主張

文化の日

文化活動の自由まもる共同を

 11月3日の「文化の日」は1948年、日本国憲法のもとで「自由と平和を愛し、文化をすすめる」(国民の祝日に関する法律第2条)日として制定されました。

 芸術・文化は人々が心豊かな生活をおくるうえで不可欠です。文化を自由に創造し、享受することは国民の権利であり、その条件を整えることは政治の責務です。

増税不況が文化を直撃

 気がかりなのは、国民が芸術・文化を楽しむ機会から遠ざけられつつあることです。

 内閣府の消費動向調査(9月実施調査結果)によると、昨年6月以来6期連続で、向こう3カ月にコンサートや演劇、映画館、美術館などへの入場料支出を減らすと回答した世帯が、増やすと回答した世帯を上回っています。

 勤労者の所得が減少しつづけていることが背景にあります。そこに安倍晋三自公政権による消費税増税の追い打ちです。運営が苦しくなり、やむなくチケット代を値上げした芸術団体も少なくありません。そのことも文化から国民を遠ざける一因となっています。

 もともと日本の文化予算は、国家予算に占める割合が0・11%にすぎず、韓国の8分の1、フランスの10分の1(2012年)という低い水準に抑えられています。

 ところが、来年度の文化庁概算要求でも、芸術団体や映画・アニメへの支援は前年度と同水準にすえおかれています。日本芸能実演家団体協議会(芸団協)など広範な芸術団体がとりくみ、国会で一昨年請願が採択された文化予算の抜本増額の要求はないがしろにされています。文化に冷たい政治からの転換が求められています。

 第2次安倍内閣が秘密保護法制定や集団的自衛権行使容認など、憲法の平和原則と表現の自由、知る権利をほりくずす暴走政治をすすめていることにも、芸術家・文化人のあいだで危惧と批判の声が広がっています。

 日本劇団協議会は、集団的自衛権の行使容認の閣議決定について「憲法の基本原則に関する解釈の変更が政府によって勝手に行われることは、私たちの演劇活動の基礎となる言論表現の自由そのものにとっても大きな脅威である」と批判し、撤回を求めています。

 日本ペンクラブは、秘密保護法施行の閣議決定に対し「(言論・表現の)自由を少しでも制約しようとする動きがあれば…毅(き)然(ぜん)としてたたかう覚悟」を表明しました。

 見過ごせないのは、第2次安倍内閣の発足以降、表現の自由、文化活動の自由を侵害する出来事が各地で相次いでいることです。

 例えば、東京都美術館では、安倍首相の靖国神社参拝などを批判した作品が撤去を求められました。さいたま市では、憲法9条をよみこんだ俳句が「公民館だより」への掲載を拒否されました。

許せぬ表現の自由の侵害

 思想の自由、言論・表現の自由は、民主主義社会をささえる基本原理です。公の施設が正当な理由なしに創作物の発表を拒否することは、憲法の保障する表現の自由の侵害であり、許されません。

 いま、安倍政権の「亡国政治」に対抗して、憲法9条と言論・表現の自由をまもる良識ある世論と運動が広がっています。日本共産党は、そうした広範な人々と共同し、表現の自由、文化活動の自由をまもるために力をつくします。