『この世界の片隅に』劇場アニメ公式ガイドブックが発売になりました。各種書店でお求めください。
僕は構成・執筆を担当。デザインは内古閑智之さん率いるCHProduction。執筆は大曲智子さんにも手伝っていただきました。
掲載インタビューはのんさん、細谷佳正さん、片渕監督、キャラデ・作監の松原氏、美術監督・林氏、音楽のコトリンゴさん、丸山・真木両氏の対談で、映画のできるまでを網羅した1冊です。
映画のサブテキストとして是非。
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1.最近のお仕事紹介
2.Q&A
3.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
4.不定期アニメ日記
最近のお仕事紹介
1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
11/19 特別講座『動きのおもしろさを体験しよう』
※ゲスト講師 演出・アニメーター 数井浩子
12/17 映画『ラブライブ!The School Idol Movie』
2.NHK文化センター青山教室「アニメを読む」
11月19日開催です。こちらも『心が叫びたがってるんだ。』です。東京の方は是非。
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1088222.html
3.朝日カルチャーセンター新宿教室特別講座
12/3「僕はこんな作品を見てきた。'80年代 バブルの喧噪と昭和の終わり」
アニメーション監督・幾原邦彦氏をゲストに招き、氏が触れてきたアニメ・文学・映画・演劇作品を振り返る講義の第二弾。今回は'80年代の作品を中心にうかがいます。幾原監督が、どのような作品に接することでクリエイターとしての地盤を形成してきたかが垣間見える内容です。聞き手は僕と上智大講師・上田麻由子さんです。
【取り上げる予定の作家】
森田芳光、相米慎二、池田敏春、吉本ばなな、村上龍、村上春樹etc
https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/348243ee-1ee0-ba9b-141a-577daebf06e8
4.SBS学苑「アニメを読む」
今や当たり前のようにTVアニメでも使われている3DCG。しかし、3DCGでアニメが作られるようになるには、長い道のりが必要でした。'80年代の挑戦から最新の成果まで、国内作品を中心に解説します。
http://www.sbsgakuen.com/Detail?gakuno=2&kikanno=177510
Q&A
「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。文面にハンドル(名前)も入れてください。
あるいは、アニメの門チャンネルの有料会員は、アニメの門チャンネルページの掲示板サービスが使えますので、そこに質問をしていただいてもよいです。メルマガの下にあるコメント欄でも結構ですよー。
連載「理想のアニメ原画集を求めて」
文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)
第28回『旅のロボからの歩き方?』
『旅のロボからの歩き方?』は以前紹介した、『西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可のいろいろ詰まった本』に続く、アニメーター見本市の資料集第二弾。
『西荻窪』の本がなかなか満足感のある内容で、次もこんな感じになるだろうかと思っていたんですが、それは違いました。
ここまで、紙を情報で埋め尽くしている原画集は見たことがありません。原画集のみならず、なかなか他にない本だと思います。どのページを開いても、紙の端ギリギリまで画像が詰め込んであります。全てのページが絵で埋め尽くされています。
180pとそんなに厚い本ではないはずなのに、パラパラとめくるだけでも圧倒されてしまう内容です。白黒だった『西荻』本とは違い、フルカラーなのも嬉しいところです。
まず、表紙を開いてみるとそでには表紙カバーのラフ画が、これは左右どちらにも掲載されていました。
表紙カバーの奥にも絵が見えるので、カバーを外してみると、表紙と見返しにはびっしりと絵コンテが掲載されています。
本の最初の方に資料がまとめて掲載されており、企画初期原案のイラスト、本編スチール、設定資料、美術ボードを見ることができます。キャンピングカーを舞台にした密室劇に近い作品ですが、設定資料を見るとその緻密さに驚いてしまいます。
