主張

来年度概算要求

消費税増税・大企業減税やめよ

 安倍晋三政権が来年度(2015年度)の予算編成に向け、財務省に各省庁が提出する概算要求の基準づくりを始めています。経済財政諮問会議で明らかにされた「予算の全体像」は、経済再生と財政再建を両立させるとして、社会保障予算には「自然増」にまで踏み込んだ削減を求める一方、来年春のいっせい地方選挙を意識し、地方向けなど「メリハリのついた」予算をめざすとしています。来年度は今年度に続く消費税の増税と、大企業向けの法人税減税が予定されています。財政再建や地方対策をいうなら、まず消費税の増税と法人税の減税を中止すべきです。

消費税増税で消費は低迷

 概算要求基準は22日の経済財政諮問会議に骨子案が示されており、25日の閣議で了解、8月末までに各省庁が概算要求を提出し、予算の査定が本格化します。22日の会議で安倍首相は、「アベノミクスの成果を地方に波及させる」「経済再生と財政再建を両立させる」などと指示しました。これを受けて会議に出席した財界関係者など民間議員は、社会保障予算については「自然増」も厳しく精査し「聖域なく見直す」ことや、「明確にインパクトのある」法人実効税率の引き下げを来年度から開始することなどを要求しました。

 来年度はことし4月から消費税の税率が5%から8%に引き上げられたのに続いて、来年10月から10%への再引き上げが予定されています。安倍政権は来年度予算編成中の今年末にも増税の実施を正式決定する段取りです。

 原則としてあらゆる商品とサービスが対象になり、2回の増税で合わせて10兆円以上の増収となる消費税の増税は、国民の購買力を奪い、消費を冷え込ませて、経済も財政も悪化させます。もともと経済力が弱い地方にとって打撃は深刻です。実際、4月から消費税が増税されたため消費の減少が続いており、政府の経済見通しなど見直しも相次いでいます。安倍政権が経済の再生や地方への対策を口にするなら、なにより消費税の増税を中止すべきです。

 消費税の増税を強行しながら、財界・大企業のいいなりに、来年度から法人実効税率を引き下げることになれば、それこそ国民いじめ、大企業奉仕の最たるものです。

 国税と地方税あわせ現在約35%の法人実効税率を20%台にするという財界のもくろみどおりの減税が強行されれば、少なくとも5兆円の財源が必要です。財界が来年度にねらっている2%の税率引き下げだけで約1兆円です。法人税の減税は赤字の財政をさらに圧迫し、消費税の増税分も穴埋めに回ることになります。法人税減税でうるおうのは大企業ばかりで、地域経済を支える中小企業は経営が苦しくても「財源確保」と称して、増税の被害さえ受けかねません。大企業減税は断念すべきです。

暮らし立て直す予算こそ

 消費税の増税や法人税の減税は中止し、予算は社会保障など国民向けに確保して、軍事費や不要不急の大型開発予算は見直すことこそ、暮らしにも経済にも財政を役立てることができます。

 来年度予算編成は、安倍政権が3年目を迎えることになる予算です。国民の暮らしを苦しめる「アベノミクス」をやめさせ、国民の暮らしをよくして経済を立て直していくことがいよいよ重要です。