自治体の財政支援をつよめます。

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