主張

集団的自衛権

本質は「海外での武力行使」だ

 日本が攻撃されていなくても、海外で武力行使ができるようになる―。日本共産党の小池晃副委員長の参院予算委質問(4日)で、集団的自衛権の行使を認めることの危険な本質が明らかになりました。安倍晋三首相もその可能性を否定できませんでした。一内閣の勝手な解釈によって憲法の平和原則や規範性をなきものにする狙いは鮮明です。日本を「海外で戦争できる国」にしないためのたたかいが重要です。

「歯止め」取り除かれる

 小池氏が取り上げたのは、米国によるアフガニスタン戦争(2001年)とイラク戦争(03年)への自衛隊派兵問題でした。歴代自民党政権は、米国が海外で起こす戦争に自衛隊を派兵することとの関係で、集団的自衛権をもっぱら問題にしてきたからです。

 自民党政権は、アフガン戦争とイラク戦争に際し、自衛隊を派兵し、補給や輸送などの米軍支援を可能にするため、特別措置法(テロ特措法とイラク特措法)を制定しました。

 いずれの特措法も、「基本原則」を定めた第2条で、自衛隊の活動は「武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならない」と規定しました。活動地域についても、「外国の領域」での活動を認めつつ、「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域に限定しました。

 つまり、自衛隊は米軍支援を実施するけれども、海外で武力の行使はしないし、米軍などが武力を行使している戦闘地域でも活動しないということでした。

 両特措法にこうした「歯止め」が設けられたのは、歴代政府が、憲法上、海外での武力行使はもちろん、他国の武力行使と一体化することも認められないとの立場をとってきたためです。その根底には、“憲法9条の下で日本は軍隊を持てないし、武力の行使もできない。日本が自衛権を発動できるのは、急迫不正の侵害(武力攻撃)を受けた場合に限る”という政府の憲法解釈があります。

 憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使が認められれば、日本が武力攻撃を受けていなくても武力の行使が可能になります。そうなれば、テロ特措法やイラク特措法にあった「歯止め」は取り除かれ、海外での武力の行使も、戦闘地域での活動も可能になります。小池氏の追及に対し安倍首相もそれらの可能性を否定できませんでした。それがどんな意味を持つかは、アフガン戦争で集団的自衛権を行使して参戦した北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国の兵士に1000人を超える犠牲者が出ていることをみても明らかです。

国のあり方の根本変える

 自衛隊の海外派兵法の一つに、アジア太平洋地域での米国の軍事介入を日本が支援する周辺事態法があります。同法も武力の行使はしない、戦闘地域での活動はしないという「歯止め」が設けられています。解釈改憲で集団的自衛権の行使が認められれば、この「歯止め」も取り払われることになります。戦後、平和憲法の下で歩んできた国のあり方を根本から変える集団的自衛権の行使容認は絶対に認められません。これを阻止するため幅広い人たちとの共同の力を大きくすることが急がれます。