2013年の参院選(補選含む)で当選した自民党参院議員66人のうち、43人が、自民党本部から受け取った政党助成金を「選挙資金」の名目で、1000万円、800万円と自分あてに「寄付」していたことが本紙の調べでわかりました。その“お手盛り”の総額は3億4400万円を超えます。受け取った本人が、どう使ったかはチェックされません。

 参院議員が支部長を務める自民党支部の13年分の政党交付金使途等報告書を調べたもの。

 これによると、大半の政党支部が同年に1700万円の政党助成金を党本部から受け取り、人件費、事務所費、宣伝事業費、組織活動費などに支出しています。

 このうち林芳正前農水相(山口)、礒崎陽輔総理補佐官(大分)はじめ43人の支部が「選挙関係費」として、本人あて(4人は選挙事務所あて)に寄付。受け取った時期は、2人をのぞいて41人の政党支部が、同年7月4日の参院選公示前後です。

 受け取った金額は、ほぼ半分の24人が1000万円。うち、古川俊治参院議員(埼玉)は、同年に受け取った1900万円のうち、1000万円を公示日に自分に「寄付」、あとの900万円はすべて「人件費」に支出しています。

 ほかは800万円、600万円、500万円などですが、端数を寄付している議員も。

 宮本周司参院議員(比例)は、7月2日に577万5850円を自分に「寄付」、使い残して562万5454円を「基金」としていますが、高野光二郎議員(高知)は、6月16日に105万5382円、7月11日に500万円を自分に「寄付」、同年に受け取った1700万円をすべて使い切っています。

 三木亨(とおる)議員(徳島)も、公示日の7月4日に200万円、投票日前日の7月20日に259万9826円を自分に「寄付」、1700万円を使い切っています。

 政党助成金の原資は国民の税金なのに、使途については基本的に条件も制限も課していません。多額な「寄付」を自分におこなった後は、どういうことに使ったかは闇の中。税金で肥え太ってもチェックできず、文字通り私物化している格好です。(藤沢忠明)

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政党助成金を自分に「寄付」した“お手盛り”参院議員

 山東昭子(比例)   600万円
 尾辻秀久(鹿児島) 1000万円
 武見敬三(東京)  1000万円
 鴻池祥肇(兵庫)  1000万円
 林芳正(山口)   1000万円
 伊達忠一(北海道)  500万円
 愛知治郎(宮城)  1000万円
 吉田博美(長野)  1000万円
 松山政司(福岡)  1000万円
 森雅子(福島)   1000万円
 古川俊治(埼玉)  1000万円
 丸川珠代(東京)  1000万円
 塚田一郎(新潟)   700万円
 牧野京夫(静岡)  1000万円
 西田昌司(京都)  1000万円
 礒崎陽輔(大分)  1000万円
 佐藤信秋(比例)  1000万円
 佐藤正久(比例)  1000万円
 江島潔(山口)    500万円
 滝沢求(青森)    600万円
 中泉松司(秋田)  1000万円
 大沼瑞穂(山形)  1000万円
 上月良祐(茨城)   500万円
 高橋克法(栃木)  1000万円
 豊田俊郎(千葉)   500万円
 山田修路(石川)   500万円
 滝波宏文(福井)   800万円
 森屋宏(山梨)   1000万円
 舞立昇治(鳥取)   500万円
 島田三郎(島根)  1000万円
 石井正弘(岡山)  1000万円
 三木亨(徳島)    459万9826円
 三宅伸吾(香川)  1000万円
 井原巧(愛媛)    500万円
 高野光二郎(高知)  605万5382円
 山下雄平(佐賀)   500万円
 馬場成志(熊本)  1000万円
 長峯誠(宮崎)    500万円
 赤池誠章(比例)   800万円
 石田昌宏(比例)   300万円
 柘植芳文(比例)   500万円
 羽生田俊(比例)  1000万円
 宮本周司(比例)   577万5850円

 (注)順不同、敬称略。政党交付金使途等報告書(2013年分)で作成