主張

NSCと秘密保護

「戦争する国」の体制づくりだ

 安倍晋三政権が15日召集の臨時国会に、「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案」と「秘密保護法案」を提出、一体で成立させようとしています。日本版NSC法案は前国会からの継続扱いで、秘密保護法案は公明党の同意を得て提出されますが、政府・自民党は両法案の審議のため特別委員会を設置、成立を急ぐ構えで、事態は重大な局面を迎えています。

アメリカの狙いどおり

 日本版NSC設置法案は、外交・安全保障政策の「司令塔」として「日常的・機動的」に活動するために、首相、官房長官、外務、防衛両相の「4大臣会合」を設置し、官邸に安保担当の補佐官や「国家安全保障局」を置いて、各省庁の情報を集中させます。現在の「安全保障会議」も「国防」や「重大緊急事態」に対処する機能をもっていますが、アメリカのNSCをまねてつくる日本版NSCは、首相がより幅広く機動的にことを進めようというものです。いわば戦前の戦争を指導した「大本営」の今日版にもなります。

 一方、秘密保護法案は、「防衛」「外交」など行政機関の長が「特定秘密」と指定する情報について、外部に漏らすことを禁止し、違反した国家公務員などに最高10年の刑を科すというものです。日本弁護士連合会や日本新聞協会、ペンクラブなどから批判の声が相次いでいるように、政府に都合の悪い情報を国民に隠すための法律です。国民やメディアが情報を得ようと働きかけても処罰の対象になり、国会議員の活動も情報開示は秘密会だけとされたり、秘書にも漏らしてはならないとされるなど制約されます。

 日本版NSC設置法案も秘密保護法案も、アメリカの働きかけで持ち出されてきたことは重大です。アフガンやイラクで戦争を拡大していたアメリカのブッシュ政権が、日本にNSC設置を持ちかけたのは第1次安倍政権の時代です。秘密保護法案も、アメリカが日本に提供する軍事情報保護のため「軍事情報包括協定」(GSOMIA)を押し付けた(2007年)のがきっかけで、最近も退任したばかりのキャンベル前米国防次官補が、秘密保護法案は重要であり、「日米両国間の情報共有をさらに促すことになる」と発言しました。

 安倍首相は就任以来、自衛隊増強と日米軍事同盟強化の道を突き進み、これまでの憲法解釈を変え、日本が攻撃されなくてもアメリカを助けるために戦争に参加する「集団的自衛権」行使の容認さえ狙っています。安倍政権が、日本版NSC設置法案と秘密保護法案を今度の臨時国会で成立させようとしているのもまさにそのためで、秘密保護法で国民の目と口をふさぎ、NSCを「司令塔」にアメリカと一緒に海外で戦争する、日本を海外で「戦争する国」に変える体制づくりです。

「悪法やめよ」の声広げ

 安倍政権がNSC法案や秘密保護法案を成立させ「戦争する国」に向けた動きに拍車をかけるのは、国民の自由や民主主義を破壊するだけでなく、国際的にも緊張を高め、平和を破壊することになります。それでなくても、過去の侵略戦争の責任を認めない安倍首相に内外から批判が強まっています。

 世界と日本の平和を守るためにも、NSC設置法案と秘密保護法案を阻止する運動が重要です。