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安倍政権をどうとらえ、どう立ち向かうか―BS11 志位委員長 縦横に語る
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安倍政権をどうとらえ、どう立ち向かうか―BS11 志位委員長 縦横に語る

2014-10-10 11:34

     日本共産党の志位和夫委員長は8日夜放映のBS11「報道ライブ21」で、日米ガイドライン(軍事協力の指針)再改定の「中間報告」というホットなニュースから集団的自衛権問題、臨時国会での論戦と安倍内閣をどうみるか、アジアの平和体制の問題まで、質問に答えながら縦横に語りました。司会は露木茂氏、コメンテーターは早野透・桜美林大教授(元「朝日」コラムニスト)が務めました。

    日米ガイドライン再改定――地球のどこでも日米共同作戦

     冒頭、露木氏が、日米両政府がこの日公表したガイドライン再改定に向けた「中間報告」について、「国会であんまり議論されていないのに、こういう話だけどんどん進んでいる」と問いかけました。

     志位氏は、「中間報告」が、ガイドラインに「7月1日の閣議決定を適切に反映する」としていることを指摘。「(集団的自衛権の行使容認問題は)『閣議決定』をやっただけで、国会での議論はわずかしかやっていません。何よりも国会で(具体化のための)何の法律も通っていません。そういう状態で、まずアメリカと事を進めてしまおうというやり方自体が、とんでもない政府の暴走です」と批判。そのうえで、「中間報告」には「二つの大きな問題がある」として、次のように指摘しました。

     志位 一つは、これまでの日米ガイドラインは、「周辺事態」のさいに日米が軍事共同をやるという枠がかかっていたんです。ところが今度は、「周辺事態」という地理的制約をとっぱらい、地球的規模で日米が共同して作戦をやれるようにしようと(露木「地球のどこでも」)。そう。どこでもです。

     もう一つは、これまでは日本の支援は、「後方地域支援」というふうになっていた。“「戦闘地域」でやってはいけません”という枠がかかっていたんですよ。これを、「後方地域支援」から「地域」を外して、「後方支援」という言葉に置き換えている。そうなってくると、たとえばアフガン戦争、イラク戦争のような戦争が起こったときに、今度は「戦闘地域」まで行って自衛隊が支援をやることになります。

     露木 つまり、弾薬や医薬品を運んできましたよと、戦闘地域までそういう形で入っていくことになると。

     志位 (「戦闘地域」に)入っていくことになる。そのときに相手から攻撃されたらどうするのかと国会で私たちもただしましたが、“武器の使用をやります”というのが首相の答弁なんです。武器の使用をやったら、さらに向こうから反撃され、戦闘になりますよ。

     つまり、米軍と自衛隊が文字通り地球のどこででも肩を並べて戦争をやろう――これが「中間報告」の方向になっている。

     露木 (今年の)暮れまでには、日米ガイドラインを改定するという約束ができているわけでしょう。

     志位 そうです。暮れまでに最終的な報告を取り決めてしまい、そのうえでその具体化のための法律を通そうという話になっている。国会を全部飛ばして、まず日米両政府で全部ことを決めてやってしまおうというやり方は、許すわけにいきません。

    「地方創生」「女性活躍」――やっていることは地方切り捨て、非正規拡大

     臨時国会の話題に移り、露木氏が「この臨時国会では、どちらかというとマイルドな、各党があまり反対しようもないテーマを前面に並べていますが」と問いかけたのに対し、早野氏は「臨時国会で時間をかせいで、国会の外で大事なことは(日米で)やってしまおうという集団的自衛権の運び方が“けしからん”というのは志位さんのおっしゃるとおり」だと応じました。

     志位氏は、次のように発言しました。

     志位 「地方(創生)」や「女性(活躍)」の二つで(安倍政権が)実際にやっていることは何か。

     たとえば「地方創生」といいますが、地方経済を支えている中小企業に消費税増税をかぶせたうえ、外形標準課税の拡大で赤字の中小企業からも税を取り立てようという、実際には地方切り捨てをすすめています。

     「女性活躍」といっても、女性への差別、男女の格差にメスを入れようという姿勢がない。女性の2人に1人は非正規で働いていますが、そういう方々を正社員にしていくという方向ではなく、派遣法改悪で非正規をさらに増やしていくような全く逆のことをしています。

     そのうえで、志位氏は安倍内閣のやり方をつぎのように指摘し、たたかう決意を表明しました。

     志位 安倍政権は集団的自衛権の「閣議決定」を強行しましたが、国民の評判は大変悪く、怒りが広がっています。ですから、当面はこの集団的自衛権の問題は「冷蔵庫」の中に入れて、怒りがさめるのを待とうという作戦です。

     そうであるならば、その間に、国民の側は、逃げている相手(安倍政権)を大いに攻めて、追い詰め、「閣議決定」を撤回に追い込むような大きな運動を起こしていく必要があると思います。

