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7月3日、アニメレビュー勉強会in大阪
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7月3日、アニメレビュー勉強会in大阪

2016-08-12 03:00
    7月にはアニメレビュー勉強会in大阪ということで、勉強会を大阪で開きました。地元の有志が企画してくださったものです。こちらのお題は『心が叫びたがってるんだ。』。参加者は9人ぐらいでしたが、かなりバラエティに富んだ原稿が届き、その中でトップになったのがこちらの原稿です。こちらも僕の忙しさに取り紛れて、更新遅くなって申し訳ありませんでした。

    第1位
    こうたろう/想定媒体:『映画秘宝』別冊/EX「青春のアニメ映画読本」
    (タイトル)
    『心が叫びたがってるんだ。』-廃墟のラブホの一室で、あなたに言いたいことがある-
    (本文)
    青春って痛恥ずかしい
     「こいつはどう見たって、ラブホの1つや2つ行ってそうな……ラブホ顔じゃねえか!」
     TVアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(以降『あの花』)第6話において飛び出した、センセーショナルな台詞である。主人公の引きこもり高校生・宿海仁太(通称:じんたん)が、援交を疑われた幼馴染の同級生・安城鳴子(通称:あなる)をかばうために、彼女を指して発したものだ。しかも、彼は久々に出席した授業中の教室で突然立ち上がり、教師とクラスメイトの注目を一身に浴びながら、震える大声でこれを叫ぶ。あまりにも痛々しく、恥ずかしいシチュエーションである。
     “大人も泣けるアニメ”として社会現象になった『あの花』だが、「ラブホ顔」は多くの視聴者に強烈なインパクトを与えたに違いない。しかし、「とある出来事がきっかけで疎遠になってしまったあなるら幼馴染たちと、高校生になった今、当時の気持ちを思い出しながら再び向かい合う引きこもりのじんたん」という、作品の根幹となる“痛恥ずかしさ”を痛烈に意識させてくれたのもまた、この台詞であったはずだ。
     と、そんな『あの花』の製作陣が再び一堂に会したのが、表題のアニメ映画『心が叫びたがってるんだ。』(以降『ここさけ』)である。
    開幕ラブホがキーワードに
     『ここさけ』は開始30秒で前作を想起させてくる。冒頭から「お山の上にあるお城」、つまりラブホが登場するのである。直球すぎる。が、『あの花』ファンへのつかみとしてはこれ以上の演出はないだろう。だがもちろん、いきなりのラブホはネタだけでは終わらない。ファンタジー要素が主軸になっている『あの花』に比べ、滑り出しからよりリアルに暗い内面を描いた作品であることを予感させ、かつラブホが本筋に関わる重要な場所であることを明示してくる。
     その「お山の上にあるお城」を眺める幼い女の子が、主人公の成瀬順(以降「順」)である。順はそこから父親が出てくるところを目撃し、それが不義の告げ口になるとは思いもせずに、持ち前のお喋りで母親に話してしまう。結果、両親は離婚。順はお喋りが現状をもたらしたというトラウマから失声症に陥り、“玉子”に閉じこもってしまう。これらが冒頭のラブホからの流れで示されるのである。これには一見はもちろん、「まさかラブホが原因でこんなことになるとは。これからどうなるの」と、『あの花』ファンも身構える。
    “青春チョイス”を揺さぶる廃城
     物語は、失声症を抱え“玉子”に閉じこもったまま高校2年生となった順が、「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命されたところから動き始める。同じく任命された、無気力な若者・坂上拓実(以降「拓実」)、夢破れてやさぐれた球児・田崎大樹(以降「大樹」)、まとめ役の優等生女子・仁藤菜月(以降「菜月」)らとともに、出し物のミュージカルに臨む顛末が本作のメインストーリーとなる。その過程で順・拓実・大樹・菜月それぞれが変化していき、そして彼らの人間関係がどうなっていくのかが本作の見どころとなるわけだが、既に廃墟と化した「お山の上にあるお城」は定期的にその影をちらつかせ、彼らを揺さぶる。
     失声症で無口な順だが、その感情は挙動で逐一伝わってくる。表情の動きが、手足の動きが、感情に変化があるたびに大きくなるのだ。そしてそれにいち早く気づき、“玉子”の中から言葉を発する順を知り始めていた拓実は、彼女のトラウマの原因を知る。「山の上にあった……ラブホ?」。
     強面の外見で当たりの強い大樹は、序盤では誰とも相容れず、実行委員にも参加しない。だが、野球部でも居場所を失いつつあると知った帰り道に菜月と交わした会話が、彼が変わっていく起点となる。そのネタ振りに使うのが、既に廃墟となった“山の上の城”なのだ。菜月も、その会話でラブホ=男女関係を意識したことで、中学時代に距離が近づいたことがある拓実への意識を再び強めていく。
     “健全な青春劇”ながら、主要な登場人物はもちろん視聴者に至るまで、心の片隅にラブホの存在を意識させつつ話が進行するのは、恐らく『ここさけ』だけだろう。やましいことは何もないのに、この痛恥ずかしさは何事だろうか。
    ベットルームで交わされるのは肉欲だけじゃない
     本作のヤマは「地域ふれあい交流会」……ではなく、やはりというべきか、ラブホで迎えることになる。廃墟のラブホで展開される青春劇。元・愛欲のダブルベットを背景に繰り広げられる会話。痛々しくても、見ているこちらが恥ずかしくなってきても、どうか目を逸らさずに直視してほしい。最後にはきっと、涙が頬を伝っていくはずだ。
    c?ro=1&act=rss&output=no&id=2027980&name
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