主張

スポーツ2014

オリンピック準備元年の決意

 2014年のスポーツ界は、年明けから全開です。タスキをつなぐ駅伝でスタートを切り、フォア・ザ・チーム(全員のために)のサッカーに、ラグビーにわき、12日からは大相撲が始まります。

 世界レベルでは2月にソチ(ロシア)で冬季オリンピックが開催されます。初の正式種目となった女子ジャンプ、激しい国内予選が繰り広げられたフィギュアスケート、最後の最後で出場権を獲得した女子カーリングなど、日本選手の活躍が期待されます。

競技でも社会的活動でも

 3月には同じソチで冬季パラリンピックが実施されます。ハンディと向き合い、果敢に新たな可能性に挑む選手たちの姿に、勇気づけられます。それだけに、障害者スポーツの制度も支援も立ち遅れをとっている日本の現状を打開しなければならないと痛感します。

 ポスティングシステムで米大リーグに移籍予定の田中将大(まさひろ)選手はどうでしょうか。昨シーズン負け無しの快記録を打ち立てただけに、野球ファンの注目が集まります。しっかりコンディションづくりに努め、おくすることなく臨んでほしいものです。

 6月にはサッカーのワールドカップがブラジルで始まります。5大会連続出場の日本チームは、欧州リーグで活躍する選手を軸に攻守がかみ合えば、新しい高みを切り開くこともできるでしょう。好プレーと奮戦を楽しみにします。

 躍動するトップ選手たちですが、この間、競技だけでなく、スポーツ界に巣くう体罰・暴力の一掃のために立ち上がり、大震災の被災者への激励にも頑張っています。こうした社会との連帯には心強いものを感じます。広く人びとの共感を呼ぶものです。彼らの実力が存分に発揮できるよう、その環境づくりに力を合わせていきたいと思います。

 今年は、東京で開催が決まった2020年オリンピック・パラリンピックの準備が本格的に始まります。2月に「2020東京」大会組織委員会が設立され、国の予算にもオリンピック関係費が組み込まれました。その矢先に、自らの不祥事で猪瀬直樹東京都知事が辞職に追い込まれ、急きょ都知事選挙がおこなわれます。出だしから騒然としますが、都民・国民の利益を守り、スポーツの発展に寄与するオリンピックの準備を、透明性を堅持してフェアにすすめていかなければなりません。

 都知事選に立候補を表明している前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児さんは、「オリンピックを無駄遣いのないコンパクトなものとするとともに、平和と友好の祭典として憲法と平和を守る東京を確立して迎えたい」との考えを示しています。この見地こそ開催都市としてめざす方向です。

「選手が主人公」貫き

 いまからちょうど50年前の1964年に、東京で“アジアで最初”のオリンピックが開催されました。その一方でばく大な資金を利権の具にして群がり、都議会は“伏魔殿(ふくまでん)”と呼ばれて一大疑獄事件が起きました。

 これを苦い教訓として忘れることなく、今度は準備の段階から都民・国民本位、「選手が主人公」を柱にすえてつらぬくことです。「2020東京」にむけた“準備元年”といわれる今年がその第一歩となるよう、力を注ぐ決意です。