究明に背
年金情報の流出問題は、流出を防げなかった機構と厚労省の責任をはじめ、社会保険庁を解体・民営化して基幹業務まで外部委託と非正規雇用で推進してきた問題など安倍政権の責任が問われる大問題になっています。
しかも、日本年金機構が「インターネットと遮断」と発表しておきながら、流出発覚後1週間もネットに接続し続けていた問題が発覚し、徹底究明が急務になっています。
ところが、自公維3党は徹底究明に背を向けて10日に法案審議を強行。11日に年金問題について3党だけでわずか2時間余の質疑を行っただけで採決を強行しようとしています。安心・安全の年金を求める国民の願いにそむく3党の姿勢が厳しく問われます。
生涯派遣
派遣法改悪案は、採決など許されないのが審議の実態です。
派遣の受け入れ期間は現在、専門業務を除いて原則1年、延長しても3年が上限です。正社員を派遣労働者に置き換える「常用雇用」を防止するためです。
ところが改悪案は、3年で働く人を代えるか、部署を変えれば、何年でも使い続けることができます。契約上だけ「無期雇用」にしておけば、人を代える必要もありません。
安倍首相は、派遣の受け入れを延長する場合、過半数を占める労働組合の「意見聴取」を義務付けているとして、「歯止め」になると説明してきました。
しかし、日本共産党の堀内照文議員が、「条文では労組の同意は不要だ。労組が反対しても延長できる」とただすと、厚労省は「想定しにくい」としか答えられませんでした。何の歯止めにもならず、“生涯ハケン”“正社員ゼロ”に拍車をかけることは明瞭です。
道閉ざす
「教育訓練やキャリアアップなど正社員への道を後押しする」(安倍首相)という論拠も破たんしています。
堀内氏が、正社員になれる保証があるのかとただすと、塩崎恭久厚労相は「可能性がある」としか答えられませんでした。実際、法案にあるのは、直接雇用の「依頼」など実効性のないものです。そもそも正社員になれないのはキャリアのせいではなく、諸外国では当たり前の「均等待遇」もなく、派遣のほうが安く使えるからです。
しかも、違法派遣があれば直接雇用させる「労働契約申し込みみなし制度」が10月施行されますが、改悪案が成立すれば、期間制限違反などが合法化されるため、「みなし制度」は発動されません。正社員への道が閉ざされてしまうのです。
「違法を合法化するのでなく、適正化して直接雇用させるべき」(日本共産党の高橋千鶴子議員)であり、論拠は崩れています。こんな「欠陥法案」(高橋氏)をごり押しすることは許されません。
(深山直人)