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安倍晋三政権・自民党の農協「改革」案が9日午後、事実上決まりました。全国約700の地域農協を統括する全国農業協同組合中央会(JA全中)を農協法から分離し、同法に基づかない一般社団法人にします。
安倍政権の「農業・農協改革」は、農業者の要望によるものではありません。首相が掲げる「世界で一番企業が活躍しやすい国」の“農業版”です。“企業が活躍しやすい農業”を目指しています。首相は、農家を守る現行諸制度を、その障害になる「岩盤規制」とみなして壊そうとしています。農家の共同組織である農協(農業協同組合)は、その最初の標的とされています。
首相は、「もうかる農業」や「農業・農村の所得倍増」も掲げてはいます。しかし、それは、一般農家にとってのことではなく、農外から参入する企業を含めて、企業的農業を営む大経営が、利益の上がる分野へ思いのままに“進出”できるようにすることです。
「改革」案は、全国農協中央会(JA全中)の指導・監査権限が地域農協の自主性を損ねているとし、廃止します。しかし、地域農協の組合長のほとんどがその事実はないと否定しています。むしろ、環太平洋連携協定(TPP)に対する農業者の反対運動の中心になっているJA全中を“弱体化”させる狙いが見えます。
JA全中の指導・監査権限が廃止されると、農協の全国的連携が断ち切られる恐れがあります。また、農協監査を、営利目的の株式会社と同じく公認会計士による会計監査に委ねるのでは、協同組合としての性格も否定されかねません。(北川俊文)