日本版NSCと一体 「売国」的法案

 「特定秘密」を国民や自治体には一切提供せず、国会や裁判所にも厳しい条件をつけるのに、米国には容易に提供する―。政府・与党が臨時国会での成立を狙う「秘密保護法案」は実質的に対米情報提供法案であることが、法案の条文から浮かび上がりました。国民をないがしろにして米国に情報を差し出す「売国」的法案であるといえます。

 政府は同法案に基づき、外交・軍事や原発など膨大な情報を「特定秘密」に指定し、行政機関が保有します。

 行政機関が保有する「特定秘密」の提供先として想定されているのは、(1)適合事業者(民間企業など)(2)国会や裁判所など(3)外国政府・国際機関―などとなっています。(同法案6~10条)

 一方、地方自治体への提供は想定されていません。一般国民にいたっては、「特定秘密」を知ろうとしただけで罰せられます。

 ただ、「提供先」にも厳しい条件が課せられています。

 民間企業だと、親族や知人も含めた厳しい身辺調査(「適性評価」)を受けた「特定秘密」取扱者がいなければなりません。

 国会への提供は「秘密会」が条件です。秘密会の審議は国民に公開されず、出席した議員も「特定秘密」を所属政党にも秘書にも話すことができません。

 裁判所などに対しては、裁判官にだけ非公表を前提に提供されます(インカメラ手続)。被告人や弁護士は知ることができません。

 それに対して、「外国政府・国際機関」は、秘密保護法案と同じ措置があれば、行政機関の長の判断次第で容易に提供できます。提供した情報の使用についても、条件は示していません。

 この場合、主に想定されているのは米国です。政府自身、秘密保護法案は、米国との軍事情報共有を進めるための国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案と「一体のもの」(菅義偉官房長官)と述べていることから明らかです。

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