監督の沖浦啓之さんは、日本の商業アニメーションの中でも、劇場大作を中心に活躍されてきた方ですが、その緻密な設定を見るだけでも凄みが伝わってくるような気がします。あまりに緻密なので、アニメの舞台の設計図なんですが、本当にキャンピングカーを作ろうとしている設計図なのではないかと錯覚してしまいます。
原画やレイアウトを掲載している所までページを進めると、また驚きました。先程の緻密な設定がどのレイアウトを見ても、正確な線でビッシリと描きこまれています。レイアウトの絵を見ると、その線の表現だけで描かれた絵は、絵でありながら情報の集合体という趣きがあり、絵である以上にそれが設計図としての役割を担っているのが見て取れます。
線を使わずに、色で描かれた本編の美術とは、また一味ちがう絵に見えるのが面白い感覚です。思わず、レイアウトと本編スチールをペラペラめくって見比べてしまいました。これは、ぜひとも確認してもらいたい感覚です。
さて、この作品は、『西荻』と同じく、女性の身体を執着的に描いている作品となっています。どちらも日本でトップレベルのアニメーターがその技術を使って人間の身体を描くことに全力を出している作品になっていると思いますので、絵を学びたい人には教科書として後々語り継がれる2冊になっていくのかもしれません。作品自体のアニメーションとしての絵や動きも方向性の違いが顕著で、そうしたものを比較して見るのにもセットで良い2冊になっていると思います。
どのページを見ても、ここまで立体的に人体が描けるものなのかと驚嘆してしまうレベルで、その絵が1枚だけではなく、連続して何枚も描かれていると、原画集を見慣れた目でも、改めて驚きを感じさせられます。
着替えのシーンで、担当原画マンの方が、動画をする方に、パンツの皺のトレスに関する、線のニュアンスを文章で指示していたのが印象的でした。
動きに関しても、どこを切り取っても凄いのですが、原画集としては、ベッドルームのシーンが見所です。
この作品には作画監督が二人いて、沖浦啓之さんと本田雄さんのお二人ですが、恐らく黄色い紙が本田さん、ピンクの紙が沖浦さんの修正用紙ではないかと思われます。
この、ベッドルームのシーンではピンク紙の修正が細かく入れられており、元の原画が上手いのはもちろんなのですが、その修正の様子から、アニメーターとしての沖浦さんのこだわりを感じることができます。
原画は数字を○で囲んでいるもので、△で囲まれているものは、恐らく「参考」と呼ばれる、原画とは少しニュアンスの違う使われ方をするものなのですが、よく見てみるとそこにさらに、数字に付け加えて「’」「’’」「’’’」の記号が足されているものがあります。
これは推測ですが、原画の段階で中割りと指示されていた絵を修正の段階で沖浦さんが、描き足しているものかもしれません。実際どうであったかは、作業した方々に聞いてみないと分かりませんし、掲載されているのはピンク色の修正用紙の絵のみのところもあるので、正確には分かりません。しかし、その絵からは、強いこだわりを感じ取れます。
最後にまた驚くのが、ヒロインとロボットが別れた後、キャンピングカーがロボットの目の前を右折していくのですが、キャンピングカーの表面に周囲の景色が鏡のように写っているのが、動いていくのです。それも、エアストリームのキャンピングカーの独特の曲線に合わせて。どうしたら、こんなに難しい動きが描けるのか、全くわかりません。
原画集をパラパラと見ているだけで、アニメーターって本当にすごい人達なのだなあと、素朴に思ってしまいました。絵やアニメに興味のある人には、刺激的な一冊だと思います。また、作品の緻密さを具現化したようなこの本も、沖浦監督の作品そのものなのだなと思わされました。
(『旅のロボからの歩き方?』監修:沖浦啓之/グラウンドワークス/3780円)
お蔵出し原稿
今回も「WEBNewtype」で連載していた『アニメを見ると××になるって本当ですか?』から、その第2回です。バンダイチャンネルで見られるアニメを一つ取り上げて、おバカなコラムを書くという趣向。第2回は『GIRLSブラボー』。こちらも「セカンドライフ」ネタが出てきて、隔世の感がありますな……(遠い目
『GIRLSブラボー』
「セカンドライフ」という井上陽水の『人生が二度あれば』みたいなものが流行っているそうだ。ヴァーチャルな世界で、ヴァーチャルな生活を楽しむらしいが、それをいうなら「セカンド」じゃなくて「ダブルライフ」じゃないのか? 人生をエンジョイしているヤツならコッチとアッチで楽しみも2倍になるかもしれないが、そうじゃないヤツはどうすればいい。アッチとコッチでむなしさも2倍になるような、そんな「ダブルライフ」だれが望むだろうか。