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(本文)
「マルクスが資本主義を批判する、と称しながら
ヨーロッパの事実上の皇帝、世界の富の半分を支配すると
云われたロスチャイルドについては、
ただの一語の批判も書いていないとは、どう言うわけなのだ。」
週刊日本新聞 第376号 P18より転載
上記の文章は、60年代に新左翼運動を作り、マルクス主義について
多数の著書がある故太田龍氏が書いたものである。
太田龍氏が述べているようにマルクス経済学は、
資本主義の景気変動においてロスチャイルド財閥などの
銀行権力や通貨発行権と信用創造の影響については
極めて軽視した理論体系となっている。
経営者と労働者の搾取の構造で資本主義の景気変動を
述べていく理論になっている。
現代の日本のアカデミズムにおける経済学では
近代経済学(新古典派、ケインズ派、マネタリズム)
と並んで、マルクス経済学が学ぶべき科目として設置されている。
そのことについて、日本共産党系の出版社である新日本出版社が
今年の1月にマルクスの代表的な著作である『資本論』150周年を記念して
発刊した『変革の時代と資本論』のP27にはこう記述されている。
(以下転載)
現代ではマルクス経済学と近代経済学の二つの経済学がありますが、
どう違うのでしょうか?日本の大学では、普通には両方の授業やゼミがあって
多くの学生が「どちらを学んだらいいのか」と迷うのですが。
(転載終了)
この質問に関して、この本の著者は両方の経済学をひととおり学べ、と
述べている。
両方の経済学を学ぶことによって、社会に対する理解を深めることになる
ということが書かれている。
確かにその通りなのだが、両方を学んでも重大な盲点があるのだ。
近代経済学にもマルクス経済学にも、銀行権力と信用創造の仕組みが
軽視されているのである。
そのため、両方を学ぶ勉強熱心な学生も、銀行権力と信用創造について
学ぶことができない。
むしろ、国際銀行権力が創りだしてきたアカデミズムの経済学の
洗脳体系の中にとらわれてしまう。
これは正、反、合というプロセスから新たな答えを導き出すという
弁証法の性質を悪用した洗脳システムである。
この弁証法の悪用は、経済学だけでなく、人文社会科学系の様々な
学問で悪用されている。
更に議会や政治活動などの日常的な政治の舞台でも使われている。
その結果起きるのが、銀行権力と信用創造の社会からの無意識化である。
そこに厳然として存在しているのだが、人々の意識にのぼってこない。
社会を管理してきた銀行権力がステルス性を維持できるのも、
信用創造の仕組みが知らされていないのも
人々の意識化と無意識化のコントロールにある。
ウォール街がロシア革命や中国革命を支援した背景には、マルクス主義が
資本主義分析において銀行権力と信用創造を軽視する理論だったためだ。
近代経済学とマルクス経済学が支配する東西冷戦という構造を創ることによって
世界の人々から自らの存在とその支配ツールを無意識化させるための壮大な
演出だったのである。
弁証法が真に機能するには、目的が明確化されていることが前提条件になる。
民主社会の目的は個人の尊厳の実現であり、支配者が存在しない社会の実現だ。
社会の支配権力の存在を見つめて、物事を考えていかない弁証法は
権力が与える意識体験を操作する洗脳そのものになる。
共産党などの反体制側は、従来のマルクス経済学の視点に、銀行権力と信用創造の
影響力を導入して、党が述べている真の「科学的社会主義」という観点に立たねばならない。
この近代経済学とマルクス経済学による銀行権力と信用創造の影響の
無意識化のプロセスをモデルにすると以下の図になる。