    安倍政権――暴走のたびに基盤を崩しつつある

     露木氏は「そういう批判があるなかで、実は安倍内閣の支持率は相変わらず高い」とのべ、安倍内閣をどうみるかがテーマに。

     志位氏は、「高支持率というが、それは過去のものになったのではないか」とズバリ。昨年12月の秘密保護法強行、今年4月の消費税増税強行、7月の集団的自衛権行使容認の「閣議決定」など、暴走のたびに支持率が下がり、基盤を崩しつつあり、「全体の傾向を見ればじりじり下がっている状況」だと指摘。「しかも集団的自衛権、消費税、原発再稼働など個々の問題をそれぞれみたら反対が多数です。ですから、一定の支持を保っているように見えるけど、大変もろいものだと思います」とのべました。露木氏も「個々のテーマに関しては、反対の方が多いんですよね」と応じました。

     このやりとりのなかで、露木氏が「こういうときだから、日本共産党への支持率がもう少し上がってもいい」と発言。早野氏も「野党のなかでは、志位さんの前だからいうわけじゃないけど、まあまあ(共産党は)善戦健闘しているという感じかな」と感想をのべました。

    「女性が輝く」というなら、男女の格差、女性への差別をなくしてこそ

     安倍内閣が臨時国会で再提出した労働者派遣法改悪案が話題に。志位氏は「今度の労働者派遣法の改定は歴史的な改悪です」として、「生涯ハケン」を強いられることなどの問題点を指摘しました。

     そのうえで志位氏は、安倍政権が強調する「女性が輝く社会」との関係で、正社員でも女性の賃金は男性の7割にすぎないうえ、女性の5割以上が非正規で働いているため、全体では女性の賃金は男性の半分にすぎないという実態を指摘。世界経済フォーラムのジェンダーギャップ=「男女の格差指数」の調査でも、136の国のうち日本は105位と最低ランクとなっていることを示し、「男女の格差、女性の差別をなくしていく方向にいかなければ、(安倍首相が言う)『女性が輝く』ということにはならないのに、逆に非正規の方をどんどん増やしていくということになったら、ますます輝きづらい社会になってしまいます。言っていることとやっていることが全く逆です」と批判しました。

     また、5人の女性が閣僚に起用されたとの指摘に、志位氏は次のようにのべました。

     志位 辛いことを言いますが、5人のうち3人が、「日本会議」国会議員懇談会のメンバーなんです。「日本会議」というのは、過去の侵略戦争を肯定・美化するので有名なんですが、夫婦別姓や男女共同参画にも反対しています。そういう人たちが大臣になることを、ただ女性だからよしとしていいのか。そのことがきびしく問われています。

    日本共産党の躍進こそ、いまの野党状況を前向きに打開する力となる

     「他の野党との国政での選挙協力は」の質問に、志位氏は、「(国政選挙では)国政の基本問題で政策の一致が必要ですが、集団的自衛権、消費税、原発、沖縄新基地など緊急の課題でも、他の野党との一致がない。独自にたたかい、躍進をめざします」ときっぱり表明しました。

     同時に、11月投票の沖縄県知事選では、名護市辺野古への米軍新基地建設反対、普天間基地の閉鎖・撤去などの一致点で、保守・革新の枠組みを超えてオナガ雄志(たけし)さんを共同で推していることを紹介し、「こういう共闘は大事にしていきたい」と強調しました。

     さらに、いまの野党状況をどう打開するかについて、次のように発言しました。

     志位 いまの野党の状況を前向きに打開していく力は何かといったら、共産党がもっと躍進することです。昨年の都議選、参院選で始まった躍進を、一過性のものにしないで、いっせい地方選挙、総選挙でも躍進を本格的な流れにしていく。このことによって、野党状況にも変化が出てくると思います。

     かつて1970年代に共産党が躍進したさいには、当時の公明党でさえ、一時期は日米安保条約即時廃棄といったんです。そういうふうに、共産党が躍進することで、日本の政治をリードしていきたいと思います。

    アジア政党国際会議――「宣言」に党の提案が実る

     露木氏は、スリランカのコロンボで開かれたアジア政党国際会議(9月18~20日)に29カ国、75政党の代表が集まり、志位委員長も出席したことについて質問しました。

     志位氏は、日本共産党の二つの提案が同会議の「コロンボ宣言」に盛り込まれたと紹介。一つは、東南アジア諸国連合(ASEAN)のような平和協力の枠組みを北東アジアも含めて全アジア規模に広げようということ、もう一つは、核兵器禁止条約の速やかな交渉開始を世界に呼びかけるというものです。「これは事前にも提案をし、発言でもこの趣旨を述べ、それが『コロンボ宣言』に入ったので大変喜んでいるんですが、ぜひこういう活動も活発にやっていきたい」と語りました。

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