一、日本共産党はこれまで、日本国憲法の主権在民の原則に逸脱する、国会開会式のやり方を根本的に再検討することを提案するとともに、その意思表示として、開会式に欠席してきました。
わが党が問題としてきたことは、おもに二つの点です。
第一に、開会式の形式が、「主権在君」の原則にたち、議会は立法権を握る天皇の「協賛」機関にすぎなかった、戦前の大日本帝国憲法下の「開院式」の形式をそのまま踏襲するものになっているということです。
第二に、以前の開会式では天皇の「お言葉」のなかに、米国政府や自民党政府の内外政策を賛美・肯定するなど、国政に関する政治的発言が含まれていました。これは、日本国憲法が定めている、天皇は「国政に関する権能を有しない」という制限規定に明らかに違反するものでした。
わが党は、国会開会式が、現行憲法の主権在民の原則と精神にふさわしいものとなるよう、抜本的改革を求めてきました。
一、その後、開会式での天皇の発言に変化が見られ、この三十数年来は、儀礼的・形式的なものとなっています。天皇の発言の内容には、憲法からの逸脱は見られなくなり、儀礼的・形式的な発言が慣例として定着したと判断できます。
一方で、開会式の形式が戦前をそのまま踏襲するものとなっているという問題点は、現在においても変わりがないということも、指摘しなければなりません。
一、こういう状況を踏まえての今後の対応について表明します。
日本共産党としては、三十数年来の開会式での天皇の発言の内容に、憲法上の問題がなくなっていることを踏まえ、今後、国会の開会式に出席することにします。
同時に、開会式の形式が、戦前をそのまま踏襲するものとなっているという問題点は、根本的な再検討が必要であることに変わりはありません。わが党は、それが、現行憲法の主権在民の原則と精神にふさわしいものとなるよう、引き続き抜本的改革を強く求めていきます。そうした抜本的改革を実現するうえでも、今後は、開会式に出席することがより積極的な対応になると、判断しました。
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志位委員長は同日、大島理森衆院議長と面会し、開会式出席を報告するとともに、民主的改革について検討するよう要請しました。同議長は「承りました」と述べました。
国会開会式問題 志位委員長会見/記者との一問一答
日本共産党の志位和夫委員長が24日の会見で行った、国会開会式対応に関する記者団との一問一答は以下の通りです。――国会開会式の改革を実現するうえでも出席することが積極的な対応になるといわれました。それはどういうことですか。
志位 さきほどのべたような状況のもとで、欠席という態度を続けた場合には、わが党が天皇制反対という立場で欠席しているとの、いらぬ誤解を招き、憲法の原則と条項を厳格に順守するために、改革を提起しているという真意が伝わりにくいという問題があります。その点で、出席した場合には、そうした誤解を招くことなく、憲法順守のための改革を提起しているという、私たちの真意がストレートに伝わることになると考えました。そういう意味で、抜本的改革の実現のためにも、今回の対応がより積極的な対応になるという判断をしました。
――開会式の形式の改革とは具体的にはどういうことですか。
志位 天皇のために、特別に高い「玉座」が設けられ、そこで「お言葉を賜る」という形式というのは、現憲法の主権在民の原則と精神に反するものであって、抜本的改革が必要だということです。
――なぜ今年のタイミングでこうした方針をとったのですか。「国民連合政府」の構想と関連があるのですか。
志位 なぜ今かというご質問ですが、政局への対応とかかわって、今回の決定をしたわけではありません。この三十数年来の天皇の発言の全体を見た場合に、憲法上の問題はなくなっている、そういう状況が慣例として定着していると、判断したということにつきます。
――よそから見たら、共産党が普通の党になっていくという一環みたいなことでしょうか。
志位 普通の党というあなたの質問がどういう意味か分かりませんが、私たちが一貫して言っている開会式の民主的改革の提起というのは、将来の政治制度をどうするかという角度から提起しているのではないのです。現在の日本国憲法の原則と精神と諸条項を厳格に貫くという立場から一貫して対応しております。それは一貫しております。
――共産党は戦後最初からずっと開会式に出席してこなかったのですか。
志位 1947年、新憲法下での第1回国会当時、日本共産党所属の一部議員が開会式に出席したことがあります。そのやり方を見聞した後、ずっと欠席してきました。
――君主制に関する考えを改めてお聞きしたい。
志位 2004年に決定した新しい綱領では、天皇の制度について「君主制」という規定をしておりません。
日本国憲法では、天皇は、「国政に関する権能を有しない」ということが明記されています。それでは「国政に関する権能」を一切持たない「君主」というのはありうるかと考えますと、世界にそういう「君主」というのはないのです。新しい綱領では、日本の政治制度というのは、どんな形であれ君主制の国とはいえず、国民主権の国であることを明瞭にしました。
そして、天皇の制度に対するわが党の方針としては、当面の民主主義革命の課題としては、「『国政に関する権能を有しない』などの制限規定の厳格な実施を重視し、天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正する」ことが課題となります。
さらに、日本の将来の発展方向としては、新しい綱領では、つぎのようにのべています。
「党は、一人の個人が世襲で『国民統合』の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだとの立場に立つ。天皇の制度は憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである」
これが天皇の制度にたいするわが党の見解です。
熊本・野党統一候補について
志位委員長「勝利へ全力つくす」
日本共産党の志位和夫委員長は24日の記者会見で、来年夏の参院選熊本選挙区(1人区)での野党統一候補の出馬表明(23日)と、来年4月の衆院北海道5区補選への対応について問われ、以下のように答えました。一、熊本については、大変いい形で野党の統一候補が決まり、喜んでいます。50の市民団体のみなさんと五つの野党がしっかり協議をし、しっかりとした合意を取り結んでの共闘ですから、ぜひ、勝利のために全力を挙げたいと思っています。こういう形での共闘が、全国にさらに広がるように力をつくしていきたいと思っています。
統一候補が決まったわけですから、わが党としては、すでに立てている公認候補者を取り下げるということになります。
一、4月におこなわれる衆院北海道5区補選は、その時点での国政上の審判ということとともに、参院選の前哨戦としても非常に重要な意味を持ちます。ぜひ野党統一候補を実現して、自民、公明両党に勝ちたいと考えています。
わが党は、橋本みかさんという立派で魅力的な候補者を今年8月に擁立し、活動を続けてきました。
一方、この間、民主党の役員の方が無所属で立つということになっています。野党側に2人の候補者がいるということになっているわけです。
ですからぜひ候補者の一本化のための努力が必要だと思っています。候補者を調整して一本化するためには、真剣な協議としっかりした合意が必要だと考えています。
真剣な協議としっかりした合意で一本化を図り、戦争法・安保法の廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回、立憲主義の回復、こういう大義で政党、団体、個人、みんなが力をあわせて勝利を勝ち取れるような選挙にしていきたいと思います。