躍進受けて提出
日本共産党は「ブラック企業」問題で、労働者の運動と結んでユニクロ、ワタミなどの実態を告発し、抜本的規制を求めてきました。「ブラックキラーは共産党」と支持を集めた2013年参院選で躍進し議案提案権を獲得すると、同年10月に「ブラック企業規制法案」を提出。この法案にもとづく国会論戦によって、現実政治を動かしてきました。
同法案は、残業時間の上限を年間360時間とする▽次の勤務まで11時間の休息時間を保障する▽サービス残業が発覚したら残業代を2倍にする▽採用者・離職者数など労働条件・職場環境の情報公開▽パワハラを行った企業に指導・勧告などを行い、従わない場合は企業名を公表する―などブラック企業の「手口」を封じ、人間らしく働ける労働環境をつくるものでした。
厚労省一斉調査
厚生労働省は13年から14年にかけて、5000を超える事業所への立ち入り検査を行い、違法行為などの是正措置に乗り出しました。「若者の使い捨て」という表現で「ブラック企業」を初めて対象にして監督・是正に乗り出したものでした。厚労省内からは「(共産党から)規制法案まで出されて動かないわけにいかない」との声が上がりました。その後も同省は、ハローワークを通じて大学生や大学院生を採用する企業について、「ブラック企業」かどうかを見分ける情報となる離職率を公表するなど規制法案の内容を先取りする形で実施に移してきました。
「ブラック企業」の手口である「固定残業代制」の問題では、求人の一斉調査と是正に乗り出し、虚偽・誇大な求人広告をしないよう業界団体などにも要請しました。これも吉良よし子参院議員らの国会質問を受けたものでした。
ある野党幹部は「この問題では共産党にはかなわない。独壇場だ」と語りました。
そして、今通常国会に政府は新たな法案を出し、党の規制法案で掲げた職場情報の開示などを企業に課すことにしたのです。
共産案に初賛成
この法案に対して日本共産党は、規制をより実効性あるものとするため修正案を提案。これには社民党が共同提案に加わり、民主、維新など与党を除く全議員が賛成しました。修正案は、規制法案で掲げた情報開示項目などを提起したもので、規制法案が党派を超えて道理があることを示すものになりました。
「共産党の修正案に賛成したのは初めてだ」と語る野党議員もいました。
一方で政府は、「残業代ゼロ」制度の導入など「ブラック企業」を野放しにする法案の成立を今国会で狙っています。これに対し日本共産党の規制法案は、労働時間の法的上限規制を盛り込むなど労働法制改悪を許さない共通の旗印ともなっています。ブラック企業をなくすたたかいの前進も力にして、労働法制改悪を許さないたたかいが焦点になっています。