マネーと政治経済の原理からニュースを読む
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本日の話題
・ニュース
「銀行貸出残高、3年連続増加」 日本経済新聞 1月11日5面
・ニュースの分析
・好景気とリスクに対処する資産運用
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(記事の要約)
全国銀行協会が10日に発表した2013年末の全国の銀行貸出残高は
443兆89億円と12年末に比べ3.3%増えた。
増加は3年連続。
とりわけ、大手銀行の伸び率が前年比3.9%増と大きかった。
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(ニュースの分析)
民間銀行の貸出残高が増加を続けている。
先月で3年連続の増加だから、アベノミクスが始まる前の
民主党政権の頃から増加は起きていた。
現在の景気回復の原因も、日銀の量的緩和ばかりが強調されるが、
銀行貸出残高の増加も大きな影響を与えている。
銀行以外に預金を取り扱う農林水産機関や中小金融機関も含めると
貸出残高は630兆円から670兆円と40兆円以上も拡大し続けている。(下のグラフ参照)
銀行が貸し出す金額が増加すれそれだけマネーが作られていることを意味しているので
市場にはマネーが増加していることになる。
デフレからインフレに急速に変化しているのは、
・中央銀行が量的緩和によってマネーを増加させている
・民間銀行が貸出を増加させてマネーを増加させている
この二つの現象の結果である。
しかし、勘違いしやすいのは、
日銀の量的緩和で民間銀行に渡したマネーが、
貸出されているのではないということだ。
何故なら、日銀が民間銀行に供給したマネーは、貸出には回らず、
銀行の国債や株や不動産などの財テクに回るからである。
銀行会計の性質上、日銀当座預金の増加は、貸出の増加には必然的に結びつかず、
国債の購入などの原資になるだけである。
<参考リンク>日銀による量的緩和が資産バブルを作り出しやすい根本的な理由 銀行の会計上の性質から①
<参考リンク>日銀による量的緩和が資産バブルを作り出しやすい根本的な理由 銀行の会計上の性質から②
民間銀行は自らの帳簿上で無から、貸出を行い、マネーを創造できる。
日銀から受け取ったお金を貸し付けているわけではない。
この銀行の「貸出」と「運用」の違いは、経済に与える影響を考える上では
重要である。
そして、民間銀行の貸出増加は安倍政権が実現する前から始まっていたことなのである。
安倍政権が始まる前から、景気回復の準備は始まっていたのであり、その果実を
受けているのが安倍政権なのだ。
デフレもインフレもマネーの量の問題なのであり、
マネーの量を管理する国際金融権力によって
日本は長期にわたって意図的に不景気にされ、意図的に好景気へと導かれていると推定される。
さて、マネーが増加し続けることでデフレからインフレに向かっている
日本経済であるが、このまま、消費が上昇、物価も上昇、企業の売り上げが
増加し、経済成長が実現し、株価も不動産も上昇するという好景気のスパイラルに
入るのだろうか?
日本国内の経済統計だけ見れば、好景気に向かっている。
しかし懸念材料はいくつもある。
・消費税の増税
・2月に迫っているアメリカの債務上限引き上げ問題
・アメリカのバブル崩壊の懸念
・深刻化する日中の対立
消費税の増税は、一時的には影響が大きいだろうが、好景気を不景気にするほどの
影響はないと思われる。
特に、デフレとインフレの関係は、基本的にマネー量の問題なので、
3%程度の増税では、マネーが増加しつづけている現在では
デフレに戻るとは考えにくい。
それよりも深刻なのは、他の三つの危機だろう。
例えばリーマンショックの前の日本経済は、銀行貸出が急上昇しており、
国内の景気もよかった。
しかし、その後のリーマンショックで、不況になり、銀行貸出も減少を続け、
再び深刻なデフレ不況に突入した。
このように外部の激しいショックは、国内がいかに景気が良くても
景気を冷え込ませてしまう。
それではこのような状況で、どのようにして投資を行ったらよいのだろうか?
そこで投資を考える上で有効な考え方を紹介したい。