沖縄も本土も負担拡大
沖縄本島北西部の米軍伊江島補助飛行場(伊江村)で、米空軍特殊作戦機CV22オスプレイと、米海兵隊F35Bステルス戦闘機の訓練を行うため、強襲揚陸艦への離着陸訓練などを行う訓練場(LHDデッキ)を2倍以上に拡張する計画を米軍が進めていることが、本紙が入手した内部資料「米軍沖縄伊江島LHD訓練場工事概要」で判明しました。年内に業者と契約し、2016年3月に着工。17年6月までに完成する計画です。政府は名護市辺野古の米軍新基地建設を進めるため、一部の基地機能を県外に移すことで「沖縄の負担軽減を図る」と称していますが、基地機能の大幅な増強が進められているのが実態です。
資料によれば、CV22とF35を収容できる駐機場を拡張。CV22は19年以降、米空軍横田基地(東京都)に10機、F35Bは17年に米海兵隊岩国基地(山口県)に16機配備され、沖縄に飛来する計画です。本土と沖縄の一体的な増強です。
さらに、現在の訓練場(全長429メートル)の前後に安全地帯などを設け、867メートルに延伸。米国産骨材を用いた耐熱コンクリートや、アスファルトで舗装します。
これに関して米海軍省の15年度軍事予算は、LHDデッキの舗装は「直接のジェット噴射、ヘリの気流に耐えるため」、安全地帯の舗装は「低空飛行ジェット機の爆風やヘリの気流の渦、土地の汚染などに耐えるため」と説明。垂直離着陸を行うF35やCV22の猛烈な熱や噴射に対応するには、国産の骨材では耐えられないのです。
伊江島補助飛行場周辺では、現在も深刻な基地被害をもたらしています。約30頭の牛を育てている平安山良尚(へんざんよしひさ)さん(54)の土地は基地内にあります。演習のない土日に草刈りを行い、牛の粗飼料にしています。「滑走路のそばにある私の草地は完全につぶされてしまう。大打撃だ」と嘆きます。
同島では、オスプレイや、岩国基地所属の垂直離着陸機AV8Bハリアーの爆音などで牛の死産が相次いでいます。F35の推進力はハリアーの3倍に達します。日本共産党の名嘉實村議は「F35が訓練を行えば、畜産はどうなってしまうのか。村として計画に反対すべきだ」と話します。