主張

戦争法廃止の声

市民の運動が政治を動かす

 戦争法の強行成立から半年となった3月、国民と市民のたたかいは、新たな広がりをみせています。戦争法廃止のために、「野党は共闘して自民・公明の与党とその補完勢力を少数に」との市民の声と運動が野党を動かし、2月の5野党党首の戦争法廃止、選挙協力などの合意にもとづき、参院選の1人区で野党統一候補の実現がすすめられています。市民と5野党がスクラムを組み、政治を変えようという画期的な動きの前進に期待と注目が集まっています。

「選挙に勝とう」コールも

 安倍晋三内閣が22日、戦争法を29日に施行することを定める政令を閣議決定したことで、戦争法のもたらす現実的な危険が一段と増しています。

 内戦が続いているアフリカ・南スーダンのPKO(国連平和維持活動)に参加する自衛隊の任務が拡大され、「任務遂行」のための武器使用が可能になれば、自衛隊が現地の武装勢力と交戦し、戦後初めて「殺し、殺される」事態を引き起こしかねません。

 米軍主導の多国籍軍が中東で行っている過激組織ISへの空爆支援についても、法律上は自衛隊が参加できると中谷元・防衛相は答弁しています。そんなことになれば、テロと戦争の悪循環に日本自身が身を置いて、日本国民を危険にさらすことになります。戦争法の廃止はいよいよ急務です。

 立憲主義を破壊して強行された戦争法を放置しておくことはできません。国会で多数をとる政権党であろうとも憲法の枠組みに反する政治をしてはならないというのが立憲主義です。権力が憲法を無視して暴走を始めれば、「独裁政治」への道になってしまいます。

 高市早苗総務相による「テレビ電波停止」発言、憲法と地方自治を踏みにじる沖縄・辺野古の米軍新基地建設の強行、「緊急事態条項」を憲法に書き込むなどを狙った明文改憲への渇望など、安倍政権によって法治国家としての土台が崩されつつあることは重大です。

 いま国会周辺や全国各地で行われている、戦争法廃止などの集会やデモの参加者が掲げるスローガンやコールでは、「野党は共闘」「アベ政治ストップ」とあわせ、「選挙に勝とう」「参議院選挙は野党が勝利」の訴えが相次いでいます。集会やデモの参加者が、野党共闘の進展を大いに歓迎し、野党統一候補勝利のため、市民の力で選挙自体をたたかう決意にあふれる状況へと大きく発展しつつあります。

 しかも、戦争法廃止、立憲主義回復の課題にとどまらず、経済政策「アベノミクス」、消費税増税、原発、環太平洋連携協定(TPP)、沖縄県名護市の辺野古新基地建設反対など、「一点共闘」の課題を掲げて、安倍暴走政治にストップをかけるために、国政選挙で野党を勝たせようともなっています。

 安倍政権の暴走を許さない世論と運動を急速に盛り上げ、国政選挙で自公とその補完勢力を少数に追い込むことが必要です。

国民的たたかいをさらに

 全国各地で行われるデモや集会を大きく成功させ、戦争法廃止の「2000万署名」を達成することが重要です。29日の戦争法施行の日にあわせ、総がかり行動実行委員会などは28、29の両日を中心に国会周辺での抗議行動などを計画しています。さらに力を合わせ、安倍政権を追い詰めましょう。