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(写真)「戦争法案は違憲」「廃案にせよ」と声をあげる学者たち=20日、東京都千代田区
幅広い分野の学者・研究者でつくる「安全保障関連法案に反対する学者の会」が20日、東京都千代田区の学士会館で記者会見しました。150人を超える学者・研究者が参加し、呼びかけ人や賛同者が意見を述べ、衆院での強行採決に抗議し、廃案に向け、さらに国会を包囲していきたいと決意を語りました。
発起人・事務局代表の佐藤学氏(学習院大学教授)が、アピールに学者・研究者1万1218人、市民2万2779人の3万4千人近い賛同が寄せられ、急速に運動が盛り上がっていることを報告。呼びかけ人の広渡清吾氏(専修大学教授、日本学術会議前会長)が「立憲主義と民主主義の破壊」とする「抗議声明」を読み上げ、確認しました。
ノーベル賞受賞者で京都大学名誉教授の益川敏英氏は、戦後の日本の歴史と国民のたたかいに触れつつ、「その中にあっても憲法9条は歴然として生き続けてきた。しかし安倍首相はそれをなし崩しにしようとしている」と訴えました。
国際基督教大学教授の川本隆史さんは、「憲法はピンチかもしれないが、ピンチは逆にチャンスであると自分を奮い立たせて動いていきたい」と表明。東京大学名誉教授の上野千鶴子さんは、「いま学者と学生が世代を超え、ともにたたかっています。手遅れにならないうちに行動しなければならない」と語りました。
31日に「学者の会」と共同行動を計画しているSEALDs(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)の奥田愛基(あき)さん=大学4年生=が「学者・学生が力を合わせ、保守・革新がともに声を上げていきたい」と発言しました。
最後に、広渡氏は「憲法9条を守るたたかいは、国際的責務。世界に約束したことを守ることを世界に示していこう」と呼びかけ、全員で「廃案まで頑張るぞ」と唱和しました。
軍事研究に協力しない誇り
憲法9条は生き続けている
政府の世界情勢認識にズレ
戦争法案の廃案を求めて20日、東京都内で開かれた「安全保障関連法案に反対する学者の会」の「学者100人記者会見」。呼びかけ人や賛同者の発言(要旨)を紹介します。池内了さん(名古屋大学名誉教授)
「日本の科学者が戦後、軍事研究に協力してこなかったのは世界に誇るべきこと。それが今崩され、研究費削減で軍事研究に手を出す状況が生まれつつある。自分の研究は人々の幸福のためだけに使ってほしいと宣言する運動を広げたい」
小沢隆一さん(東京慈恵会医科大学教授)
「安保法制で送り出される自衛隊員は軍隊ではないとして捕虜の扱いも受けず、民間人としても扱われず、テロリスト並みの扱いを受けかねない。危険に目をつむって自衛隊を送り出すことは許されない」
益川敏英さん(京都大学名誉教授)
「日本の憲法9条はずっと生き続けている。安保法制は、9条をなし崩しにしようというもの。これは立憲主義に真っ向から反する。私が情勢は明るいと思うのは、鋭い反対世論が立ち上がっていること。これを拡大して、安倍政権に鉄ついを下さないといけない。安倍さんに辞めてもらうまでたたかい続ける」
吉岡斉さん(九州大学教授)
「日本は『普通の国』(軍事大国)になろうとしてきたが、その仕上げが憲法9条の改憲。その中間ステップとして安保法制が出て来た。次は必ず改憲が狙われる。それを阻止するため、安保法制に反対しなければならない」
千葉眞さん(国際基督教大学特任教授)
「怒りと憤りを禁じえません。日本が築き上げてきた立憲主義を破壊する行為です。日本が追求してきた非戦型安全保障、アジアと日本の犠牲を経て生まれたコンセンサスを葬り去るものです」
高山佳奈子さん(京都大学教授)
「私たちは国際刑法学会の人たちからの要請にこたえ、法案反対アピール賛同署名の英語版をつくりました。アメリカ、ブラジル、フランス、スペインなどからも署名が集まっています。さまざまな意見はありますが、憲法を無視してよいという国際世論は存在していません」
酒井啓子さん(千葉大学教授)
「(政府の)世界の情勢認識は大きくズレています。これまで自衛隊は『悪いことはしなかった』ことが『評価』されてきましたが、今後、米国と行動をともにすれば、攻撃対象になります。とても危惧しています」