主張

被爆70年・世界大会

反核平和の世論を総結集して

 被爆70年の原水爆禁止世界大会(8月2~4日・国際会議、4~6日・広島大会、7~9日・長崎大会)が近づいています。国連のキム・ウォンス軍縮問題担当上級代表をはじめ、非同盟諸国の政府代表など、国際政治で核兵器廃絶をめざす中心的な人々も参加します。運動団体・NGOの代表は120人を超えようとしています。

再検討会議後の展望示す

 今年の世界大会に大きな期待と注目がよせられているのは、5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議をうけて、前進の展望をきりひらく大会だからです。

 最終文書を採択できなかったNPT再検討会議について、多くのマスメディアは「決裂」「失敗」などと否定的に報道しました。しかし、それは皮相な見方です。議論を含めた会議全体には、今後に生きる重要な前進がありました。

 多くの国々が核兵器禁止条約の交渉開始を要求したことは、前回2010年の会議と比べても大きな変化でした。「核抑止力」論にたつ核保有国は、核戦力を当面維持する「ステップ・バイ・ステップ」の段階論を主張し、条約の交渉開始に反対しました。しかし、核保有国側が多数の声に圧力を感じたことは確かです。アメリカですら、核兵器廃絶の最終段階では「法的枠組み」が必要と認めざるをえませんでした。こうした議論を反映し、最終文書の草案には初めて核兵器禁止条約が明記されました。これは重要な前進です。

 核兵器は残虐だとして、その禁止と廃絶を求めた「核兵器の人道的結果についての共同声明」にNPT加盟国の8割にあたる159カ国が賛同したことも、核兵器に固執する国々を追い詰めました。これを拒否してきた核保有国ですら、「理解」を表明せざるを得ませんでした。核兵器の非人道性にたち、「法的措置」の実現をめざす「人道の誓約」に100カ国超が賛同していることも注目されます。

 このように国際政治でも、多数の声で核保有国を包囲する流れが発展しています。再検討会議には、日本原水協が呼びかけた「核兵器全面禁止のアピール」署名633万人分が届けられました。国連事務総長や再検討会議議長が署名を称賛したのも、市民社会とともにこの流れを発展させようとしているからです。

 こうした成果をさらに発展させ、被爆70年を「核兵器のない世界」への転機とするために、大会の成功が強く求められています。

 日本政府が世界で、被爆国にふさわしい役割を果たせないのは、安倍政権がアメリカの「核の傘」に依存しているからです。核兵器の使用さえ容認するこの政権が、戦争法案成立を狙うことが、いかに危険であるかは明白です。

戦争法案を許さぬために

 「ヒロシマ・ナガサキ」の悲惨な体験は、戦争放棄とともに戦力不保持を明記した憲法9条の源の一つです。反核平和の願いを最も広く結集する世界大会を成功させ、広島と長崎から「戦争法案ノー」の声を示すことは、安倍政権への痛打となります。各地の平和行進には、全国で10万人が参加するといわれ、地域から列島騒然の状況をつくる力となっています。

 歴史的意義をもつ今年の世界大会を、情勢にふさわしく共同を大きく広げ平和の願いを総結集して成功させることが求められます。