この1週間で欧米の司法における国際金融軍事財閥のための
判決が相次いでくだされた。
一つはアルゼンチンのデフォルト問題。
もう一つはロシアのユーコス事件を巡る判決である。
まず、アルゼンチンのデフォルトをもたらした判決である。
・アルゼンチン、事実上デフォルト=国際業界団体が認定 時事通信 8月2日
・アルゼンチン債務 財務省 ハゲタカ要求拒む しんぶん赤旗 8月1日
2001年にアルゼンチンがデフォルトした後の債務再編で
9割の債権者は債務の割引に合意した。
しかし1割の債権者はまだ合意していない。
その1割の債権者から1.2%だけヘッジファンドが買い集め
そのヘッジファンドが米国の裁判所に不服を申し立て、米地裁に提訴。
その後の流れは以下のとおり。
(上記記事 しんぶん赤旗8月1日より転載)
12年2月に米連邦地裁が米ファンドに勝訴の判決を下した。
さらに13年8月に控訴裁が一審判決を支持。
最後に14年6月に米最高裁がアルゼンチン政府の上告を棄却し
一審判決が確定。
米国のファンドに債務の全額返済をしないと、残りの9割の
債務者への支払いも認めないという無茶苦茶な判決である。
ウォール街が支配する米国の裁判所は、地裁も最高裁も
このヘッジファンドの訴えを全面支持。
その結果、アルゼンチンはデフォルト(債務不履行)に追い込まれた。
アルゼンチン国債の市場はそれほど大きくないので、
市場への影響は小さいが、このような無茶な判決を
支持する米国の司法は、ウォール街に支配されている
といえるだろう。
ロスチャイルドやロックフェラーなどの国際金融軍事財閥に
司法が支配されているのは米国だけではない。
欧州もまた同じである。
それがブリュッセルの国際裁判所でくだされた以下の判決である。
・ロシアに5兆円賠償命令 国際裁判所 ユーコス事件巡り
日本経済新聞 7月29日
国際裁判所の1つである常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)は、
28日ロシア政府に対し、同国の元石油大手ユーコスの財産を
不当に没収したとして約500億ドル(約5兆円)
の損害賠償を命じると発表した。
このユーコス事件とは、ロシアの石油資源を独占し米国に売却
しようとしていたユーコス社のホドルコフスキー社長を脱税で逮捕し
破産においこまれた事件。
同社の資産は国営の石油会社ロスネフチに引き継がれた。
この事件は、プーチンロシアが国家の資源を外国のハゲタカに
売却しようとしたユーコス社の行動を止めるために起こしたものだ。
この裁判の判決の趣旨は※「エネルギー憲章条約」にある投資家の
財産を原則、国有化してはならないとの条項に反すると判断したため。
※ロシアはエネルギー憲章条約を批准していない
これまた、国際金融軍事財閥に都合の良い判決になっている。
アルゼンチン政府もロシア政府も当然ながら抗議している。
このように欧米の国際法廷は、多国籍企業を牛耳る国際金融軍事
財閥の強い影響下に有り、とても公正で正義のある判決がなされる
状況ではない。
その全体像を示すと以下のようになる。
今回の国際的な判決は日本が交渉を行っているTPPなどには
絶対に参加してはならない証明である。
何故なら、TPPには、多国籍企業が自らの投資行動が侵害された
と考えれば政府を訴えることができるISD条項が含まれているからだ。
その裁判は、欧米の強い管理下にある世界銀行の一つの部門で
行われることになっている。
実際に、過去のISD条項で多国籍企業が政府を訴えて負けたことはない。
多国籍企業に対する損害賠償はその国の税金で行われることになる。
只でさえ属国的立場の日本が加入すれば、欧米の多国籍企業に
骨の髄までしゃぶられるのがオチである。
<関連リンク>
・(2) プーチン・ロシアが欧米の国際金融軍事権力に攻撃される不当な理由 日本の現状も踏まえて
・アルゼンチンのデフォルト問題の再燃に見る米国の裁判所の醜い判決 マネー権力に支配される米国の司法
この事例から推測される経済や家計への影響については以下のとおり。
<以下有料>