6126a44beb0325b970b1d109d0cc73ab6adc37f1 1955年のアジア・アフリカ会議で採択されたバンドン10原則は、国連憲章の平和、基本的人権、主権平等、紛争の平和的解決の原則を踏まえ、民族自決の原則をいっそう明確にしたものでした。それは、その後の植民地の一掃と民族独立の流れを強くすることに貢献してきました。2005年の50周年記念首脳会議、今回の首脳会議のいずれも、「バンドン精神」の再確認が焦点とされてきました。

 過去の侵略と植民地支配によって、特にアジア諸国に多大な犠牲を強いた日本にとって、当然、過去の侵略戦争と植民地支配への歴史認識が問われる場となるはずです。

 だからこそ、05年の会議では、小泉純一郎首相(当時)が、演説の冒頭から、日本の植民地支配と侵略によってアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えたことを強調し、「痛切な反省と心からのおわびの気持ちを常に心に刻みつつ」と述べたのでした。この認識は、戦後60年の小泉首相談話(05年8月15日)にも反映されました。

 ところが、安倍首相は22日の60周年記念首脳会議での演説で、日本による植民地支配と侵略の事実には言及せず、「おわび」にも一言も触れませんでした。

 それどころか、首相は、演説の前日には過去の日本の侵略戦争を美化し、正当化する靖国神社に真榊(まさかき)を奉納しています。靖国神社への真榊奉納は、日本の首相が同神社と同じ立場に身を置くことを意味します。

 植民地解放と民族自決の実現を高らかにうたった歴史あるバンドン会議の記念首脳会議で、安倍首相は、植民地支配と侵略の事実に正面から向き合おうとせず、侵略戦争を美化する姿をさらすことになりました。

 (山田英明)