「任期付き」への置き換え狙いも
総務省は7月、官製ワーキングプア(働く貧困層)といわれる地方自治体の臨時・非常勤職員の待遇改善などを求める通知を全国の自治体に出しました。非正規職員の増加を前提にしつつ、労働者のたたかいや国会論戦を反映して待遇改善に生かせる内容が盛り込まれています。
任用(雇用)では、契約更新を繰り返してきた臨時保育士の雇い止めなど、これまで問題になってきた「特別職非常勤」について、職務内容が「補助的・定型的」「一般職の職員と同一」「労働者性が高い」場合は一般職として任用するよう強調しています。
「空白期間」認めず
再任用をめぐっては、非正規職員への置き換えに対する批判を逃れようとして、次の再任用までの間に「空白期間」を設けているため健康保険や厚生年金から脱退させられ、医療費負担増や年金減少となることが問題になっていました。
今回の通知では「空白期間」の根拠について、「地方公務員法をはじめとした関係法令において存在しない」と明記しました。事実上、使用関係が存続している場合は「資格を喪失させることなく取り扱う必要」があるとの厚労省通知を紹介し、勤務の実態にそくして判断するよう求めています。
日本共産党の山下芳生、田村智子、吉良よし子各参院議員が質問などで、「脱法的やり方は許されない」「正規雇用化を行うべきだ」と求めてきたものです。
手当支給「実態で」
勤務条件に関しては、手当支給の要件とされる「常勤の職員」の定義について、「待遇等を総合的に考慮して実質的に判断されるものであり、任用根拠から直ちに定まるものではない」と強調しており、手当カットを許さないたたかいを反映した内容です。時間外手当や通勤費も支給できると明記。年休、産休、育児・介護休暇などについても整備するよう求めています。
一方で通知は、雇い止めしやすい「任期付き職員」の積極的活用を強調しています。臨時・非常勤職員を待遇確保によって継続的に活用しながら、任期付き職員への置き換えを促進するねらいです。
日本自治体労働組合総連合(自治労連)は「通知の改善面を生かし、非正規雇用職員の待遇改善と働き続けられる職場作りを進めよう」(猿橋均書記長)と呼びかけています。任期付き職員の活用については、「専門性や継続性の確保、雇用の安定といった問題は解決されない」とのべ、臨時・非常勤職員の正規化や任期の定めのない「短時間公務員制度」の確立を求めています。