主張

辺野古新基地強行

「法治」を口にする資格はない

 沖縄県知事選で米軍普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古(へのこ)への新基地建設断固反対を掲げた翁長雄志(おながたけし)氏が圧勝し、「新基地ノー」の県民意思が明確に示されたにもかかわらず、安倍晋三政権は新基地建設を「粛々と進めていく」(菅義偉官房長官)と強硬な態度です。知事選からわずか3日後の19日には、辺野古沖の埋め立て工事に向けた海上作業を再開しました。沖縄の民意を踏みつけにする暴挙は、民主主義国家では絶対に許されません。安倍政権は直ちに海上作業を中止すべきです。

安倍政権の異常な認識

 沖縄県知事選の結果に対する安倍政権の認識は、信じがたいほど異常です。菅官房長官は知事選翌日の記者会見(17日)で、翁長氏圧勝の選挙結果について「それ(普天間基地の辺野古移設)の賛成、反対の投票ではなかったのではないか」と強弁しました。

 今回の知事選は、仲井真弘多知事が普天間基地の「県外移設」という前回選挙の公約を裏切り、辺野古の新基地建設推進の立場を鮮明にしたことにより、その是非が最大の争点になったことは誰の目からも明らかです。実際、琉球新報と共同通信が実施した出口調査でも、投票の際に最も重視した政策として「普天間飛行場の返還・移設問題」と回答した人は60・5%と最多で、次に多かった「経済振興・雇用」15・4%を大きく上回りました。

 知事選で新基地反対の民意が示されたことが自明なのに、それを認めようとしないところに、新基地建設を強行する安倍政権の深刻な行き詰まりがあります。

 菅氏は会見で、新基地建設を正当化するため、「辺野古移設は米軍の抑止力の維持と普天間の危険除去を合わせた中で唯一の解決策だ」と改めて述べました。「米軍の抑止力維持」と「普天間基地の危険性除去」という命題を両立させる方法は「辺野古移設」しかないというこの主張は、根本から間違っています。

 普天間基地も新基地も米海兵隊の航空基地です。菅氏は、記者から「具体的にどんな抑止力が海兵隊にあると思っているのか」と問われ、「日米安全保障条約に基づいて駐留をしているという意味の抑止力」だと意味不明の答えしかできませんでした。説明できるはずがありません。沖縄の海兵隊はベトナム戦争やイラク戦争への派兵に示されるように、「日本防衛」とは無縁の海外侵攻が任務の「殴り込み」部隊だからです。

 「普天間基地の危険性除去」も、危険を辺野古に移すだけです。最新鋭の基地を手に入れれば、事故への懸念が強い垂直離着陸機オスプレイが今まで以上に横暴勝手に飛び回ることは明らかです。

総選挙で厳しい審判を

 菅氏は、「法治国家」として昨年末の仲井真知事による埋め立て承認に基づいて新基地建設を進めると強調しました。しかし、仲井真知事の承認は前回知事選の公約を覆して行ったものであり、今回の知事選で県民はそれを認めていないことが鮮明になりました。「法治」の名で民意を切り捨てるのは本末転倒です。

 安倍政権に新基地計画を断念させるため、沖縄県知事選の歴史的勝利に続いて、今度の総選挙でも厳しい審判を下そうではありませんか。