無駄遣いに批判広がる

 23日投開票の「出直し大阪市長選」で再選された橋下徹氏は、自らの暴挙と市民の批判によってさらなる窮地に陥りました。(藤原直)

議会封じに

 「まー、盛り上がりません。もう選挙やっているんだか」。22日、橋下氏は難波での最後の演説をこんなボヤキから始めました。「メディアが何も報道しない」「ふざけてる」と八つ当たり。「明日は万歳も記者会見もやらない」とヤケッパチです。自業自得と言わざるを得ません。

 橋下氏は告示前、(1)夏までに「大阪都」構想の設計図を作る(2)そのために、府・市の議員と「大阪都」構想の制度設計を議論してきた法定協の委員を入れ替え維新を過半数にする(3)ただしそれを一方的にやれば、それこそ独裁だ。だから民意を問う―と語り、選挙を“議会封じ”に使おうとする意図を公然と示していました。

 しかし、この主張がいかに不当で、この選挙がいかに無駄かは9日の告示後、ますます明らかになりました。世論調査でも来年4月の「都」構想実現を目指す橋下氏の日程に「こだわる必要はない」が71%、反対派委員排除にも59%が反対です(17日付「朝日」)。当初、公営掲示板に橋下氏のポスターしか張っていなかったことも市民をあきれさせ、「選挙費6億円の無駄遣い」との批判はさらに広がりました。

 そもそも「市長選」では維新が過半数に及ばない府・市の議会の構成は変わりません。

 維新は府議会で前に除名した議員(4人)を取り込んで、法定協の委員を代えようとしていましたが、20日には府議選の区割り案の委員会採決でも、元維新議員が反維新の態度を表明。むしろ24日の本会議採決に向けて維新議員の「離党検討」や「離党ドミノの懸念」が報じられているのが現実です。

 市議会でも15日、当初予算案の修正案が維新以外の全会派の賛成で可決され、橋下氏がこだわって大失敗した校長公募の関連経費などが削られました。市民の足を売り飛ばす市営地下鉄・市バスの民営化も4度目の継続審議となりました。

 橋下氏が今回の選挙で最大の売り物とした「都構想をやれば大黒字。実現しないと大赤字」の「3色グラフ」も市議や専門家、日本共産党が加わる「大阪市をよくする会」の批判で知る人ぞ知るペテンの象徴に。大阪では新聞の1面にも「精査を求める声は…市内部まで広がっている」(「毎日」17日付)と報じられるに至って、橋下氏は「細かな数字の問題ではない」「一つのイメージ」とごまかしに走りました。

対話進める

 「よくする会」は「都」構想や維新の主張のデタラメを徹底して批判。「一方で市民向け施策を削りながら『都構想でサービスが向上』という維新の宣伝をみんなおかしいと思っています」「維新は過去の無駄な開発を批判しているが、市から権限と財源を吸い上げ無駄な開発を都の規模で進めるのが都構想」と対話を進めました。全戸配布や市内駅頭いっせい宣伝などで220万枚を超えるビラ(機関紙)を配布。各地で連日のようにシール投票や集いを行い、かつてないほど多くの区で町会役員訪問に取り組みました。橋下氏はこうした運動と市民の世論によって追い詰められたのです。