主張
15年度予算の成立
暮らしを壊す政治の転換こそ
第3次安倍晋三政権が提出した2015年度予算が自民党、公明党などの賛成多数で参院本会議で可決・成立しました。総額96兆3420億円と過去最大の予算規模ですが、肝心の中身は、国民に医療・介護・年金などの改悪と負担増を迫る一方、大企業を優遇する法人税減税を行うなど典型的な「逆立ち予算」です。増税や物価高で暮らしがいよいよ大変なときに、あまりにも冷たい政治です。安倍政権の暮らし破壊の暴走にストップをかけ、国民生活を応援する政治への切り替えが急務です。
3900億円もの大削減
消費税が5%から8%に増税されて今月で1年になりますが、8%への引き上げによる増収は約8兆円なのに、「充実」にあてられたのは、そのうちわずか16%です。増税の口実だった「社会保障の充実」など国民はとても実感できるはずがありません。
むしろ社会保障費の大規模削減が次々と進められています。15年度でみても社会保障費のさまざまな分野の削減額を合計すると約3900億円もの国費がカットされることが、日本共産党の小池晃副委員長の参院予算委員会での質問で明らかになりました。暮らしに与える影響はきわめて深刻です。
介護では、特別養護老人ホームの入所待機者が50万人以上もいるのに、特養など介護施設の経営に打撃を与える介護報酬の大幅引き下げを実施します。利用料や介護施設の食費・部屋代の負担増が、利用者と家族に重くのしかかろうとしています。医療では70歳・71歳の窓口負担を2倍化します。
負担増に追い打ちをかけるのが、高齢者の頼みの綱の年金の実質削減です。物価が上がっても、それに見合って年金額が上がらない「マクロ経済スライド」を15年度から初めて始めるからです。
年金額は2・2%も抑制され、給付総額でみれば1兆円以上もの削減になります。影響は、高齢者の暮らしを脅かすだけにとどまりません。県全体の民間消費の2割以上を年金給付額が占めている県など、年金が地域経済を下支えしている地域も少なくないからです。年金の目減りで高齢者が生活費を切り詰め、消費を冷え込ませることは、地域の経済にとっても大きな打撃になります。
生活保護では、15年度から3年かけて行う住宅扶助費削減で保護世帯のほぼ3割、約44万世帯が転居を迫られる事態になりかねないことが、辰巳孝太郎参院議員の質問で判明しました。住まいという生活の基盤を揺るがす保護費削減の道理のなさは明らかです。
暮らしへの冷たさにたいし、法人税減税の大盤振る舞いなど大企業への気前のよさは際立ちます。大企業向けの研究開発減税はトヨタ自動車1社だけで1200億円ですが、これは介護報酬引き下げによる国負担削減分1130億円を上回る額です。“大企業栄え暮らし滅ぶ”―この間違った政治の方向をただすことが必要です。
暴走ストップの声を広げ
5兆円を超えた過去最大の軍事費は、自衛隊を「海外で戦争する」軍隊に改変する具体化です。
国民の暮らしを壊し、「戦争する国」づくりで国民の命を危機にさらす安倍政権の暴走にストップをかけるため、国民の「ノー」の声を広げ、いっせい地方選できびしい審判を下すことが重要です。