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人類が民主政治を愛する根本的な理由 快・不快の多様さが求める快の選択肢の最大化を保証する制度
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人類が民主政治を愛する根本的な理由 快・不快の多様さが求める快の選択肢の最大化を保証する制度

2014-07-22 19:00
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    ※この記事はこちらのテーマの続きです
    <リンク>天野統康のブログ 政治経済思想理論


    現在の操作される自由民主主義の構造を理解するには、
    経済とともに民主政治の基本原理を考える必要がある。
     

    前回までに



    .社会とは人間の欲求の実現の場であること


    2.多数が欲求を実現できる社会=幸福な社会


    3.人間の本能的な欲求は快を求め、不快を避けること


    4.快の選択肢が最大限保証されている社会
    =人権に基づく民主主義(近代民主主義)


    5.このために近代民主政治システムが世界を席巻している



    ここまでをお伝えした。



    中国が急速に経済発展をしていても、中国型一党独裁体制
    は魅力的な政治制度として、自由民主主義諸国に受け入れ
    られる余地はない。 

    一方で、人権に基づく民主政治(近代民主政治)は中国では
    脅威となっており弾圧の対象である。


    近代民主政治が現在の最強の政治システムであることは
    疑いようが
    ない。

    何故、近代民主政治が人類の間で広まり続けるのか?

    それは、市民の快の選択肢の多様性をどの政治制度よりも
    保証するためだ。

    快の選択肢の多様性の保証が人類にとって魅力的
    なのは、人々の快・不快の感覚が極めて多様だからである。

    何故、人間は快・不快が多用なのか?



     

    今回はそこについての考えを述べる。


    快を求め、不快を避ける欲求は人間だけでなく
    生物の本能的な行動原理である。


    しかし人間は非常に複雑で多様な快・不快の感情を
    持っている。



     

    ある人にとっては快であっても、別の人にとっては
    不快であることが多々ある。



     

    その原因は以下の2つに求められる。

    ・人間という種族の性質
    ・人間が作り出す社会

    プラトンやヘーゲル、最近ではフランシス・フクヤマら


    政治哲学者によると人間の性質は3つの精神
    的要素に分けられる。

    ・欲望(生存の欲求など)
    ・理性(理知や計算など)
    ・気概(意思や義務など)

    この3つの要素が人間はどの種族よりも高度に発達している。
    そのため3つの要素からなる快・不快の感覚が、多様になる。

    例えば、性欲一つとっても人によって多用で複雑な
    快・不快の感情が現れる。

    性の禁欲を重視する修行僧などは、「気概」という意思
    に重きを置いているために、欲求や計算に基づく性への
    行動は不快なものとなる。

    欲求を重視する快楽主義者にとっては、性の
    「欲望」に重きを置いているために、禁欲や計算など
    ナンセンスで不快なものとなる。

    計算を重視する結婚相手募集者にとっては性の「理性」
    に重きをおいているために、禁欲や欲求などナンセンス
    で不快なものとなる。

    このように一つの事例をとっても3つの要素が高度に発展
    している人間には、快・不快の反応が多様なものとなる。

    上記のような違いは単純な欲望・理性・気概
    しかない動物にはありえないことである。

    次に、社会的な側面がもたらす複雑さについて。

    高度に発展した魂(欲望、理性、気概)を持つ人間が作り
    出す社会は、どの生物集団よりも複雑で多様である。

    人類の歴史を大まかに振り返ると何万年前には

    現在のアマゾンの奥地で行われているような狩猟採取生活があった。

    まだこの段階では、快・不快は他の生物よりは多様であ
    れ、今ほどは複雑ではなかった。
    次に、川の近くで農耕が始まり、人口が増加する。
    4大文明の誕生である。
    人口が増加すると社会が複雑になり、それを束ねる権力
    が発生する。
    更に、人口の増加と穀物の生産性の向上で、多様な物が
    作られるようになり、物々交換から、マネーを介した
    交換へと変化する。(マネーの登場)マネーの登場に
    より、更に文明は発展し、様々な職種、商品、が登場する。

    当然、そのような社会を作り出すのは高度に発展した人
    間の魂(欲望、理性、気概)が存在するからである。

    社会が巨大化しマネーの登場で様々な職業や団体が
    生まれると、諸集団を通じて権力争いが発生する。

    所属する集団の連帯願望の中で、優越願望と対立願望
    の対立が生まれ、身分制に基づく君主制や貴族制が
    作られた。

    奴隷社会や封建社会はここ数千年の話であり、
    それ以前にはそのような社会は人類に存在しなかった。

    抑圧されることに対して本能的に人類は不快を感じ反発する。

    そのため、身分制社会は、矛盾が大きくなり崩壊していく。

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    身分制に伴う不快を社会的に処理するために、
    近代民主主義の思想が欧州を中心に生まれた。

    ・連帯願望と幸福願望の結合は友愛(同胞愛)の権利
    (国民主権、地方自治など)

    ・優越願望と幸福願望の結合は自由の権利
    (表現の自由、思想信条身体の自由など)

    ・対等願望と幸福願望の結合は平等の権利
    (法の下の平等など)

    さらに上記の各権利を市民に保証するための政治制度
    として選挙制度が取り入れられた。

    政治権力の代表者を選ぶ選択肢が発生したために社会的
    な真理が発生する。

    ・認識願望と幸福願望の結合は真理の権利
    (知る権利、公正な選挙など)



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    こうして社会と権力は複雑化して、民主主義の現代にまで至る。

    高度に発展した魂が作り出す、高度に発展した社会。

    これが人間がどの生物よりも快・不快が複雑な理由である。

    快・不快が複雑であるならば、快の選択肢が最大限保証さ
    れている社会こそが、人間の本能を満たす社会となる。

    その権利をどの政治体制よりも最大限保証しているのが
    近代民主政治である。

    社会の構成員に快の選択肢の最大化を保証するものとし
    て基本的人権を認める。

    その権利を社会制度に取り入れ選挙で権力者を選ぶ民主
    政治が出来上がった。

    近代民主主義の原理は一言で言えば、「誰もが支配
    されない状態」という人間の尊厳の実現を前提とし
    目指している社会である。

    次回は、何故、自由・平等・友愛の相互規制が
    「誰もが支配されない社会」となるのかについて
    考えを述べる。


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