今月から施行された「マイナンバー(共通番号)制度」。全国民に付けられる番号の「通知カード」が市区町村から郵送されますが、カードが届く前に知っておきたいポイントを見てみると―。

Q 通知カードがきたら?

A 大事に保管して。個人番号カードは任意

 「番号通知カード」は、市区町村から世帯主あてに人数分が簡易書留で届きます。カードには番号と氏名、住所、生年月日、性別が印字されています。番号を他人に知られないように大切に保管することが重要です。

 役所や会社などから番号の提供を求められたときなどに提示します。そのさい、本人確認のため運転免許証などが必要です。

 通知カードと一緒に「個人番号カード」の交付申請書も同封されていますが、申請は義務ではなく任意です。

 個人番号カードは、番号などに顔写真の付いたもので、通知カードと同じように番号の提供を求められたときに使い、身分証明書にもなります。

 ただし、通知カードがあれば行政手続きなども何の問題もなくできるため、必要がなければ申請しなくて構いません。

Q 番号の使われ方は?

A 社会保障抑制などに活用。なし崩しに拡大

 来年1月から、医療保険や介護保険、雇用保険など社会保障、確定申告などの税分野、被災者生活再建支援金などの災害対策―の手続きで使います。

 施行前に、新たに預貯金口座や特定健診などにも利用を拡大することが決まりました。利用拡大は施行後に検討するとしていたのになし崩しの拡大であり、きわめて問題です。

 年金については、個人情報の流出問題を受けて、安全対策をとるためにマイナンバーとの連携などが最長17年まで延期せざるをえなくなりました。

 事業所は給与などの書類に番号を記載する必要があるため、従業員に番号の提供を求めることになります。ただし、従業員から提供が得られず、番号が書かれていなくても、書類は受理されることになっています。

Q 国民にメリットは?

A ほとんどメリットなく危険性大きく

 共通番号の導入で個人にメリットはほとんどありません。所得証明書の添付がいらないなど手続きの一部が省略できる程度です。

 逆に、個人情報を国が集めて行政一般に利用するプライバシー侵害、情報漏えい、「なりすまし」被害などデメリットは重大です。

 一方、国にとっては税務署など行政機関がそれぞれ持っている個人情報を共通番号でつなげて管理することができるようになり、税・社会保険料の徴収強化や社会保障給付の抑制などに使えます。

 政府は、幅広い個人情報を集めるため、利用対象の拡大をねらっています。

 個人番号カードも健康保険証との一体化などさまざまな機能を持たせて、保有者を増やす計画です。しかし、個人情報が集まれば集まるほど、国による管理が強まり、漏えい時の被害も甚大で不正取得の標的になる危険も高まります。利用拡大を許さないことが重要です。